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紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

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紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

今では日本でも珍しい紙芝居を仕事にして日本全国を飛び回っている紙芝居師の「たっちゃん」こと川上竜生(かわかみ・たつお)さんが、再びシアトルにやって来ます!大好評を博した前回の2018年の公演以来、約4年ぶりのシアトル公演。今回はどのような企画を考えてくださっているのか伺いました。

【公式サイト】ehongeki.com

ユース・シアター・ノースウエストの交野みみさんがシアトル公演を依頼した際、開口一番、「行きます」と答えられたと伺いました。その時のお気持ちは。

私が所属する劇団『マーガレット一家』は、「家族と仲間、そして世界中を笑顔にする」という、とてつもなく大きな野望を持っています。

それをずっと唱えていると、それに近づいていけるような気がしていたのですが、交野みみさんがそのきっかけをくださって嬉しかったです。

紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

– 日本と違って、シアトルでは観客が日本語の人ではない場合も多いと思うのですが、どのような工夫をされていますか?

最初はやっぱりものすごく不安でした。でも、僕は日本語、みみさんが英語で、二人で一緒に練習し、息を合わせて演じたら、すごく面白いものができました。

紙芝居は基本的に一人でやるものですが、みみさんは素晴らしい俳優さんでもあるので、僕一人でやる時よりも高級なものができているのではと思っています(笑)。

紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

– 前回のシアトル公演で印象に残っていることは?

他のパフォーマンスでも同じかどうかわかりませんが、一番最初に驚いたのは、公演が終わった後に先生やオーガナイザーが「質問がある人!」と呼びかけると、子ども達が次々と手を挙げて聞いてくること。

日本では聞きたいことがあっても、手を挙げなかったりしますから。でも、自分もそういうシャイな性格なので、そういう子どもを見つけた場合は、その子を選んでなぞなぞに答えてもらい、僕が「正解!」と答えます。その子に「みんなの前で答えが言えた」という達成感を感じてもらいたい。みんなに拍手をもらって一つ成長したみたいな。

シアトルでは、大人の方も「とても良かった」などと褒めてくださいますね。これはとても嬉しいです。もちろん、シアトル公演では英語を担当してくださるみみさんの力が偉大なのですが、僕が英語を話せなくても、「つながろう」「つながりたい」と思っている気持ちをきちんと受け止めてくれるのですね。

最初は思い思いの体勢でこちらを見ていた子どもたちが、だんだん物語に集中してくるのを感じるのも面白いです。

実際、ほとんどの方にとって紙芝居は初めてだったと思います。あんなアナログなものはないですが、子どもたちは新しいという感覚で想像力を働かせながら観てくれて、大人の方は懐かしいという思いを持って観てくれる。そんなふうに幼いお子さんから大人までが一緒に一枚の絵に集中できるのがいいですよね。

紙芝居の内容とは関係ないのですが、シアトルでは想定外のことがたくさん起こりました(笑)。私は細かい性格で、それまでは「ウォームアップが必要で、きっちりやらないと気持ち悪い」と思っていたのですが、シアトルでは「そこにもう子どもたちが待っているから、すぐにやって」とか、「会場に着いて5分で始めよう」ということもあって。でも、そのおかげで、地下足袋をはいてから登場、ではなく、はきながら登場することでも笑わせることができるとわかりました(笑)。シアトルでの公演は、たくましく成長させてもらえる機会だと思っています。

紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

– 川上さんが紙芝居に感じている魅力は。

僕が紙芝居を始めたのは、「一番やりやすいと思ったから」という不純な動機からでしたが、始めてみると、紙芝居は文化として成熟しているものではなく、大衆風俗のようなものなので、可能性がすごく詰まっていることがわかりました。僕の紙芝居はオーソドックスなものはなく、自分がやりたいようにやっていますが、そういうのもありなんです。

コロナによって、紙芝居をやる環境もガラッと変わってしまいました。今、日本ももうコロナとの共生という方向に移行していますが、例えば僕は以前のようにお客さんの間に入らないようにして、観客のみなさんとは2メートルの距離を置いて、フェイスシールドをしています。距離がある中でどういうふうにコミュニケーションをとるか工夫して変えたので、同じ演目をやるにしても前回とは違います。離れていてもコミュニケーションが取れることがわかったので、変わるのも悪いことばかりではないんですね。

また、Zoomで紙芝居の公演をさせていただくようにもなりました。一年半ぐらい前になりますが、オランダに住む日本人の幼稚園児に紙芝居をしたこともあります。日本人のおじさんの日本語での紙芝居に子どもたちは大興奮してくれました。当時のオランダはロックダウンの状態で、家と幼稚園を往復するような世界でしたから、いつも以上に面白かったのではないかなと思います。

前回のシアトル公演でも、日本からお仕事でシアトルに行っている方々のお子さんたちがすごく喜んでくれました。心のふるさと的なものを感じたり、深いところで共感したりしてくれているのかなと。僕が紙芝居でやっていることはばかばかしいことですが、ただただ安心して笑ってもらえたらいいなと。そんなところに、やりがいというか、生きがいを感じさせてもらいました。

紙芝居師の「たっちゃん」、再びシアトルへ!川上竜生(かわかみ・たつお)さんインタビュー

– 今回の新しい試みがあれば、教えてください。

今回の新しいこととしては、言葉のいらない紙芝居というのを一つ用意しています。タイトルは『ゾンビの誕生』といいますが、言葉がないので、何語の人にでも通じるという作品です。

私はお話を作ったり、絵を描いたりすることはできませんが、日本全国の若手の紙芝居作家さんたちとのつながりができたので、その人たちの作品をやらせてもらう機会が増えています。紙芝居作家としてだけで生活していける状態ではまだありませんが、でも増えてきているんですよ。例えば、絵を描く人だったり、漫画を描く人だったり、お芝居の脚本を書く人だったり、そのような方々が、紙芝居作品を作ってくれています。

– 今回シアトルで紙芝居を見に来てくださる方に伝えたいことは?

他のお芝居もそうかと思いますが、紙芝居は一緒に見ている人同士が共感できて、その時間を楽しめるものです。難しいことではなく、安心して一緒に笑いあってもらえるというのが、体にも心にもいいので、気楽に楽しみに来てほしいなと思っています。おそらく、すごくブワーッと汗をかいて、バタバタしていますので、笑いに来てください。

– ありがとうございました。シアトル公演を楽しみにしています。

川上竜生(かわかみ・たつお)さん
愛知県の名古屋市を拠点に、日本全国を飛び回って伝統的でユニークな紙芝居公演を行っている熱血紙芝居師。劇団『うりんこ』出身。優れたコミュニケーションツールである紙芝居の魅力にとりつかれ、紙芝居師の道へ。2007年、画家・脚本家など様々なジャンルのプロとともに『マーガレット一家』を設立。幼稚園・保育園・グループホーム・劇場・学校・大学・お寺・カフェ・小児科病棟・ライブハウス・ハウジングセンター・ショッピングモール・遊園地・公園・空き地・あなたのお家などなど、どこでも伺います!!「家族、仲間、そして世界中を笑顔にする♪」という野望に向かって、仲間とともに走り続けている。
【公式サイト】ehongeki.com

写真提供:Youth Theatre Northwest

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