米国国勢調査局が26日に公開した American Community Survey(ACS)による調査データで、シアトル市の世帯年収の中央値が2017年の86,822ドルから6,659ドル上昇し、過去最高の93,481ドル(約1,010万円)に達したことがわかりました。2010年と比べると、33,269ドル上昇していることになります。
American Community Survey(ACS)は、州、下院議員選挙区、郡、地域などの人口統計学的、社会的、経済的、住居の特性を毎年詳細に推定し発表しています。
アメリカ全体と14州の世帯年収の中央値(median household income)は2013年から上昇を続けています。しかし、アメリカ全体の世帯年収の中央値は2017年から2018年は60,336ドルから61,937ドルに上昇したのみで、2015年から2017年の1.8%~3.3%の上昇率を下回りました。
シアトル・タイムズによると、全米50都市の年収の中央値ランキングでこの数字を上回るのはサンフランシスコとサンノゼの2都市。上位5位を占めるのはすべてベイエリアとノースウエストの都市となっています。
サンフランシスコ 112,376ドル(約40,600ドル)
サンノゼ 113,036ドル(約36,200ドル)
シアトル 93,481ドル(約33,300ドル)
オークランド 76,469ドル(約27,300ドル)
ポートランド 73,097ドル(約26,000ドル)
※カッコ内は2010年からの上昇
また、年収の中央値は人口の最も多い25都市圏のうち、シアトル~タコマ~ベルビュー都市圏を含む10の都市圏でも上昇しています。
中央値がここまで大きく上昇したのは、年収の高い新しい雇用が創出されたことが原因と見られています。しかし、再開発(gentrification)で、住宅価格が高騰し、物価も上昇しています。アメリカ全体で見ると、年収35,000ドル(約379万円)に満たない世帯の割合は28%で、これは年収が100,000ドル(約1,081万円)以上の世帯(29%)とほぼ同じ。シアトルで年収35,000ドル未満の世帯はわずか19%となっています。
しかし、シアトルでは世帯年収の中央値に人種で格差があることもわかっています。
白人 105,100ドル
アジア人 95,800ドル
太平洋諸島 72,300ドル
複数人種 67,900ドル
ラティーノ 67,500ドル
ネイティブ・アメリカン 63,900ドル
黒人 42,500ドル
国勢調査局も、所得分配の不平等さを測る指標ジニ係数(Gini index)はアメリカ全体と9州で高くなっていると指摘しています。
中央値とは、収集されたデータの中央の値のことで、年収の場合は全員の年収を小さい順、または大きい順に並べ、真ん中に来る値を指します。平均値は全員の年収を足して総数で割るため、他を大幅に上回る数字があるとそれに応じて結果の数字が大きくなってしまいますが、中央値は他を大幅に上回る数字に影響されないことから、年収の全体像を見る場合に使われます。