移民局は、10月2日より申請料金の値上げを実施することになりました。10月1日までは現在の申請料金、10月2日以降の消印がある申請は新しい申請料金を支払います。
移民局の運営予算の約97%は申請料金から出ています。そのため、移民局は、定期的に申請料金と支出をレビューし、必要に応じて運営費をカバーできるように申請料金を調整することになっています。現状の申請料金では、年間約10億ドルが不足しているため、助成金が提供されない限り、移民局は8月末から70%(約13000人)の職員の一時解雇を検討していました。これに伴い、審査の遅れや停止が懸念されていましたが、8月25日、移民局は、一時解雇を撤回することを発表しました。
しかし、政策副部長のジョセフ・エドロウ氏は、今回の撤回は運営費用の削減によって実現したため、今後、審査が遅れる可能性があること、また、助成金なしでは将来的に一時解雇を避けられる保障はない、通常の運営に戻るには、議会の介入が必要であると伝えました。
今回提案されている値上げに関して、いくつか例を挙げてご説明します。今回の値上げは、平均20%で、2016年以来となりますが、中には、値下がりする申請もあります。また、オンライン申請が可能な申請に関しては、オンライン申請をした場合には、通常の申請料金から10ドルのディスカウントされます。例えば、グリーンカード更新申請は、通常料金が415ドルに対して、オンライン申請を行った場合は405ドルになります。
今回の値上げで特に目立つのが帰化申請で、現在の640ドルから1170ドルへと84%値上がりします。非移民就労ビザ申請に関しては、ビザのカテゴリによって申請料金が大幅に変わり、H-1B ビザのベース申請料金は、現在の460ドルから555ドルへと21%値上がりしますが、L ビザのベース申請料金は、460ドルから805ドルへと75%も値上がりします。
また、現在アジャストメント申請はバイオメトリックス料金を含め1225ドルですが、これには、アジャストメント申請中の渡航許可や就労許可の申請料金も含まれています。しかしながら、今回の発表によると、10月2日以降は、アジャストメント申請にこれらの申請は含まれないことになっているため、アジャストメント申請中に渡航許可や就労許可が必要な人は、これらの申請料金を別途支払わなければならないため、申請料金が現在の1225ドルから2270ドルへと85%値上がりします。また、アジャストメント申請が長引き、渡航許可や就労許可の更新が必要になった場合、新に申請料金が発生します。なお、現在、バイオメトリックス料金は85ドルですが、10月2日以降は、一部の例外を除き、原則それぞれの申請料金にバイオメトリックス料金が含まれます。
プレミアム・プロセスに関しては、すでに2019年12月より申請料金が1440ドルに値上がりしましたので、今回、更なる値上げはありませんでした。しかし、移民局は、プレミアム・プロセスの審査期間を15カレンダー日から15営業日に変更しました。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。