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第16回 言葉の力:言霊(ことだま)

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ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん

14640 NE 24th Street
Bellevue, WA 98007
【電話】 (425) 785-8032
【公式サイト】 ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー土曜学校
バイリンガル幼稚園BCA 現地校(英語サイト)
Willows Preparatory School ミドルスクール現地校(英語サイト)
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先日当校で開催した桐島洋子氏の講演会に、20代の若い世代から80代まで幅広い年齢層のファンが訪れました。男性ファンも幾人か見られ、彼女の衰えない人気に驚かされました。

洋子先生とは30年以上のおつきあいです。初めて海外で 『寂しいアメリカ人』 を読んだ時、こんなに国際的な視野を持ち自立して生きている頭のいい女性がいることに勇気づけられ、同時に彼女の文体や言葉の持つ不思議な魔法にかかってしまいました。これまでにいただいたカードや手紙に書かれた一つ一つの言葉は不思議な霊を持ち、ずっと私の中で生き続けています。

講演会では海外でのバイリンガル子育て方がテーマでしたが、どんな風に子供たちを勉強させたか、という若いお母さんからの質問に、洋子先生は戸惑いながらも「私は何もしていませんけど、日本語だけは徹底的に仕込みました」と微笑まれ、「音読も大切で、言霊を伝えました」という答えに、桐島洋子氏の物書きとしての日本語に対する姿勢を改めて認識しました。私はこの “言霊(ことだま)” という言葉が大好きです。もともと万葉集巻十三にあり、「敷島の大和の国は言霊の幸はふ国ぞ真幸くありこそ」と詠まれています。日本は「言葉の働きによって幸福がもたらされる国」として紹介され、それだけ言葉を大切にしている国ということがわかります。

言葉には相手の心を動かし、感動させるエネルギーがあります。これこそが言葉の力であり、言霊の成せる魔法ではないでしょうか。毎日教育の現場で言葉を通して子供たちと接しています。それが英語だろうと日本語だろうと、子供たちの心に触れる言葉でなくてはいけません。そこから子供たちが愛や慈しみを感じ、それをまた周囲に分け与えていけるような人間に育って欲しく思います。言霊の入った美しい言葉は美しい人を創り、育てます。やがて言葉は学習を促し、知恵をもたらします。豊かな知恵と美しい言葉を話す美しい人たちが幸せな平和な未来を創ることでしょう。ご家庭ではお母様が言霊の宣教師です。美しい言葉で言霊の魔法を使って子供たちを育ててあげてください。

音読も暗唱も "言霊" と遊ぶ良い練習です。古くは万葉集、そして和歌や俳句など文語で書かれた作品を暗唱するのもどこかミステリアスで古典の浪漫を感じさせてくれます。昔は苦手だった古典ですが、今この年齢になって初めて平家物語を読み始めました。声に出して読むとまたそのリズムが素晴しく、現代語には見つけられないたくさんの言霊たちと出会えるかも、とわくわくします。

広辞苑には言霊のことが「言葉に宿っている不思議な霊威。古代、その力が働いて言葉通りの事象がもたらされると信じられた」と解説されています。例えば「私はこのテストで100点をとる!」と口に出した時、それは強烈なイメージとなり、どこからかものすごいパワーが生まれ、自分の意識が高まり、環境をも巻き込み100点を取らせてくれます。人々は、古くから言葉の持つ不思議な力、目に見えない力をスピリチュアルに感じ、そこに魂が宿ると感じたのでしょう。

日本では自分の意見をはっきりと口に出さない方が美徳とされますが 多大な情報が多く飛び交い、多様化している現代では、ロジカルにシンプルに自分の意見を伝達していく必要があります。自分の心や考え方を伝え、人や物を動かしていくことがさらに重要になりました。家庭でも子供たちにたくさん言霊を語ってあげてください。

「言霊の幸ふ国」と柿本人麻呂が詠んだものを、私たちの力で「言霊の幸ふ教育」「言霊の幸ふ家庭」「言霊の幸ふ人」と枠を広げ、言霊が持つ魔法の力を借りて幸に溢れた生活を創り出しましょう。

洋子先生、喜寿のお喜びを申し上げます。先生ご自身こそがインスピレーションです。いつまでもお元気で、私たちにとびっきり上等の言霊を送り続けてください。

掲載:2014年9月

このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。
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