シアトルのダウンタウンにある公立中央図書館で、1900年代初期に熊本からシアトルに移住し、日本人コミュニティの社交場として愛されるようになった日用雑貨店 『Higo 10 Cents Store』 を開店した村上家の歴史を伝える展示が公開されています。
現在のインターナショナル・ディストリクト、パイオニア・スクエア、セントラル・ディストリクトが、かつてシアトル日本町として栄えていた頃の1932年、熊本出身の村上三蔵・松代夫妻はその中心部の目抜き通り South Jackson Street にジャクソン・ビルディングを建設し、1909年から営業していた『Higo 10 Cents Store』(以下、Higo)を移転させました。
多くの人が日用雑貨を買いに訪れた Higo は、日本町の社交場として愛されるようになりましたが、第二次世界大戦中の米国政府による日本人・日系アメリカ人の強制収容政策により、村上家も1942年に強制収容されてしまいます。
Higo は閉店を余儀なくされたものの、HistoryLink.org によると、幸いなことに同ビルのテナントの兄弟が Higo を破壊行為から守り抜いてくれたため、強制収容を生き延びて1945年1月22日に再びシアトルに戻った村上家は営業を再開。周辺の日本町はすたれてしまいましたが、村上夫妻の子どもらが2003年まで営業を続けました。
シアトルのウィング・ルーク博物館によるこの移動展示会『Meet Me at Higo: An Enduring Story of a Japanese American Family』 は、村上家の不屈の歴史を通じてシアトル日本町の変遷を紹介するものとなっています。
現在、『Higo 10 Cents Store』 は、日本やローカルの職人が手掛けた商品を販売するショップ&ギャラリー 『Higo at KOBO』 として使用されており、90年以上に及ぶ歴史を今に伝えています。この地域の歴史を自分で歩いて学ぶ『日系アメリカ人 ゆかりの地ガイド』もご覧ください。
『Meet Me at Higo: An Enduring Story of a Japanese American Family』
【会場】 Central Library 8階(地図)
【公式サイト】www.spl.org
Kobo at Higo
604 S Jackson Street
Seattle, WA 98104
koboseattle.com