サザエは朝鮮半島の南部にも分布していますが、ほとんど日本特産と言える巻貝です。
殻高は10センチ、殻径は8~10センチ程度で、殻の表面は褐色、内面は白色で真珠のような光沢があります。殻の色は食する海草によって変化するため、偏食させると殻の色も変わります。
日本ではサザエは年間1万トンくらい水揚げされますが、波の荒い千葉県や三重県などの太平洋岸のほか、四国・九州・日本海側の沿岸地方の外洋に面した岩礁地帯に棲み、海草を餌としています。ツノの本数や大きさは棲息場所や個体によって変わるため、サザエの好む外海の荒磯で育つとツノが多く長くなり、肉質もしまりますが、波が静かな遮蔽された環境で育つとツノが出なくなるようです。ツノのないものはゴロンボ(全体に丸いもの)と呼ばれています。蓋は石灰質で厚く巻いていて、小さな棘があります。
市場には年中入荷されていますが、産卵期が夏なので、秋から春にかけて旨く、大小さまざま、棘の有無があり、値段も高くなります。味も良く、つぼ焼きの他、刺身、酢の物、和え物にもします。
残念ながら、サザエはワシントン州、およびオレゴン州の海岸には棲息しておらず、宇和島屋では手に入りません。
1955年頃、私が住んでいた東京足立区から江ノ島だったか稲毛か浦安だったか記憶は定かではありませんが、海水浴か潮干狩りに行き、醤油の味と、こりこりした食感のサザエのつぼ焼きを食べたことが思い出されます。屋台で買ったのか、サザエを買って来て浜で活きてるのを殻ごと焼いたのかはわかりませ ん。
江ノ島といえば、やはり小学生の頃、江ノ島、あるいは逗子での海水浴からの帰りに、落雷による停電によると思われる電車の不通のため、どこか途中で電車から降ろされ、最寄の駅まで雷と降りしきる雨の中、ずぶれになりながら何キロか線路伝えに歩かされました。何もない殺伐とした頃で、海水浴や潮干狩りに行くことが貧乏だった筆者の家族の夏休みの最大の行事だったのでしょう。
ちなみに、当時の遊びと言えば、順不同で、ベーゴマ、パチンコ(チンジャラではありません)、けんだま、めんこ、ビーダマ、竹馬、竹とんぼ、竹鉄砲、水鉄砲、将棋、缶蹴り、弓、かくれんぼ、魚釣り、かいぼりでの魚の捕獲、潜っての貝(カタッケという殻の長さ約20cm)の捕獲、川泳ぎ、櫓舟のり、霞網での野鳥捕獲、昆虫捕獲、野球、相撲、凍った溜めの川でのアイススケート、ローラスケート、木登りなど、今思い出すと盛りだくさんでした。
掲載:2009年5月 更新:2020年9月
『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。