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魚醤油 (うおしょうゆ:Fish sauce) (1)

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魚醤油とは、魚類・イカ・貝類、またはその内臓で作る醤油の総称で、調味料として用いることを目的に製造されています。

一般に特有の臭気を持つ動物性タンパク質の分解により生じたアミノ酸に富むため、大豆醤油よりも濃厚な味で、鍋ものに使う時は出汁をとる必要がないほど。魚介類に食塩を加えて腐敗を防ぎながら、魚介類に含まれる酵素、または他から添加した酵素の働きでタンパク質を分解して液状にし、アミノ酸にまで至らしめます。この分解は比較的徐々に行われるため、製造に1年以上かかり、3~4年物が珍重されるようです。また、生の魚介類を用いず乾貝を作る際の煮汁を利用する方法もあります。

本来、塩蔵魚の副産物として、その浸出液も得られたわけですが、現在では、浸出液のみを目的とした魚醤油の製造が行われています。日本で生産される醤油の大半は、穀類を原料とした穀醤が占めており、地元消費を前提とする魚醤の生産量はわずか。代表的なものに、秋田の『しょっつる』、四国・千葉の 『こうなご醤油』、北海道・石川県能登地方の 『いか醤油』 などがあります。秋田の 『しょっつる』 は塩魚汁、塩がなまって 『しょっつる』となったと言われています。秋田ではこれを使って、ハタハタやタイ、イカやエビ、シラウオなどの白身魚にハクサイやセリ、シイタケなどの野菜、そして豆腐などを加えた、『しょっつる鍋』を作るそうです。この鍋は特有の臭気が強いものだそうで、米国でこの鍋を作る際には近所からクレームが出ないよう、十分注意して下さい。

以前、フッドカナルのギグハーバーのアメリカ人の水産業者に、北海道産の有名なトバ(鮭を天日干ししたもの)の商売用のサンプルを試作するように依頼しました。しかし、音沙汰がないのでサンプルはできたかと問い合わせたところ、近所はかなり離れているが、魚の異様な臭気が立ち込めたとのクレームがあり、サンプルの試作を中止したとのこと。商売になるどころではありませんでした。やはり平均的な米国人は、魚の天日干しから発する臭いはかなり離れていても敏感のようです。

掲載:2008年8月 更新:2020年3月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。

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