第2回 : 育児介護休業法(Family and Medical Leave Act:FMLA)とそれに関連する法律
■育児介護休業法(FMLA) の概要
この法律は、従業員あるいは従業員の直系家族が病気やけがなどの理由で、仕事がある一定の期間できなくなった場合に適用されます。ワシントン州に関しては、1993年に制定された連邦法に加え、更なる従業員に対する保護を確保する
『Family Care Act』 が制定されました。この州では、75マイル以内に50人以上の従業員をかかえる会社で働く従業員が対象になります。
この育児介護休業法 (FMLA)を利用するためには、過去12ヶ月にその会社で1,250時間以上働いた経験がなければなりません。適用される期間は12週間を上限としています。適用される対象者は(ワシントン州)、従業員はもちろん、従業員の配偶者・子供・親(義理の親を含む)・祖父母で、それらの関係者の病気やケガが、従業員が休職をせざるをえないほど(a
serious health condition)である場合にあてはまります。その例として、従業員の妊娠出産に伴う休職、出産やそれにともなう妻や子供の病気によって、夫が家族の面倒を見なければならない場合、親あるいは祖父母が病気のため介護を必要とする場合が典型的な例として挙げられます。また、従業員またはその家族が精神的な病気、例えばうつ病などによって従業員の仕事に支障をきたした場合にもあてはまります。従業員としてはまず、雇用者に必要な書類を提出し、例外を除いては、許可を得るまで待ちます。また、
法律上従業員は医師の診断書を提出することは必須とされていませんが、もし雇用者がなんらかの疑問を持って診断書を要求した場合は、それを提出しなければなりません。
ワシントン州ではさらに、従業員が病気休暇 (sick leave)や通常の休暇を育児介護休業として使うことができます。これはどういうことかというと、この法律上では休職中給料の支払いは必要とされていないため、会社の方針上手当てが支払われない場合、従業員が今まで使いきっていなかった休暇分をこれに当てることができるということです。休職のとり方は、その年内12週間の期間であれば、連続的あるいは断続的にとることが可能です。
■育児介護休業法 (FMLA)と障害者法(ADA)の比較
育児介護休業法は、前回のコラムで紹介させていただいた障害者法 (ADA) と非常に重なる部分がありますが、さまざまな点において相違しています。また、この2つの法律を混合して休職をとる場合もあるのが実情です。最初の相違点は、障害者法の対象は15人以上の従業員をかかえる会社であることです。また、病気やケガの度合いが、育児介護休業法においては一時的なものに対して適用しますが、障害者法のもとでは病気やケガが永続的な状態の場合に適用されます。ですから、もしある従業員がガン治療を理由に休職する場合は、育児介護休業
(FMLA) と障害者法 (ADA) の両方を適用することができます。この場合、休業の日数は12週間を超えたとしても、余分の休業を必要とした場合は、その休職許可自体がその障害者に対する企業の対応努力(reasonable
accommodation)だとすれば、許可を与える必要があります。また、従業員が長い休業をとって復帰した場合は、難儀な例外(undue
hardship)を除いて、同じ役職と手当てを約束しなければなりません。これに対し、育児介護休業法のもとでのみ休業をとって復帰した場合は、必ずしも同じ役職と手当てが保障されるとは限りません。ただし、育児介護休業をとったからといって、従業員を解雇したり昇給昇格の対象からはずしたり、休職を欠勤や遅刻扱いにして罰則の対象にすることは禁じられています。これはもちろん、障害者に対しても同じことです。
■仕事関連の病気やケガの場合
上記の法律以外に、仕事に関連した病気やケガについては、労働災害補償法 (Workers' Compensation statutes)
によって規定されています。この法律の下では、雇用者は仕事中あるいは仕事に関連してケガや病気になった従業員の医療費はもちろん、給料を休職中でも支払うことが義務づけられています。従業員が仕事中のケガや病気によって育児介護休業を要求した場合は、労働災害補償法における休業規定は育児介護休業法の下で扱われます。一例としては、デスクに長時間座っていたため腰を痛めた従業員が、腰痛を緩和する特殊のいすを要求した場合、会社はそれに応じる義務があります。また、職場でのいじめや差別などによって従業員の精神状態に支障をきたした場合、雇用者はこの職場環境を改める努力をする必要があります。さもなければ、後に従業員の状態が
"a serious health condition" と医師からの診断が下された場合は、会社がその被害に対する支払い責任を負うことになります。さらに、従業員がその被害に対して訴訟を起こした場合は、その訴訟費用も負担せざるを得ません。雇用者として重要な点は、従業員が仕事中あるいは仕事に関連して病気やケガになった場合は、まず従業員の状態が
"a serious health condition" として認められるかを判断し、認められる場合は従業員にその旨を通知し、育児介護休業法の下で手当てや休業方法などを決める必要があります。また、仮に従業員の状態が障害者として認められない程度の一時的な病気やケガだと判断されても、その従業員の状態に適した職場環境にすることによって(reasonable
accommodations)、無駄な訴訟を避けることができます。
(2008年7月)
= お断り =
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