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みなさん、こんにちは!真洋です。
シアトルもすっかり夏の気候で、夏好きの僕にとってはこれまでにない最高の日々なのですが、僕が通っているベルビュー・カレッジはコットンウッドの綿毛がかなり飛んでいて、時折鼻に入ったり、服についたりするので、少々やっかいです(笑)。
美羽さんから少し紹介がありましたが、来月10日にハーフマラソン(Rock ‘n’ Roll Marathon)に参加します!トレーニングを急ピッチで始めたものの、言い訳をさせていただくと、学校の数々のファイナルや提出物に追われ思うように走れていない状況です。とてもとてもとても不安です。
今回のカフェは、前回に続き「カフェ×本特集 第2弾」としてご紹介するキャピトル・ヒルのやや東のエリアにある 『Ada’s Technical Books & Cafe』。
外観は可愛らしい一軒家のようですが、なんと築100年の建物を改築した建物なんです。ご夫婦が2010年に始めた本屋を2013年にこの場所に移転し、Books & Cafe の形で再始動しました。
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Ada というカフェの名前は19世紀にコンピュータ・プログラムの先駆者とも言われたエンジニア、Ada Lovelace(エイダ・ラブレス)にちなんでおり、お店のロゴも彼女がモチーフになっています。
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店に入ると左手にカフェのエリア、右手に本棚が広がっています。ショーケースにはすべてお店のキッチンで作られるというバラエティに富んだペイストリー類が並べられていました。
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このお店は、他の多くのカフェと同様、ロースター(焙煎所)を構えないマルチロースターカフェ(他の店の豆を定期的に変えて使っているお店)です。いつも使っている Kuma Coffee の豆に加え、ゲストロースターとして定期的にさまざまなロースターの豆を使用しています。僕が来店した時は、La Marzocco Cafe のゲストロースターとして今年4月にシアトル中のコーヒー愛好家達を魅了し続けた Onyx Coffee Lab の豆を使っていました。
この日の豆は、これらのロースターから取り寄せた7種類。コーヒー好きとしては、これだけ豊富な種類の豆が置いてあるとラテやモカなど、エスプレッソ(濃く抽出したもの)をベースとした、豆の種類を選ぶことができない(基本的にどこのお店でもエスプレッソは1種類の豆を使います)ドリンクではなく、プアオーバー(pour over)を必ず頼んでしまいます。
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しかも、プアオーバーだけでなく、エアロプレス(AeroPress)でも淹れてもらうことができます。抽出方法を選べる店はそう多くありません。7種類の豆に2種類の抽出方法、計14種類の選択肢に頭を悩ませながら出した結論は、Onyx Coffee のエチオピア産の豆×プアオーバー。
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コーヒーを待つ札には手書きでイラストが描かれており、お店の温かみが感じられます。僕はプアオーバーを頼む時、バリスタがコーヒーを淹れる姿を必ず近くで見ます。彼らがお湯をポタポタと落とす仕草はとてもカッコよく、また、そのお湯が挽きたてのコーヒー豆に染み込んだ時に発する香りが香ばしく、子供がおもちゃ屋さんのガラスケースにへばりつくような姿でいつも見入ってしまいます。いつものように席に札を置き、コーヒーを淹れる姿を見に行くと、僕が今まで一度も見たことのないプアオーバーの器具を使用していました。
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店員さんに聞くと、Timolino という、マグボトルをメインで扱っているメーカーの紅茶・コーヒー抽出器具とのこと。シアトルにきてこれまで約120店舗のカフェを訪れましたが、この器具を使っているお店は初めてです。
コーヒーはお店のロゴが刻まれたオリジナルのガラスマグに注がれて出てきました。細かいところにもこのお店のこだわりが感じられます。
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見た目は透き通っておらず、若干濁っています。僕の好きなコーヒーの色、濁り方であったので一口すすると、見た目通りの味に思わず笑みがこぼれました。この抽出器具のフィルターは通常、プアオーバーで使用される紙のフィルタよりも目が粗いため、コーヒーの油分が直に抽出され、よりマイルドでリッチな味わいを生み出せるのです。個人的に、紙のフィルタで淹れた透き通ったクリーンな味よりも、コーヒーの油分が混じった濃厚な味が好きなので、自宅でコーヒーを淹れる際もいつも紙のフィルタではなく、それよりも目の粗い金属のフィルタを使っております。
すみません、話が少しマニアックな方向に行き過ぎました・・・(笑)。
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前回「カフェ×本特集 第1弾」で Little Oddfellows を取り上げた際、本屋さんの中にあるお店ならではのこだわりを箇条書きで取り上げたので、同様の形でここのお店で発見したこだわりポイントもご紹介します!
