米国と日本で草の根レベルでの友好平和の継続を目的とする第28回日米草の根交流サミットが9月18日から24日まで1週間にわたりシアトル・ワシントン州各地で開催され、日本全国から参加した約150人が市民との交流を楽しみました。
この日米草の根交流サミットを主催する国際草の根交流センターは、1841年に土佐から海に出て難船し、無人島に流れ着いたジョン万次郎(当時14歳)を、米国の捕鯨船に乗っていたウィリアム・ウィットフィールド船長が救助し米国での教育の機会を与え、その子孫が交流を続けていることを原点に設立された公益財団。日本と米国の市民が違いを超えて理解しあい、友情を深めようと、1990年に最初のサミットが開催されました。以来、日本と米国で交互に開催されたサミットのこれまでの参加者・ホストファミリー・ボランティアは45,000人以上。ジョン万次郎、ウィットフィールド船長、そして日本の開国のきっかけを作ったマシュー・ペリー提督の子孫も毎年参加しています。
年齢や職業、英語力などの条件は一切なく、誰でも参加できるこのサミットのシアトルでの開催は、ワシントン州日米協会が中心となり、在シアトル日本国総領事館をはじめ、州内14都市でさまざまな団体、姉妹都市協会、市の組織がセッションを提供し、114家庭がホストファミリーとして参加したことで実現しました。日本から参加した子供からシニア約150人は、初日の18日はシアトル近郊の島ブレイク・アイランドで開かれた開会式でネイティブ・アメリカンの文化やシアトル地域の歴史を学び、その後2日間にわたりホストファミリー宅に滞在してシアトル市内各地の名所を訪れたほか、シアトル神戸姉妹都市協会主催のジャズ・デーでは今年の神戸ジャズクイーンに選ばれた北海道出身のアミ・ラテさんの舞台を鑑賞。このイベントは、1957年に姉妹都市となったシアトルと神戸市の草の根交流活動の一つで、今年で19回目となりました。
その後、参加者はワシントン州の州都オリンピア、エレンズバーグ、モーゼスレイク、ポート・タウンゼンドなどの地方で3泊4日にわたる個性豊かな分科会に参加。牧場でのヤギの乳搾り、ミツバチの巣箱作り、小学校での日本文化紹介など、普通の旅行ではできない体験もすることができました。
ワシントン州日米協会・次期会長のカーリン・ザーグ・ブラック氏は、「ジョン万次郎、ウィットフィールド船長、ペリー提督の子孫が同じ場所に集い、日米の草の根交流に尽力していることがすばらしい」と語り、開会式で日本から参加した高校生と中学生がジョン万次郎が積極的に外の世界で学び、さまざまな体験をしたことにどれほどインスパイアされたか英語で発表したことから多くを学んだと振り返ります。「現在の政治的に複雑な状況においては、異なる点よりも共通している点の方が多いということを忘れないことが大切。少しでも話をしてみれば、共通点が簡単に見つかる。文化、教育、ビジネス、経済において、こうした草の根交流を継続的に行い、確固とした理解の基盤を作ることがとても大切だと思う」。
日米草の根交流サミットは、2019年は兵庫県姫路市、2020年はフィラデルフィアで開催を予定しています。詳細は公式サイトでご覧ください。
日米草の根交流サミット
www.manjiro.or.jp
写真:ワシントン州日米協会