金融大手の JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)は30日、男性社員に女性社員と同様の有給育児休暇を与えず差別したとして男性社員らが起こした集団訴訟で、500万ドル(約5億4196万円)を支払うことで和解しました。
BREAKING: We’ve settled our case with @Chase, in which our client, Derek Rotondo, alleged he was denied the same parental leave benefits granted to mothers. Chase has clarified its policy to ensure fathers have access to equal caregiver leave.
— ACLU (@ACLU) May 30, 2019
MarketWatch.com などによると、この集団訴訟は、2010年から同行の詐欺調査担当者として勤務しているデレック・ロトンドさんが2017年6月に息子が生まれた際に育児の主な担い手(primary caregiver)として14週間の休暇を申請したところ、「女性社員は16週間の有給育児休暇を取得できるが、男性社員は子どもの母親が育児が不可能な状態か仕事に復帰したかのどちらかでない限り、2週間のみ取得できる」と通知されたことが発端となりました。
ロトンドさんが雇用機会均等委員会(Equal Employment Opportunity Commission)に苦情を提出したところ、JPモルガンは16週間の休暇を提供し、2017年12月には性別に関わらず育児の主な担い手として平等な育児休暇を取得できるとの社則を明確にしましたが、その後、ACLU(アメリカ自由人権協会)が原告代理人として JP モルガンを提訴していました。
今回の発表を受け、ロトンドさんは、「私が訴訟を起こして以来、会社が育児の主な担い手になることを望む社員に男女の別なくこの福利厚生を得られることを保障すると明文化したことを誇りに思う」との声明を発表しています。
なお、この和解には、現在JPモルガンが性別に関わらず提供している16週間の有給育児休暇を継続し、2011年から2017年にかけて母親となった女性社員が取得した有給育児休暇を取得できなかった男性社員に補償することが含まれています。JPモルガンは現在234,000人の社員を雇用しています。
アメリカでは育児休暇の規定が企業や州によって異なります。ワシントン州は2017年に育児介護休業法の改定を決定。2020年に執行するワシントン州の改正法上の手当て・条件は、従業員に対して全米で最も寛容かつ有利な休業法と言えるとされています。詳しくは「ワシントン州育児介護休業法(FMLA)の改定について」をご覧ください。