前回のコラムでは、ChatGPTに「質問に答えてもらう」方法について解説しました。今回は、ChatGPTに「タスクを実行してもらう」方法について解説します。
指示文でタスクを実行してもらう
例えば、シアトルの1年間の大まかな気温を表にするという仕事があったとします。その場合、Excelなどのアプリケーションで作成することもできますが、人間が手作業で行うと時間と労力がかかります。そんな時はChatGPTを活用しましょう。
このように、ChatGPTなら、煩雑な作業もスムーズに、そして迅速に処理できます。面倒なタスクがある時は、ChatGPTを活用する絶好の機会です。
他にも以下のような使い方があります。
- 購入予定の車AとBを比較して、まとめを作成してください
- 「海賊、冒険、仲間」をテーマにしたショートストーリーを書いてください。
- 彩豊かで、なおかつ低カロリーな献立を1つ提案して、家族4人分の材料を書き出してください。
- 中学生程度の漢字の理解度を測る穴埋め問題を5つ作ってください。
これらの指示文は、どれもなんらかの結果を生成します。指示文のパターンはほぼ無限に考えられます。これらのヒントを元に、身近な仕事や作業の中でChatGPTに実行してもらうことで時間を短縮できるようなものがあるか考えてみましょう。そして思い当たるものがあったら、試しにChatGPTにやらせてみましょう。
さて、ここまでは「ひとつの指示文」を使った単純なChatGPTの活用方法を紹介してきましたが、次に「指示文とコンテンツ」というパターンのプロンプトについて解説していきます。
指示文とコンテンツでタスクを実行してもらう
ChatGPTの便利な使い方の別のパターンとして、「すでにあるコンテンツ」を分析する、加工する、もしくはそのコンテンツを元に別のコンテンツを作ってもらうというものがあります。この場合、「指示文」と「コンテンツ(内容)」で構成されるシンプルなプロンプトを基本形として使います。
下の例では「英訳してください」という指示文と「英語に翻訳してほしい日本語のコンテンツ(内容)」を、1行の余白を挟んでChatGPTに送信しています。
ChatGPTは「英訳してください」という指示にしたがってコンテンツを日本語から英語に翻訳し、その結果を返しています。
ところで、上の例の指示文は「以下の日本語の内容を」という目的語を省略しています。ChatGPTは「何を」英訳すべきか、およびその文章が「何語で書かれているか」を文脈から理解できるので省略することができたのです。このように「ChatGPTは文脈を理解する」という点を知っているとプロンプトを効率的に書くことができます。
指示文とコンテンツの基本形の応用
指示文とコンテンツの基本形を応用して、さまざまなタスクを実行させることができます。ここでは、ChatGPTを使って解決できる代表的なタスクを紹介します。ChatGPTを使ってどのようなことができるのか、おおまかに理解できるようになるべく、広く浅く解説します。身近な問題を解決できるヒントが見つかるかもしれません。
翻訳してもらう
もうすでにご存じの方も多いかと思いますが、ChatGPTは文章を他の言語に翻訳することができます。扱える言語は、英語や日本語はもちろん、実にいろいろなあります。
単純に翻訳するだけでなく、スタイルを指定することもできます。
- ハリーポッター風の英語に訳してください。
- フォーマルな表現を使った英語に訳してください。
- スラングを使って、カジュアルな英語に訳してください。
- 取扱説明書のような英語に訳してください。
こういった翻訳は、これまでの翻訳サービスでは簡単にはできませんでした。
このように翻訳にも使えて便利ですが、必ずしも完璧ではない可能性があることは踏まえたおいたほうがいいでしょう。これについて後日、別のコラムで触れてみたいと思います。
要約してもらう
長い文章や難解な文章の要点を、素早く理解する必要がある場合は、ChatGPTに要約してもらいましょう。
以下は短い文章を使った例ですが、数ページに及ぶ長い内容も要約することができます。
要約の仕方を、さらに細かく指定することもできます。
- 150字以内にまとめてください。
- 要点を箇条書きにしてください。
- 要点をまとめた表を作成してください。
- 出来事を時系列にまとめてください。
- 対話形式にまとめてください。
- 一人称の視点で、自分が体験したように要約してください。
文章を要約してもらう場合は、自分にとってわかりやすい形式はどのようなものかを考えて、それを指示文に含めると良いでしょう。また、結果が気に入らない場合は、指示文を少し変えて、何度でも試すことができます。
誤字・脱字を訂正してもらう
誤字・脱字を訂正する機能は、すでにGoogleDocやWordなどのテキストエディターに備わっていますが、ChatGPTでも可能です。
その他の「誤字・脱字を訂正してもらう」の応用例
- 誤字・脱字の訂正の提案だけをしてください。
- 誤字・脱字の訂正をして、その理由も書いてください。
- 誤字・脱字の訂正箇所を全部まとめて、文章の後に表にしてください。
ここでも、ただ単に誤りを指摘してもらうだけでなく、必要に応じてなんらかのプラスアルファの処理をChatGPTにやってもらうことができます。
校正してもらう
ChatGPTは、誤字や脱字の訂正だけではなく、文法的な誤りを修正し、文脈に合った適切な語彙の選択を提案することが可能です。ここで紹介したのは日本語の文章ですが、ChatGPTは英文校正も行うため、英語のエッセイやレポートの添削にも対応しています。
その他の「校正してもらう」の応用例
- 訂正の提案だけをしてください。
- 訂正して、その理由も書いてください。
- 文体をアカデミックなスタイルに合わせて校正してください。
- ビジネスレポートの形式に校正してください。
表現を書き換えてもらう
文章の内容はそのままで、例えば特定の読者グループ向けに書き直したい時は、ChatGPTにやってもらいましょう。
その他の「表現を書き換えてもらう」の応用例:
- 日本語の初心者向けに、簡単な表現だけを使って書き直してください
- 小学校4年生以上で習う漢字はひらがなになるように書き直してください
- 感情を込めて、詩的に書き直してください。
- 専門用語を一般的な言葉に書き直してください。
- 関西弁に書き直してください。
詳しく書き換えてもらう