1. カフェのテーブルはすべてガラス張りになっており、中にいろいろなものが入っていました。すべてのテーブルに異なる装飾が施してあります。僕が座ったテーブルは電子盤が入っていて、電球がピカピカと光っていました。他の机も気になったので覗いてみると、蝶の標本が入っているテーブルがあったりコンパスで埋め尽くされているテーブルもありました。訪れる度に、どれに座ろうか楽しみになりそうですね。
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2. 本だけでなく、電子回路の子供用キットや種類に富んだパズルまで、基本的には子供を対象にした知的好奇心がくすぐられるグッズがたくさん売られていました。僕の一番のお気に入り(買ってはいません)は、Egg Bot という卵の殻に文字を書くキットです。イースターに大活躍しそうですね。
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3. お客さん参加型のイベントが定期的に開かれています。お店にあるイベントボードを見ると、Drawing Lab から Board Game まで、かなりの頻度でさまざまなイベントが開催されております。実はお店の中にイベント専用のスペース「THE LAB」があり、この部屋で各種イベントが開催されるとのこと。イベント毎に対象年齢の記載もされており、21才以上限定のイベントからAll agesのイベントまでさまざまです。イベントカレンダーはお店のホームページでも確認することができます!
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4. 本棚には店員さんのおすすめの書籍がピックアップされ、他の本とは違う棚に並べられていたり、非常にわかりやすい手書きの説明カードがついています。
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5. 2階のフロアには「THE OFFICE」という名前の coworking space(コワーキングスペース)があります。お金は別途かかりますが、集中して勉強や作業をすることができます。
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最初に少し触れたカフェの名前の通り、このお店には少しテクニカルでマニアックなこだわり、仕掛けがたくさん散りばめられています。子供達に何かを作ることであったり、化学や物理などの楽しさを伝えることだったり、そしてそれと同時に、大人達に子供の頃の好奇心を思い出させてくれ、単なる「カフェ」にはとどまらないお店の想いが沢山詰まった空間となっているのです。
1杯目のコーヒーを飲んだ後にこれだけたくさんの味わい方ができるのに1杯だけではもったいないと思ったので、2杯目をオーダーしました。
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2杯目は Kuma Coffee のグアテマラ産の豆×エアロプレス。前述したエアロプレス(AeroPress)とは、フリスビーの会社 AEROBIE 社が作ったコーヒーの抽出器具で、注射器や子供の頃よく遊んだ竹製の水鉄砲(これが何かわからない若い方々はぜひネットで調べてください)のようなギミックでコーヒーを淹れます。誰でも手軽に美味しいコーヒーを短時間で入れることができ、さらに値段も手頃なので、家やキャンプでこれを使ってコーヒーを淹れる人が最近増えています。僕も朝時間のない日はエアロプレスでコーヒーを淹れております!上からエアロプレスを押す時に少し力が必要なのですが、写真のように頭を手の上に乗せて押す店員さんがとってもキュートでした!
コーヒーもコーヒー以外のお店のこだわりも、両者を非常に高いレベルで提供しているお店の姿にただただ感心した今回のカフェ探訪でした。
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Thank you for a great time and coffee!
次は、これまでロースタリーカフェだけに絞って取り上げてきたものの、徐々に取り上げるお店が少なくなってきて少々苦戦中の瑠菜さんです!
Ada’s Technical Books & Cafe
425 15th Avenue East, Seattle(地図)
【席数】約35
【公式サイト】www.seattletechnicalbooks.com
【Wi-Fi】 あり
【電源】 席によってはあり
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沢田 真洋(Sawada Masahiro)
1991年、神奈川県藤沢市生まれ。大学卒業まで三度の飯よりサッカーな生活を送り、卒業後一般企業に就職。3年と少し勤めた後、退社を決意し、2017年9月よりIBPプログラムでベルビュー・カレッジに留学中。シアトルに来てから柄にもなくカフェ専用のインスタグラムアカウントを作り、備忘録代わりにシアトル周辺で訪れたすべてのカフェを記録している。将来は地元・湘南にカフェを開くのが夢。最近のマイブームはハーモニカ。
掲載:2018年5月