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日米の医療の違い:日常的に起こりやすい「きず」の種類とその手当

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日米の医療の違い

「その人らしく生きるのを助けるのが医療」をモットーに、日米の医療のさまざまな違いをわかりやすく解説します。

20年前は傷などはイソジンなどで消毒することがよくありました。しかし今では、傷は滅菌された生理食塩水できれいに洗浄することが良いとされています。傷口を消毒することにより、元気な細胞まで死滅させてしまうことがわかったからです。

それでは、「包丁で手を切ってしまった」「子供が転んで膝をすりむいてしまった」「画鋲を踏んでしまった」などの場合、みなさんならどのように対応しますか?傷を早く治癒させるためにはまず傷口を洗浄することが大切になりますが、その傷の種類によって、それぞれに適した手当ての方法があります。今回は、日常的に起こりやすい傷の種類とその看護についてご紹介したいと思います。

擦り傷

擦り傷とは、皮膚を擦ったときにできる傷です。出血やひりひりした痛みを伴います。傷口を流水でよく洗い流すことが大事です。

【看護のポイント】

  1. 傷口を流水で洗い流すことによりさらに出血しているように見えるが、あせらずに傷口を流水で洗い流す。
  2. 流水で洗い流す際、傷口に入った小石や土などは炎症を引き起こす可能性があるので、できる限り取り除くよう心がける。(炎症とは、腫れ、発赤、疼痛、熱感の4つが同時に起こった状態を言う)
  3. 場合によっては、殺菌、局部麻酔作用のある市販薬を塗布する。
  4. 絆創膏を貼る場合、未開封の清潔な絆創膏を貼る。透明で傷の状態を観察しやすいものが望ましい。
  5. 絆創膏を貼った場合、一日に一回は傷と傷の周囲の皮膚の観察をする。傷の状態が見えづらい物は未開封の清潔な絆創膏に交換する。

切り傷

切り傷とは、刃物などで切ってしまったときにできる傷です。皮膚は三層構造になっていて、上から表皮、真皮、皮下組織、となっています。切り傷の場合、擦り傷に比べ傷を負った周辺組織へのダメージは少ないですが、傷の深さによっては皮下組織の下の腱や血管、神経などの深部にまで到達することもあります。そのような可能性がある場合は、早期受診をおすすめします。

【看護のポイント】

  1. 傷口から近い比較的大きな血管を押さえ、止血しながら流水で洗い流す。
  2. 場合によっては、殺菌作用と局所麻酔作用のある市販薬を傷の周りに塗布する。
  3. 未開封の清潔な絆創膏で傷口をふさぐ。その際、傷の切り口に対して直角になるように貼る。
  4. 少量の出血があれば、絆創膏の上からガーゼを当てる。
  5. 皮膚の状態をよく観察し、傷やその周囲に炎症症状が見られる場合は専門家の受診をおすすめする。

刺し傷

刺し傷とは、釘や針、画鋲、とげなどが刺さったときにできる傷です。傷口が小さく、出血もほとんど見られないことが多いです。傷口は早めに閉じますが、傷が皮膚の深部にまで達していることが多いため、嫌気性の破傷風菌が皮膚内部で増殖しやすく、その後の経過の観察と注意が必要です。

【看護のポイント】

  1. 異物が小さいものであれば取り除き、傷口を流水でよく洗い流す
  2. 異物が大きいものであれば無理に取らず、専門家を受診する
  3. 場合によっては、殺菌作用と局所麻酔作用のある市販薬を塗布する
  4. 皮膚の状態をよく観察する。特に糖尿病などの既往歴がある場合は、感染、炎症を起こしやすいので、傷が治るまで注意する

掲載:2014年10月 情報提供:youcocare 看護師 岡本 優子さん

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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