内容に深みがないときや、全体的に短すぎる時は、ChatGPTに内容を充実してもらうよう依頼できます。これは内容を短くする「要約」とは逆の「詳述」をしてもらう使い方です。ChatGPTをよりクリエイティブに活用する方法のひとつです。
その他の「詳しく書き換えてもらう」の応用例
- それぞれの具体例について、詳しい内容を加えてください。
- まとめの段落を加えてください。
- 背景情報を加えてください。
- 関連する統計や研究結果を挿入してください。
- 議論を深めるための質問を加えてください。
内容を解析してもらう
ChatGPTは、コンテンツの解析を行うこともできます。例えば、文中にある固有名詞をすべて探すといったタスクは人間にとって大変な作業ですが、ChatGPTに依頼すると簡単に終わります。
その他の応用パターン
- 動詞を抜き出し、それぞれに同義語を示してください。
- (英語の場合)動詞を抜き出し、それぞれの過去完了形を示してください。
- (英語の場合)名詞を抜き出し、それぞれの単数形と複数形を示してください。
- 主張と根拠を抜き出し、それぞれを分類してください。
- 文章内の感情を分析し、支配的な感情を特定してください。
下書きを書いてもらう
普段の生活や仕事などでは、簡単なあいさつから正式な書類まで、さまざまな文章を書かなくてはなりません。特にフォーマルな文章など、普段から書き慣れていない作文はストレスを感じることもあります。そんな時はまず、ChatGPTに下書きを書いてもらいましょう。
以下はChatGPTが書いた退職届の下書きです。長文なので、スクリーンショットではなく、内容そのものをコピーしました。
[Your Name]
[Your Address]
[City, State, Zip Code]
[Email Address]
[Phone Number]
[Date]
[Manager’s Name]
[Company Name]
[Company Address]
[City, State, Zip Code]
Dear [Manager’s Name],
I am writing to formally announce my resignation from [Company Name], effective [Last Working Day, typically two weeks from the date of the letter].
I want to express my deepest gratitude for the opportunity to be a part of the [Company Name] team. Working here has been a tremendous honor, and I have greatly valued the experiences I’ve gained. Collaborating with such a talented group of colleagues has been a highlight of my career, and I consider myself fortunate to have been part of such a skilled and dedicated team.
After much consideration, I have decided to accept a new opportunity at another company where I feel my skills and aptitudes will be utilized to their fullest potential. This decision was not made lightly, but I believe it aligns with my career goals and personal growth.
I am committed to ensuring a smooth transition and will do everything possible to assist in handing over my responsibilities. Please let me know how I can help during this transition period.
Once again, I am truly grateful for the opportunities for professional and personal development that you have provided me during my time at [Company Name]. I look forward to staying in touch, and I hope our paths cross again in the future.
Thank you for your understanding and support regarding my decision.
Sincerely,
[Your Name]
アイデアを提案してもらう
ChatGPTに依頼できるタスクには、既存の文章を処理してもらうこと以外にも、「クリエイティブにアイデアを出してもらう」使い方があります。例えば、家にある食材を使った献立のアイデアがどうしても思い浮かばないような時は、ChatGPTに考えてもらいましょう。
その他の応用例
- ひとりベジタリアンの方がいます。その点も考慮して、献立を考えてください。
- 塩分を最小限にした献立を考えてください。
- 糖質制限をしている人向けの献立を考えてください。
- 子ども向けの楽しい色や形のある献立を考えてください。
- 秋の食材を使った献立を考えてください。
まとめ
今回は、人の代わりにChatGPTにタスクをやってもらうプロンプトの書き方を解説しました。指示文だけでタスクをやってもらうこともできますが、指示文に内容(コンテンツ)を加えることで、文章の書き直しや要約、分析など実行してもらうこともできます。ChatGPTは、コンテンツを作成する仕事で、その威力を発揮するのです。
ただ、ChatGPTにやってもらいたいタスクはわかっていても、何度試しても期待通りの結果が出ないということはよくあります。次回はそのような時の具体的な改善方法について解説します。