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映画&試写会レポート: Cherry Blossoms - Hanami

公式サイト: www.bavaria-film-international.de  

Cherry Blossoms - Hanami第33回シアトル国際映画祭の観客の投票で決まるゴールデン・スペース・ニードル賞で最優秀作品に選ばれたドイツ映画。夫と妻、そして親と子 - ドイツの片田舎からベルリン、そしてバルト海から東京へと場所を変えながら、人生で自分に最も近い存在であるはずの家族のあり方について考えさせてくれます。

愛する夫のルディ(エルマー・ウェッパー)がガンに冒され余命いくばくもないと医師に宣告されたトゥルーディ(ハンネローレ・エルスナー)。そのことを自分の胸にしまったまま、2人に残された時間を悔いのないように過ごそうと、ベルリンに住む長男と長女を訪ねます。でも、自分のことで精一杯の子供たちは戸惑うばかり。市内観光のガイドを買って出たり、トゥルーディーが観たがっていた舞踏ダンサーの遠藤公義(えんどう・ただし)の公演に連れていってくれたのは、長女の恋人だけでした。ルディとトゥルーディはそこからバルト海まで足を延ばしますが、なんとそこでトゥルーディが急死してしまい、子供たちは悲しみにくれる父親の扱いに困ってしまいます。しばらくして、様子を見に訪ねてきてくれた長女の恋人との会話を通じ、自分がトゥルーディの存在をあまりにも当たり前に考えていたことや、トゥルーディがやりたがっていた舞踏を自分がサポートしなかったことなどを後悔し始めるルディ。「長年連れ添ったのに、トゥルーディのことを本当には理解していなかったのではないか・・・?」そして、心の平安を求め、トゥルーディが生前に行きたがっていた日本へと向かいます。

何十年も連れ添っていても、ルディに変わらぬ愛情を持ち続けるトゥルーディ。牧歌的な田舎の村で、仕事から帰ってくる夫を出迎え、コートをとり、セーターを着せ、上履きをはかせ、一緒に夕食を食べるという、夫の日常生活を守ってあげるのが彼女の毎日であって、それはそれは貞淑な妻そのものです。自分よりも夫を優先した世代の代表のような彼女が舞台を見ながら流す涙は、後悔や怒りの涙ではなく、ただその選択をした自分を受け入れ、いたわる涙のような気がしました。しかし、日本でも「親の心 子知らず」「親孝行したいときに親はなし」と言いますが、それはドイツでも同じ。妻を亡くして悲嘆にくれる父親の「世話」の話になって、ゲンナリする子供たちを見るのはなんだかいたたまれません。祖父母が生まれた世代から社会も生活もこんなに多様化してしまったいわゆる先進国では、家族関係も糸が絡み合うようにますます複雑になってしまいがちですよね。気づいた時には後の祭り・・・なんてことにならないようにとは思っていても、なかなかうまく行かずに苦しい思いをしている人がたくさんいるのではないでしょうか。

さて、日本での撮影はこれが3作目という日本文化の大ファン、ドーリス・デリエ監督は、日本初体験のルディの目を通して、まるで観光ガイドのように日本のいろいろなところを次々と見せてくれます。ビルとネオンだらけで異様な新宿・歌舞伎町(だそうです)は、日本の異様な一面を強調するには十分過ぎるほど。ドイツでは落ち着いていたルディがとても頼りなく見えて、いったい無事に出てこられるかとハラハラし、おかげで富士山や河口湖の風景にはホッとさせられました。電車でお弁当を買ったり、旅館に泊まったりする際のこまごまとしたシーンなどは、日本を離れている人なら望郷の念にかられるかも。同時に、「こんなことを珍しく思ったり、不思議に思ったりするのか、ドイツ人もアメリカ人も変わらないな」と、外国人の目を通して日本を見るいい機会にもなります。私の場合は、日本に行ったことのなかった夫と初めて日本に里帰りした10年前に、あれこれ説明しながら日本各地を旅行したことを思い出させられましたね。ちなみに、ルディとゆうが宿泊したのは、河口湖にある丸弥荘だそうです。富士山はやっぱり夫と行っておかなくちゃと考えたりしながら、映画館を後にしました。(た)

【ジャンル】 ドラマ
【監督】 ドーリス・デリエ
【出演】 エルマー・ヴェッパー、ハンネローレ・エルスナー、アヤ・イリズキ、ナディヤ・ウール 他
【上映時間】 2時間7分

写真©Bavaria Film International



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