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アメリカ各地でアジア系に対する暴行事件が増加 アジア系活動家や俳優も対処を呼びかけ

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昨年3月、FBI がアジア人に対する暴行事件が増加する可能性を警告していると ABC News などが報じましたが、Asian Journal によると、2020年3月から12月にかけてアジア人に対するヘイトが原因の事件を追跡するオンラインレポート『Stop AAPI Hate』に寄せられた報告は2,808件に達しました。


先月28日、サンフランシスコのアンザ・ビスタ地域で、タイ系アメリカ人の Vicha Ratanapakdee さん(84)が猛スピードで走って来た人に突き倒されて負傷し、二日後に入院先の病院で死亡する事件が発生。当局は6日、Antoine Watson 容疑者(19)と、その従犯と見られる Maylasia Goo 容疑者(20)を逮捕しました。

また、今月3日、サンノゼでベトナム系の女性(64)が旧正月のために銀行から引き出した現金を奪われ、ニューヨークでは地下鉄で通勤途中のフィリピン系のノエル・キンタナさん(61)がカッターナイフで顔の端から端まで切られる事件が発生しました。New York Daily News によると、キンタナさんは病院で顔を約100針縫う大けがを負い、警察は監視カメラに写っていた容疑者の映像を公開して情報提供を求めています。

これらの事件が広く知られるようになったのは、ノーベル平和賞候補にもなったベトナム系アメリカ人の公民権活動家アマンダ・ウィンさんが事件について知らせる動画をインスタグラムに投稿し、「アメリカの主要メディアではアジア系アメリカ人が被害者のこれらの事件が取り上げられていない」と訴えたことがきっかけ。この動画は24時間で300万回以上も再生され、一気に注目が集まりました。

さらに、俳優のダニエル・デイ・キム氏とダニエル・ウー氏が、先月31日にカリフォルニア州オークランドのチャイナタウンで91歳の男性がいきなり背後から突き倒された事件をとらえた監視カメラの映像をリツイートし、容疑者の逮捕につながる情報提供者に2万5000ドルの報奨金を提供すると発表。MSNBC の American Voices や CBSN などにアマンダ・ウィンさんらと出演してアジア人差別問題の深刻さを訴え、対処を呼びかけました。

オークランドの事件は、その後、当局がYahya Muslim 容疑者(28)を逮捕し、3件の暴行罪と高齢者に対する暴行罪で起訴したと発表しました。ABC News によると、同容疑者は同じ日にアジア系の男性(60)と女性(55)にも同様の暴行を加えた容疑を受けていますが、動機は明らかになっていません。

バイデン大統領は先月26日、今回のパンデミックの間に急増しているアジア系アメリカ人と太平洋諸島出身者に対する外国人排斥(xenophobia)に対処するよう連邦政府機関に指示する大統領令に署名し、「これは容認できないし、アメリカ的ではない。司法省にアジア系アメリカ人と太平洋諸島出身者のコミュニティとの連携を強化して憎悪犯罪を防止するよう要請した。また、保健福祉省に、COVIDへの全国的な対応において、外国人排斥恐怖症と闘うための最善の措置をとるよう要請した」と述べました。

ABC30 によると、ジェン・サキ大統領報道官は9日の記者会見で、急増するヘイトクライムについての記者からの質問に対し、「バイデン大統領が91歳の男性が暴行を受けたビデオを見たかどうかは知らないが、アジア系アメリカ人に対する差別や行動を懸念しており、だからこそ大統領令に署名し、暴行や言葉による攻撃、いかなる形の攻撃も容認できないことを明確にするよう率直に発言してきた」と回答しています。

具体的にどのようにすれば、アジア系を標的にした犯罪をなくすことができるのか。アマンダ・ウィンさんは、これらの犯罪をメディアが報じるよう呼びかけを続けること、連帯して人種差別をなくそうといったメッセージを、ソーシャルメディアなどを通じて発信しています。



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