ワシントン州は全米最大のスイート・チェリーの産地です。2023年の推定生産量は24万トン。2位のオレゴン州の5万1千トンの約4.7倍を誇ります。
ワシントン州の最高峰マウント・レーニアの名前がつけられたレーニア・チェリーは、ワシントン州で開発された種類。国内はもちろん、外国にも大量に輸出されています。
ワシントン州は全米最大のチェリーの産地
チェリーには酸っぱい品種(tart)と、甘い品種(sweet)がありますが、甘い品種のビング、ランバート、レーニアの三つの品種は、米国北西部で生産される甘いチェリーの95%以上を占めています(ワシントン州農務局)。
米国農務省によると、ワシントン州は甘い品種の生産では群を抜いており、全米2位のカリフォルニア州の2倍以上、3位のオレゴン州の4倍以上を生産しています。
2022年の生産量:
1位 ワシントン州 144,500トン
2位 カリフォルニア州 55,100トン
3位 オレゴン州 32,100トン
輸出も盛んで、Northwest Horticultural Council によると、カナダ、中国、韓国、台湾、ベトナム、日本などに輸出されています。
ちなみに、チェリーはアメリカの環境保護 NPO 機関 EWG の残留農薬の多い農産物ランキング 『Dirty Dozen』の2020年度の8位に選ばれています。買い物の際はぜひこのランキングを参考にしてください。
レーニア・チェリーの旬
レーニア・チェリーは、外皮は黄色と赤のグラデーションで、実は大きくてしっかりしており、とても甘みの強い品種です。
販売される期間は6月半ばから7月末の6~7週間と短め。初物の入荷はソーシャルメディアなどでも宣伝され、スーパーマーケットやファーマーズ・マーケットなどでも店頭で量り売り、または袋やパック入りで売られます。
チェリー農家に出向いて自分で収穫する U-Pick も人気。PickYourOwn.org や Northwest Cherries などで農家の情報を入手しましょう。
開発された場所
レーニア・チェリーは、米国農務省で品種改良を手掛けていたハロルド・W・フォーグル博士が、ワシントン州東部のプロッサーにあるワシントン州立大学のリサーチ・ステーションで、ビング・チェリー(Bing)とヴァン・チェリー(Van)を交配させ、1952年に開発した品種です。
ワシントン州立大学によると、ビング・チェリーはオレゴン州ミルウォーキー、ヴァン・チェリーはカナダのブリティッシュ・コロンビア州サマーランドのサマーランド研究所で開発された品種で、フォーグル博士はチェリーのシーズンを延長させるためにビング・チェリーの新しい品種を作ろうとしていたところ、このレーニア・チェリーができあがりました。1980年代まではビング・チェリーの受粉のために栽培されていましたが、今では世界中で人気の品種となっています。
名前の由来
レーニア・チェリーの名前はもちろん、ワシントン州のシンボル的存在のマウント・レーニアにちなんでいます。
標高14400フィート(4389m)のマウント・レーニアは、アメリカで5番目に古いマウント・レーニア国立公園の中心にあります。カナダのブリティッシュ・コロンビア南部からカリフォルニア州北部まで連なるカスケード山脈の最高峰でもあります。
シアトルで “The mountain is out today.”(今日は山が見える)と言う時の「山」は、マウント・レーニアのことです。