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シアトル・タコマ国際空港、顔認証の実施に制限を設ける原則を採用 港では米国初

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賛否両論となっている顔認証技術が、現時点ではシアトルの玄関口、シアトル・タコマ国際空港の搭乗ゲートに導入されないことが決定されました。

シアトル・タイムズなどは、「シアトル・タコマ国際空港は米国で初めて、連邦政府の生体認証プログラムの展開に抵抗することになった」との見出しで報じています。

シアトル・タコマ国際空港を運営するシアトル港湾局は、9月と10月に開かれた公開会合で、航空会社、クルーズ会社、連邦政府機関、市民の自由保護団体と移民の権利保護団体から意見を募った後、顔認証(facial recognition)を使って本人確認する技術の実施が「明確な正当性、公平性、透明性」ことを保証する原則を採用した米国初の港になったと発表。シアトル港湾局委員会が設置した作業部会はこの原則を2020年3月31日までに明確に実施・測定できる政策に発展させる予定です。また、2020年6月30日までに委員会が作業部会の勧告を正式に検討し、政策を策定するまでは、港湾施設において生体認証技術(biometric technology)を実施してはならないことを明確にしました。

今月、税関・国境取締局(CBP)は、シアトル港湾局に対し、シアトル港湾局の原則に同意し、港湾施設で連邦政府が顔認証技術を実施する場合においてもこれに従うと書面で通知しました。

しかし、この原則は、シアトル港湾局が管理する部分にのみ適用され、港湾局職員のみが使用するバイオメトリクス認証技術は対象外となっています。また、2020年7月に完成予定の新しい国際線到着施設は連邦政府の管理下にあることから、税関・国境取締局(CBP)による顔認証のカメラの設置は予定通り進められることになります。

シアトル港湾局のステファニー・ボウマン委員長は、「顔認証技術を導入している空港は他に20以上あるが、利用者の権利を保護し、制限が設けられ、透明性があり、倫理的であることを保証する公的な手続きを経ている空港は他にない」と説明しました。「我々のコミュニティは、この種の技術が公開の議論や意見なしに展開されること以上のことを期待していると感じている。2020年にこの委員会が政策を採択するとき、我々は公共の目にさらされるバイオメトリクスにおけるアメリカで最善の手法を作り出すことになる」。

「バイオメトリクス」、別名「生体認証」は、生物学的測定または身体的特徴(顔認証など)を用いて個人を特定する技術。利用者の処理を高速化することで、より安全で効率的な旅行ができるとされていますが、プライバシー、人種の平等、サイバーセキュリティ、市民の自由における懸念や、倫理的な問題につながる予期せぬ利用についての懸念も生じています。

シアトル・タコマ国際空港では、現在のマニュアルでのパスポート管理と国際線の搭乗券処理に代わるものとして、乗客処理のプロセスで本人確認に使用する顔認証技術のみを検討しています。シアトル港湾局は、合法的な目的のない大規模な集団に対する顔認証の使用という「集団監視」のためのバイオメトリクスを容認していません。

シアトル港湾局の今回の決定は、今後数年間に民間企業や連邦政府のパートナーが一般に展開する顔認証技術の全国普及に先行した行動です。現在、税関・国境取締局(CBP)はアメリカの11の空港と6つのクルーズターミナルで国際線到着の処理に顔認証技術を使用しており、また、空港と航空会社は20の空港で国際線出発で顔認証を導入しています。現在、顔認証技術を利用している空港には、アトランタ、ワシントン・ダレス、フォートローダーデール、ヒューストン、ジョン・F・ケネディ(ニューヨーク)、ラスベガス、ロサンゼルス、マイアミ、オーランド、サンディエゴ、サンノゼ、オレゴン州ポートランドなどが含まれています。

シアトル港湾局の委員会が採用した原則では、シアトル港湾施設では公開顔認証技術を次のように実装する必要があるとしています。

  1. 正当なものであること: バイオメトリクスは明確で意図された目的のためにのみ使用されるべきであり、合法的な目的のない大規模な集団に対する監視には使用されない。
  2. 任意での参加であること: オプトイン方式またはオプトアウト方式を通じ、参加を希望しない米国市民に対して、合理的な代替案を提供すべきである。
  3. 個人情報が保護されること: 取得したデータは、適用される法律や規制で定められた期間のみ保存し、不正なアクセスや使用から保護する必要がある。
  4. 公平であること: この技術は、あらゆる経歴を持つ人々を合理的に正確に識別し、不一致の問題を処理するシステムを用意する必要がある。
  5. 透明性: バイオメトリクスの使用は訪問者と旅行者に伝えられるべきである。
  6. 合法: バイオメトリクスの使用は、プライバシー法や差別を禁止する法律を含むすべての法律に従うべきである。技術の成果と有効性に関する報告書も、説明責任を確保するために公表されるべきである。
  7. 倫理的: 技術の導入やバイオメトリックデータの処理を行う際には、港湾職員とそのパートナーは倫理的に行動する必要がある。



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