今年1月にシアトルでパーソナル・トレーナーとして起業する島田耕太さん。やりたいことを仕事にし、さらに独立を実現することの楽しさや、アメリカで起業することに関してお話を伺いました。将来独立を考えている方、必読です!
略歴:幼いころ、父親の仕事の都合で海外に住み、日本に帰国。日本で高校を卒業後、渡米。エクササイズ・サイエンス専攻でエバンズビル大学を卒業後、1年間オプショナル・プラティカル・トレーニング(OPT)としてフィットネス・ジムで働き、インディアナ州立大学院へ進学。さまざまな職を経験し、現在は老人ホームのフィットネス・プロジェクトに携わりながら、パーソナル・ジムを開業し、2019年1月に本格始動。
自分のやりたいことを伝える
– パーソナル・トレーナーとは何ですか?
ジムには、体を鍛えたい方、産後のトレーニングをしたい方、リハビリをしたい方、また自由に歩けるようになりたい高齢の方など、さまざまな目標を持った方が通っています。その一人一人のニーズに応える最適なプランを考えて目標の達成をサポートする人が、パーソナル・トレーナーです。
– 島田さんがパーソナル・トレーナーになると、どのようなトレーニングができるのでしょう。
マンツーマンのトレーニング、グループ・トレーニングに加え、日本人女性に特化したシェイプアップ・ブートキャンプのプログラムも新しく開設する予定です。また、栄養バランスを考えるコーチングもオンラインで始めました。
– パーソナル・トレーナーに興味を持ったきっかけを教えてください。
幼いころ、サッカー選手になることを夢見ていました。プロのサッカー選手になるには、周りの人と同じ練習では通用しません。この頃から常に、「どうやったら次は上手くプレーできるのか」「自分を強くするにはどうすればいいか」を考え、自分を高めるためにトレーニングをしていたのです。しかし、日本の高校を卒業する頃になると、明確な目標がなくなっていました。
そこで、幼いころに海外で暮らしていたことで英語には自信があり、また、自分の意見をはっきり言えるアメリカの環境が自分に合っていたため、アメリカの大学に進学することを決めました。専攻に選んだのは、もともと興味のあったエクササイズ・サイエンスでした。
– なぜアメリカでパーソナル・トレーナーとして働こうと思ったのですか?
大学卒業後、OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)でフィットネス・ジムで働いていた時に、衝撃的な出来事が起きました。独自にトレーニングをしていた人が突然目の前で倒れてしまい、亡くなってしまったのです。原因は無理なトレーニングをしていたことによる心臓発作でした。
OPT 終了後、紆余曲折あり、老人ホームでパーソナル・トレーナーとして働きましたが、そこでもトレーニングをする人の体や健康状態は千差万別でした。そして、目標も違います。療養や健康維持のためにトレーニングをしたい人や、歩けるようになりたい人もいます。一人一人と向き合って、その人にとって一番適切なトレーニング・プランを考えないと、かえって健康状態が悪化してしまう恐れがあります。
こうした経験から、一人一人のニーズや目標はまったく違い、一人ひとりにあったトレーニングが本当に大切なのだと改めて気付かされました。そこで、もっと自分が主体となってトレーニングについて深く追求したい、と強く思うようになり、独立して、パーソナル・トレーナーとしてジムを開設しようと決めました。
– 働く上で一番大事にしていることは何ですか?
パーソナル・トレーナーとして、すべてのクライアントと真剣に向き合い、信頼関係を作ることです。それは、クライアントの健康状態の把握に加え、それぞれの目標を共有することから始まります。
足を怪我して歩けなくなった子供が「もう一度歩きたい」とリハビリをする場合もあれば、仕事をしている人がリラクゼーションを求めてトレーニングする場合もありますよね。肩書きや年齢は関係なく、そういった多種多様なニーズに丁寧に対応していくことは、バーソナル・トレーナーとしてとても大切です。
目標レベルを高く設定しているクライアントに対しては、より一層効果的なトレーニングのプランを作るために、自分の体を使ってさまざまなトレーニングを試し、その結果を活かすようにもしています。
いろいろなところにチャンスがある
– 自分のやりたいことが何なのか、はっきりわかったきっかけはありますか?
目の前で人が亡くなるという衝撃的な出来事が、パーソナル・トレーナーとして仕事をし、さらに上を目指していこうと決断した、大きな一つのきっかけでした。そこから手探りで自分のスタイルを構築していきました。今から思えば、すべて必要不可欠な体験だったのだと感じています。
– 好きなことはあっても、それをやることに自信がない学生、自分のやりたいことと企業の方針が合わず、悩んでいる方にアドバイスをお願いします。
既成概念や年齢に縛られずに、好きなことをとにかくやってみてください。自信がつくのを待つのではなく、とりあえず始めてみて毎日少しでも前に進むことで、自然と自分に自身がつき、そこからたくさんの可能性が広がります。
いろいろなところにチャンスは潜んでいます。そして、「これだ!」と感じるものがあったら、その道を極めていくことです。自分の考えを正直に形にし、取り組んでいくと、そのうち自分のスタイルが出来上がってきます。形が出来上がっていないものに取り組んでいると、時には批判する人も出てきたりしますが、その反面、自分の考えに賛同し、ついてきてくれる人もたくさんいます。苦労があればあるほど、新しい世代にたくさんのことを伝えることができ、次に繋がっていくと思います。
– ありがとうございました。
取材・執筆:田部井 愛理(たべい あいり)
取材後記:
もともとサッカー上達のために始めたトレーニングが、本業となり、起業するに至った島田さん。現在では、自分らしさを最大限に発揮した、島田さんしかできないパーソナル・トレーナーとしての形を構築しています。「トレーニングをしていると時間がすぎるのがとても早いんです」と、楽しそうに話す島田さんは、とても輝いていました。こうした明るく前向きなエネルギーで、これからたくさんの人を癒し、活躍されていくのだと思うとワクワクします。島田さんが新しく始めるジムに関するお問い合わせは、こちらまで。