2010年5月に、ジェラート専門店 『ダンブロシオ・ジェラテリア・アルティジャナーレ』がシアトルのバラードにオープンしました。
イタリアのマルケ州にあるカメリーノ大学でジェラート職人の資格を取得したエンツォ・ダンブロシオさんと、その息子マルコさんが経営しています。
「イタリアにはたくさんのジェラート専門店がありますが、その全てがジェラートを自分たちで作っているわけではありません」とエンツォさん。
ジェラートを作るための十分なスペースを確保できない店などは、ジェラート職人の作るジェラートを仕入れて販売しており、エンツォさんは渡米前にはそのような卸売りを専門とするジェラート職人として働いていたそうです。
一方、マルコさんは6年間にわたり、ワインの輸入・卸売り業に携わり、シアトルの食事情に精通するにつれて、シアトルで食に対する理解が高まってきていることに気づいたと言います。「これなら本物のジェラートの良さもわかってもらえるのでは」と、アメリカでジェラート専門店を始めることをエンツォさんに提案したのが起業のきっかけとなりました。
店頭には毎日20~24種類のジェラートが並び、そのうち4・5種類を季節のフレーバーが占めています。一番のおすすめは、世界全体の総生産量のわずか1%しか産出されないという、シチリア州ブロンテ村のピスタチオを使ったフレーバー。
「ヨーロッパ最大の活火山と言われているエトナ山の麓に位置するブロンテは、土壌が肥沃なためワインも有名です」とマルコさん。ブロンテ村のピスタチオはその希少価値から、イタリアでは Green Gold と呼ばれているそう。ピスタチオの粒が少し残っており、一口ごとにその芳醇な味わいが口いっぱいに広がるので満足度も高いはずです。
そのほかヘーゼルナッツも、名産地と言われているイタリアのピエモンテ州から輸入しています。果物などは新鮮さを重視してローカル産を選び、乳製品はワシントン州リンデン市にある 『フレッシュ・ブリーズ・オーガニック・デイリー』 から仕入れたもの。サイズは3種類あり、複数のフレーバーをミックスすることもできます。
「私はワインについて正しい知識を身につけることで、本当に良いワインかどうかを判断できるようになりました。ジェラートも同じ。お客様にジェラートのことをもっと知っていただき、私たちのジェラートが本当に良いジェラートかどうかを判断していただければと思います」と語るマルコさん。
店内の壁にジェラートの歴史や原料についての説明書きなどがあり、ダンブロシオ親子のこだわりと願いが感じられました。