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「たくさんの人を笑顔にしたい」シアトルの日本食レストランも医療機関に食事を寄付

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新型コロナウイルスの感染拡大の抑制のため、ワシントン州では3月15日に州全域の飲食店にテイクアウトと宅配での営業のみにするなどの指示が出されました。その後、ドライブスルーも可能になりましたが、現在も店内での飲食は許可されていません。

そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大防止・治療の最前線にいる医療関係者を支援しようと、さまざまな飲食店が医療機関に食事の寄付を行っています。

病院に配達する寿司の準備

病院に配達する寿司の準備
『西野』提供

マディソン地域にある日本食レストラン『Nishino』もその一つ。1995年に夫の西野達也さんと同店を開店し、たくさんの常連客に愛される店に成長させた西野枝里さんは前例のない状況に「自分たちにできることはないか」と考えていたところ、一般の病院での新型コロナウイルス感染症治療規模を拡大するため、シアトル子ども病院が18歳から21歳までの入院も受け入れると発表したことを知り、負担が増える同病院に食事を届けたのが始まりだったそう。

シアトルの UW Medicine に食事を配達

シアトルの UW Medicine に食事を配達
『西野』提供

「それから1週間に1回、毎回50食を寄付しています。これまで UW Medicine に寄付しましたが、来週は Swedish Hospital、再来週は Evergreen Hospital に寄付することが決まっています。少しでもみんなに笑顔を届けられればと思って。」

シアトルの UW Medicine に食事を配達

「元気づけられたので、思わず写真を撮りました」
『西野』提供

『西野』ではテイクアウトで食事を販売していますが、来店する人にも一人一人声をかけ、一人で来店する常連客には家族の様子も尋ねたりしているとのこと。

「お客さんから、営業を続けてくれてありがとう、がんばってね、と、たくさんの感謝の言葉をかけられ、涙が出そうになります。テイクアウトの回数を増やしてくれたり、ギフトカードを購入してくれたり、チップを多くはずんでくれたりと、お客さんに支えられています。私の子どもも別のお店でテイクアウトをしたときにたくさんのチップを置いていました。お互い様という考えが根付いているんですね」。

フリーモントにある蕎麦と天ぷらの店『かもねぎ』では、一般から寄付を募るプログラム『Meals for Heroes』(ヒーローのための食事)をスタート。同店のウェブサイトのメニューから寄付したい食事を選び、代金を支払うと、その食事が同店で作られ、医療機関に寄付されるという仕組みです。

Meals for Heroes

Meals for Heroes
『かもねぎ』提供

オーナーシェフの相馬睦子さんはこのプログラムを始めたきっかけについて、「自宅待機しなければならない苦しみ、自宅待機できない苦しみがそれぞれ存在すると思いますが、現場で解決に向けて働いている人の助けになればと考えました。寄付というよりも「恩送り」(pay it forward)の考え方です」と話してくれました。

今までに寄付された食事は、UW Medicine、Swedish Hospital、Harborview Medical Center に配達したそう。今週はシアトル子ども病院への配達を予定しているとのことです。

「もうひと段落したら、多分、医療系の食事の支援は十分になると思うので、食べ物関係の産業が盛り上がれるようにがんばりたいと思います」と相馬さん。「例えば、農家の方々も影響を受けていると思いますし、今後レストランが普通営業始めたとしても席数は半分という状況などになると思いますから、少しビジネスが違う形になると思いますが、ローカルの野菜や粉の小売などもしていきたいですね。」

Meals for Heroes

Meals for Heroes
『かもねぎ』提供

ワシントン州の状況は好転し始めていると言われますが、自宅待機命令は少なくとも5月4日まで続くことになっており、今後の状況によって延長の可能性もあります。そんな中、それぞれができることをし、思いやりのある行動をすることで、新型コロナウイルスが収束した後の社会に良い影響をもたらすことができるかもしれません。

掲載:2020年4月



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