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第144回 アメリカにおける AI 採用の現状と注意点

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最近、企業が採用活動に AI 技術を導入するケースが増えています。そこで、今回は、AI を利用した採用(AI採用)における注意点を簡単にご説明します。

もくじ

AI 採用とは

AI を利用した採用とは、書類選考の段階で、履歴書や関連書類をAIに読み込ませ、必要なキーワードを設定し、アルゴリズム分析によって収集されたデータに基づいて、人選を行います。

例えば、Human Resource の経験がある人材を選びたい場合、AIを使って、 “Human Resources” や “HR” という単語が含まれていないレジュメを除外していくというような作業です。

法的な問題

これらは一見便利に見えますが、法的な問題も最近発生しています。

例えば、AIに入力したキーワードに、年齢、誕生年月日、移民法上のステータスなど、対面の面接なら法的問題になる質問やキーワードを入力する企業が増えているのです。

また、複数の言語による入力によってキーワードの選択も複雑化されてきたため、本来ならば意図としない採用方法になる可能性もあります。

アメリカではすでに、AIを利用して差別的な採用をしたとしてある企業の採用責任者が訴えられたケースがあります。

その責任者は、「AIが選別したのであって、企業には責任がない」と反論しましたが、AIへのデータ入力をしたのがその責任者であれば、AIを使用してもしていなくても企業に法的責任があることは変わりません。

また、AIへのデータ入力を複数の人が行うことで、質問やキーワードに法的問題になる可能性のある情報を入力した人が一人でもいれば、企業全体の責任になります。そのため、採用決定の段階で AI に頼るのは危険です。

企業には、AI を採用活動に導入する前に、企業責任が問われる可能性のある質問やキーワードを入力しないこと、意図した採用方法になるようデータを確認することなどの作業が求められます。

こうしたことから、AIを利用した採用が採用効率を上げる結果につながるかどうかは、その方法次第と言えるでしょう。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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