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赤ちゃんの健康のために 第1回 ペットと赤ちゃん (1)

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ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士
押尾 祥子さん

Sachiko Oshio, CNM, PhD, ARNP

Nadeshiko Women’s Clinic

【メール】 info@nadeshikoclinic.com
【公式サイト】 www.nadeshikoclinic.com
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赤ちゃんが家族に加わることになった時、ペットの安全性について質問をよく受けます。今回は、ペットと赤ちゃんについてお話します。

妊娠中や子供が幼いうちは、爬虫類(亀・蛇・トカゲ・イグアナなど)や両生類(カエルやサンショウウオなど)は避けましょう。特に爬虫類は90%以上にサルモネラ菌がいることがわかっています。通常、サルモネラ菌は食中毒をおこすばい菌で、主に鳥肉や卵についており、料理の時にまな板や調理器具をよく洗い、よく火を通して食べれば防げる場合が多いのですが、ペットにサルモネラ菌がいる場合は、糞に含まれる菌が粉になって家中に広がることがわかっています。これから妊娠する予定があって現在爬虫類を飼っている人は、爬虫類を他の人に引き取ってもらい、家中をきれいにしましょう。

ひらひらと泳ぐ金魚や熱帯魚は幼いうちから赤ちゃんが目をひかれ、私のクリニックでも上のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちは金魚に餌をやるのを楽しみにしています。でも、濡れたところにはばい菌が繁殖しやすいので、水槽や金魚を扱ったら、子供に触る前に、必ず石鹸とお湯で手を洗いましょう。また、ガラスと水と電気を使う熱帯魚は、子供が電線や水槽を引っ張って事故にならないよう、十分気をつけましょう。熱帯魚の水槽は大変重いものです。規定の台を使い、地震やぶつかったりした時に簡単に子供の上に倒れないよう、注意をしましょう。

また、犬や猫も、獣医に連れて行って健康診断をしてもらいましょう。自分が妊娠を計画していることを伝え、必要な検査・処置をしてもらいましょう。予防注射をして病気にならないようにすると同時に、寄生虫やノミを駆除し、子供にうつらないようにすることも大切です。特に猫の場合はトキソプラズマという原虫がいる場合があり、妊娠中に感染すると胎児が死亡したり、発達障害が起こったりします。若いころから猫を飼っていた人なら、トキソプラズマの抗体があることが多く、新しく感染することはまれです。すでに陽性になっている猫の場合は、妊娠中は他に預けておきましょう。現在陰性で外に出る猫は、汚染された肉を食べて感染することがあり、糞の中にオーシストとよばれる卵を排出します。妊娠中は、猫を外に出さず、妊娠していない人に毎日砂箱をきれいにしてもらいましょう。

妊娠や出産を予定していて、新しくペットを飼う場合に、どんな犬種なら安全か、どの種類の猫が良いか、などとと聞かれることがあるのですが、種類による性格的な傾向ぐらいはあっても、それ以上に個体差が大きいと思います。子供にとてもやさしいピットブルもいますし、子供に噛み付いて大けがをさせる小型犬もいます。どちらにしても、どんなしつけをしているかがとても大切になります。小さいころから、「人間は優しくて、かわいがってくれて、信頼できるボスなのだ」ということをペットに体験させておくと、小さくて、弱くて、しかも、わけのわからないことをする子供が家族に加わっても、「ボスにとって大切な生き物なのだから、自分も大切にしよう」と感じてくれます。

長く飼っていて信頼できるペットだからといって、ペットと赤ちゃんだけにしておくことは避けましょう。予測できない事態が起こった時に、ペットや子供は十分な判断力がないため、事故につながる可能性があります。たとえば、子供が犬の首輪に腕を入れてはずれなくなったりした場合などは、呼吸のできなくなった犬が必死になってもがいて、大変危険です。また、他の犬や猫が自分の縄張りに入ってきた時に、普段はおとなしい猫が手近にいる子供を攻撃するような場合もあります。このような事故はとてもまれですが、毛をひっぱって猫にひっかかれたり、犬が興奮して子供にぶつかって子供が転んだりすることは良くあります。ペットと子供が一緒にいる時には、必ず、大人が同席するようにしましょう。

次回は、産まれてくる子供に備えて、どんな犬のしつけをしたら良いかについてお話します。

掲載:2005年8月

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