30代後半で「働くお母さん」の仲間入り。何もかも「初めて」の息子と一緒にいろいろな発見をさせてもらっています。20年以上住んでいるシアトルも、親子になるとまだまだおもしろいことがたくさん隠れているものですね。シアトルのお気に入りを息子に紹介しながら、「ここに自分の子供と来ることになるとは!」と、しみじみする日々です。

節分の豆を乾煎り中
子育てをしていると、同じ場所に行って子供の成長を強烈に実感することがよくありますよね。
「前に来た時はこんなことできなかったのになー」
家の中ではそんなことはしょっちゅうですが、久しぶりに来た場所では、前回との違いがよくわかります。
我が家の場合、シアトルのフィニー・リッジにあるウッドランド・パーク動物園のカルーセルが、その一つ。なんだかとても好きみたいで、動物園に来るたびに乗っています。「今日は乗らないよ」なんて言う日はありません。
家族で会員になっているので、普段は1ヶ月に一度は行くのですが、ここ数ヶ月は時間ができた時に限って雨だったり寒すぎたり(暖冬ではありますが)。そんなわけで、先日は数ヶ月ぶりの動物園。遠目にカルーセルが見えたとたん、「あれ、乗ろうね。どっちが速く行けるか、競争だよ!」と、なんだか古いドラマみたいな台詞を言ってダッシュしてました。
自動販売機に2ドルを入れて2枚のトークンを買って並びます。前回、息子がトークンを持ちたいと言うので持たせたら、案の定(と思ってはなんだか嫌味ですが)、柵の向こうに落として、「落ちちゃった」(いやいや、落としたんだろう)。今回もやっぱり自分で持ちたいと言うので持たせたら、なんと、落としませんでした!・・・というわけはなく、チャリーン!また落としている。でも次の瞬間、サッとしゃがんで手を伸ばし、落ちたトークンを拾いました。お、なかなかやるな!
そして、いよいよカルーセルに乗る順番がやってきました。「うーんとね・・・」と、目の前に並ぶ馬たちを見ながら、「これがいい!」と、灰色の馬を指差しました。
「他よりちょっと大きいよね、これ」
そうかなあ。でも息子は私の反応などお構いなしに、「乗せて」と両手を挙げました。4歳ではまだ自分で乗るのは無理。抱っこして乗せて、いつものように私が横に立って息子が落ちないように手をまわすと、
「マミー、大丈夫だよ。落ちないから。マミーは自分の好きなのに乗っていいよ」
えー!そうなの!?私の支えがなくても自分で乗れるとわかるなんて。なんだいきなり。好きなのって言われても困るなあ。うーんどれにしよう・・・。やっぱり心配なので、息子の横の馬に乗りました。
そして音楽が鳴り始め、カルーセルがまわり出しました。私が上がったら息子が下がって、私が下がったら息子が上がる。それがかなり受けたらしく、息子はずっと笑っていました。
子供が一人でもいろいろなことができるように育てていくのが親ですが、こうした “親の手を借りなくなる” 成長にはちょっと寂しさも感じてしまうという話をよく聞きます。私の場合、親になってようやくその気持ちがわかるようになりました。そして今回は、息子がカルーセルに乗るのを楽しみにしているのと同じぐらい、自分も息子とカルーセルに乗るのを楽しみにしているんだということに気づかされました。後何回一緒に乗ってくれるかな。
掲載:2015年2月