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筆者紹介:松本治直さん(まつもと・はるなお)
60歳を過ぎて、初めてアメリカでのドライブ旅行にチャレンジした松本さん。シアトル郊外、マウント・レーニエ、カスケード・ループ、オリンピック半島を巡った5日間の旅行記をジャングルシティにお寄せいただきました。
第5回:5日目
6月20日(金) 晴れ
6時40分: 朝食無しでホテルを出発。今日はオリンピック半島観光の目玉の一つであり、晴れた日には足元のポート・エンジェルスの市街地ばかりではなく、オリンピック山脈や対岸のビクトリアまで素晴らしいパノラマが楽しめるというハリケーン・リッジへのドライブを諦めた。その理由の一つは、ビュー・ポイントまでの登り道が狭く、急斜面でありドライブ初心者にはお勧めできないというガイド書があったこと。そしてもう一つがそこまでの往復55km と観光に約2時間かかるとすれば、今日中に車を返却するためにシアトルに着くまでの約500km を日没(午後9時頃)までに走り切る自信がなかったためである。計画のミスであり、もう一泊すべきだった。
ポート・エンジェルスから101号線を西に約45km でクレセント湖に到着。東西に長く広がるこの湖の数か所のビュー・ポイントで停車し、写真を撮る。出発時には曇っていた空も徐々に明るくなり、今日も天気は良さそう。この地方は雨が多く、予報でも小雨となっていたので、3人の心がけの良さを神がお認めくださったのだろうか?鏡のような湖面に映る周囲の山々の影が見事。
クレセント湖から約48km、フォークスの街でドライブに出て3回目の給油。スタンドに併設されたコンビニエンスストアの中のサブウェイでサンドイッチとロールパンを買って車内で朝食。意外にうまかった。
8時30分: フォークスを出発し、101号線を南下、約25km で今日の最大の目的地であるフォー・レイン・フォレストに向けて左折する。経験者の旅行記では、狭い走りにくい道とのことだったが、修理の手が入ったのか、スピードは出せないものの快適に走れた。しばらくすると、うっそうとする森の中、緑の濃淡さまざまな木々、茶色の苔に覆われた枝も散見されるようになる。ところで、今までも時折ナビが「決められた走路を外れている。元の道に戻れ」というコメントを出し、心配したり、迷いもしたが、森の中に入るとその頻度が増したので、ようやくナビの欠陥だということがわかった。
9時30分: 左折した地点から約30km、40分でビジター・センターに到着。入園料は15ドル。『Hall of Masses』(コケの殿堂)と名付けられたトレイルを歩く。鮮やかな緑の木々の中に、コケに覆われた樹木が連続し、中でも大きなメープル全体をコケが覆った姿は見事な眺めであった。来る前に3人が予想した以上の美しさであり、来て良かったと感動の声。
11時05分: ビジター・センターでお土産品を買って、元来た道を次の目的地クレイロックに向けて出発、101号線に出て約25km、正午過ぎにクレイロック・ロッジに到着。ここのレストランで昼食。ハムロール、シーザーロール、サンドイッチを注文。味は良かったが、やはりボリュームは多め。 この付近の海岸はルビー・ビーチと呼ばれる美しい海岸で、トレイルも整備されているようだが、流木が多く流れ着いており、それほどの美しさは感じなかった。先を急ぐので、少し休憩の後、13時20分に出発。
14時20分: 遠くまで見渡せる平原の中の道を走り、もう一つのレイン・フォレストであるクィノルト・レイン・フォレストのあるアマンダ・パークに到着。キノルト湖を取り囲むようにレイン・フォレストが広がっているが、規模的にも見た目にもフォー・レイン・フォレストよりも格下の感じ。いくつかのトレイルも整備されているが、時間の関係もあり、ロッジの近くの湖辺を散策するにとどめた。
14時50分: いよいよシアトルへの帰途に就く。アマンダ・パークから約70km でアバディーン、ここで12号線に乗り換え、8号線に乗り、そしてオリンピック半島の東側を走る101号線を経由してワシントン州の州都オリンピアまで77km。そこでI-5号線に乗ってシアトルまで96km、合計240km あまりり残っている。途中、コンビニやレスト・エリアでトイレ休憩を取りながら、今日の宿シェラトン・シアトルに到着したのは17時45分。いかに飛ばしたものか!!
チェックインして、ハーツに車を返却に行く。
ここでも学んだことがある。ひとつはホテルの玄関に車を置き、チェックインして荷物を部屋まで運ぶのに立ち会う時間で10分を過ぎれば、このホテルでは車が自動的に駐車場に運ばれてしまい、駐車料が30ドル発生するらしいということ。もうひとつはハーツの駐車場に時間外に返却する場合には、駐車券が必要だということである。
幸い、ホテルでは若干の時間オーバーを認めてくれ、ハーツの駐車場では係りのお姉さんが駐車券がないことを許してくれ、事なきを得た。
なんとか車の返却を終え、駐車場ビルから外へ出ると、日はまだ高い。まだ訪れていなかったダウンタウン中心部のウェストレイク・センターで街中のショッピングを楽しみながら、夕食の場所、居酒屋ワンへ行く。
予定では、イタリアン・レストランかシーフードに行くつもりだったが、お2人の意見は「2泊3日の長距離ドライブの緊張の連続の疲れを癒すには、日本語の通じる日本食が一番」。金曜の夜ということで大変賑わっており、予約無しなので心配したが、何とか席を確保でき、白人の若いウエイトレスさんが流暢な日本語で応対してくれた。近々、北海道に勉強に来るそうな。
店を出た時は午後8時半頃。夕闇迫るとはいえ、まだ明るいので、ホテルまで歩いて帰る。明日は息子のいるワシントン DC に移動するだけ。快い眠りにつけた。
独白
「60歳を過ぎて、アメリカで初めてのドライブ旅行、それも長距離・連泊のツアーは無謀だ」と、妻や妹、娘や友人達から言われていた。実際、慣れない左ハンドル・右車線、交通標識も素早く読めず、まして頼りの日本語ナビも十分使いこなせず、数々の失敗をおかしてしまった。しかし、何とか緊張の連続の6日間(時差を含めれば7日間)を無事(?)終えた達成感は何事にも代えがたい。
妻も妹も文句だらけの毎日だったが、数々の美しい景色も、うまいとは言えないまでも現地の食事の経験も、この挑戦があったからこそである。少しくらいは感謝しても良かろうにと、秘かに思う私である。
(2008年11月)
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