みなさん、こんにちは!伸介です。
留学前から切望していた旅行業界の会社でのインターンシップを獲得し、日々新しい発見を楽しみながら働いています。最近一番驚いたのは、オフィスに犬がいること。聞いてみると、アメリカには犬を飼っている会社もあるのだとか。
文さんからご紹介がありましたが、先日インターンシップ先の上司に誘われ、デルタ航空副社長のプレゼンを聴いてきました。このプレゼン内容から学ぶことは多くありましたが、より印象に残ったのは上司の持つ「ギブの精神」でした。インターンシップ先の会社の上司のみならず、留学中はさまざまな人に助けられてきました。この 『シアトル留学生カフェ探訪』 の機会を提供してくださっているジャングルシティもそうです。なぜギブをしてくれるのか聞くと、「ギブをすることが幸せを感じることに繋がる」のだそう。最近この考え方が少しずつわかるようになってきたのは、留学に来て良かったことの一つだと思います。
ジャングルシティ、そしてワシントン州に少しでも恩返しをしたいという気持ちを込めて、僕個人が「最も地域に愛されている」と思うカフェをご紹介します。
それでは、『シアトル留学生カフェ探訪』 第52回のスタートです。
今回ご紹介するのは、米国 IT 大手企業マイクロソフトの本社があるレドモンドの 『SoulFood CoffeeHouse』 です。
レドモンド・タウンセンターのすぐそばにあり、外観は少々年季を感じますが、こぎれいな感じです。
カフェに入ってみると、本や装飾品、ポストカード、お香など、さまざな商品が目につきます。
実はこのカフェ、以前は 『SoulFood Books』 という本屋だったそう。当時のオーナーの時代には、本を筆頭に小売りに力を入れていて、カフェや音楽は脇役でしたが、5年半前に現オーナー兼バリスタのケビンさんと妻のミキーアさんが買い取った際に 『SoulFood CoffeeHouse』 と名前を改め、コーヒーや音楽にもっとフォーカスし始めました。Amazon Books が開店し始めていた時期で、本屋として継続していくことが難しかったことが大きな理由です。
オーナー兼バリスタのケビンさん。『SoulFood CoffeeHouse』のメニューの中で僕のオススメは、Barista’s choice。その名前のとおり、バリスタが自分好みのドリンクを作ってくれるというものです。ケビンさんはBarista’s choiceのオーダーが入ると、お客さんの表情や気分に合わせて甘さを加えたり、苦味を強くしたり調整すると話してくれました。
「毎日来てくれるお客さんには、毎回同じドリンクではなく、味や風味、ミルクの種類に変化をつけます」
今日の僕がお客さんだとしたら何を作ってくれるのか聞いたところ、ケビンさんイチオシのドリンク、その名も「Favorite cookie series」という答えが返ってきました。
ケビンさんがドリンクを作ってくれる横で待っていると、カフェの奥にあるステージで、演奏会が始まりました。レドモンドの音楽団に所属する子供達がきれいな歌声を披露。なんとこのステージで演奏を希望する人々から、月に約200件もの申し込みがあり、地元のミュージシャンがよくこのステージで演奏しているのだとか。毎月第1金曜には、ケビンさんと妻のミキーアさんが演奏をするそうです。日本に帰国する前に、一度は行かなくては!
