映画ロケ地めぐり 『50/50 （50/50 フィフティ・フィフティ）』 ガン闘病コメディ

あらすじ

タバコも吸わず酒も飲まないという健康そのものの生活を送ってきたにもかかわらず、27歳という若さで突然ガンであることを宣告されたアダム（ジョセフ・ゴードン＝レヴィット）。なるべく冷静に受け止めようとするが、5年後の生存率が50パーセントという事実が重くのしかかる。また、事情を知った母親（アンジェリカ・ヒューストン）には感情的に反応され、会社の同僚からは必要以上によそよそしくされる始末。親友のカイル（セス・ローゲン）だけはいつも通りに接してくれるが、アダムがガンであることを利用して女性をナンパしようと、ついつい悪ノリしてしまう。セラピーに行っても、セラピストのキャサリン（アナ・ケンドリック）は新米であまり頼りにならない。そんな現実をなんとか乗り越えながら、自分のガンと向き合っていくアダムだが・・・。

On Screen

ガンとの闘病をテーマにした斬新なコメディだが、実は脚本を手がけたウィル・レイサーの実体験が基になっている。レイサーがガンを宣告されたのは25歳の時。リンパ腫と診断された後に巨大な腫瘍が背骨に見つかり、6時間に及ぶ手術で無事に腫瘍は切除されたが、現在もまだ回復中だ。ガンであることを周囲に伝えた時に大げさな反応をする人が多かったことから、人々のガンに対するイメージが映画から来ているのではないかと考え、重苦しくない闘病生活を描きたいという思いで脚本を執筆したという。

アダムの親友役を演じたセス・ローゲンとレイサーは実生活でも親友同士。アダムとカイルはシアトルの公営ラジオ局で働く同僚という設定になっているが、実際はテレビのコメディ番組のライターとアソシエイト・プロデューサーとして知り合っている。

シアトル・タイムズ紙の新聞ボックスや地元情報誌 『The Stranger』 のロゴなどが時々映るものの、撮影が行われたのは全てバンクーバー B.C.。監督とプロダクション・デザイナーは撮影前にシアトルを訪れ、公営ラジオ局やバー、カフェなどを巡ってできるだけシアトルの雰囲気を再現したという。アダムが通うガン研究所はフレッド・ハッチンソン・ガン研究所がモデルになっている。同研究所は白血病治療における骨髄移植などで世界的に有名で、これまでに3人のノーベル賞受賞者を輩出しているところ。設立したのはシアトル・マリナーズの前身であるシアトル・レイニアーズで活躍したフレッド・ハッチンソン投手の兄ウィリアム・ハッチンソンで、病院名は1964年にガンで他界した弟の名前に由来している。