ケビンさんから「Ready for the next adventure!」と言われながらドリンクを受け取りました。何のことかと不思議に思いカップを見てみると、その言葉が書かれているではありませんか。実は先ほど、僕があと少しで日本に帰るということをケビンさんに話したのですが、それでこのカップをわざわざ選んでくれたのですね。なんという粋な計らい。このカフェをさらに好きになった瞬間でした。
「Favorite cookie series」は、ホワイトチョコクッキー、ココナッツクッキー、マカデミアナッツクッキーの風味を加えたこのドリンク。しつこすぎない甘みがあり、くどくもない絶妙な味。飲みやすいので、あっという間に飲み干してしまいました。2杯目もいただきたいところでしたが、お腹と相談して、なんとか我慢。
こちらは、外がパリパリで、中にはターキーとトロトロチーズが絶妙に絡み合うターキーサンドイッチ。グリルのサンドイッチは想像していませんでしたが、香ばしく仕上がっており、良い意味で期待を裏切られました。
壁に飾られた作品は、毎月1回交換しているそう。地域の方々が自らの作品をここに飾りたいということで、実は2年待ちだそうです。
天井を覆っているのは、コーヒー豆の袋。年季が出すぎている天井を隠すため、袋を敷き詰めたのだとか。後から聞くと、この建物は1970年代に建てられたもの。このカフェの落ち着く雰囲気は、古き良き建物の味から生まれるのかもしれません。
このカフェのコンセプトは、ダイバーシティ、サステイナビリティ、コミュニティの3つ。
ダイバーシティの面では、『SoulFood CoffeeHouse』にはいろいろ文化のなお客さんがやってきます。年齢層も幅広く、LGBTQフレンドリーのポリシーも掲げていて、シアトルを体現したカフェと言えると思います
なぜサステナビリティに力を入れているのか聞いてみると、「自分たちが地球を守らないと、地球が私たちを守ってくれなくなるからだよ」。
当たり前のことのようですが、現代人の私たちがついつい忘れがちになってしまうこと事ではないでしょうか。『SoulFood CoffeeHouse』では、どこのゴミ箱に捨てても堆肥として地球に戻せるようになっています。
使っているコーヒー豆は、レドモンドにある『Caffe Lusso Coffee Loaster』から仕入れています。このロースタリーは、バイヤーや業者を通さずに直接生産地から豆を入手しており、生産者を搾取しないという点で考え方が合うのだそう。
とてもアットホームで、自他共に認めるレドモンド・コミュニティのハブです。ラップトップを持ち込んで作業をしている学生や社会人もいれば、宿題をする中学生、その脇で演奏するミュージシャン。誰もが好きなことをしながらその空間を楽しむのを許容する空間で、そこには緩やかな繋がりがあります。
演奏を終えたミュージシャンの方がお客さんと世間話をしていたり、同じソファに座っていた人が自然に話し出したり。
開放的でありながら、それぞれの椅子やテーブルが近くに集まっているレイアウトが、お客さん同士がリラックスしながらつながりやすくなる一因かもしれないと感じました。
主観ではありますが、人が優しいのもこのカフェの魅力。実は、僕がこのカフェに最初に訪れた日は、オーナーのケビンさんが不在でした。そこで、アルバイトとしてバリスタをしているジェームスさんに、ケビンさんの予定について聞きました。
数日後、再度カフェを訪れた時、そのジェームスさんは気さくに話しかけてくれただけでなく、僕の名前を覚えてくれていました。何度でも戻ってきたいとお客さんに思われることが、このカフェが地元民に愛される理由なのですね。
レドモンドというとマイクロソフトのイメージが強いですが、隠れたところに住民から愛される、こんな素敵なカフェがあるのです。思わぬところにある小さな安らぎを、日本に帰国後も見つけていこうと思います。
Thank you for a great time and coffee!
次は、帰国日が決まり、日本の友人に会えるのが楽しみな一方、シアトルの地から離れたくないと複雑な気持ちのな美紗さんです。
SoulFood CoffeeHouse
15748 Redmond Way, Redmond(地図)
【席数】約60
【公式サイト】soulfoodcoffeehouse.com
【Wi-Fi】無料 Wi-Fi あり
【電源】席によってはあり
佐藤伸介(Shinsuke Sato)
1996年、千葉県四街道市生まれ。幼少期から高校3年までを宮城県で過ごし、青森県の大学に進学。現在は休学し、文部科学省が展開する留学支援制度である 『トビタテ!留学 JAPAN』 の第8期生として、シアトルで1年間の留学中。東北地方の観光に貢献したい。マイブームはスペイン語。
掲載:2019年2月
このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。