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第88回 労働安全衛生法(OSHA) の概要

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今回は、連邦法(OSHA)・州法で規定されている労働安全衛生法(Washington Industrial Safety and Health Act)について簡単にご説明します。

労働安全衛生法は、従業員の安全と健康を守り、その権利を保護する法律です。そのためには多くの雇用者は業務運営のためのライセンス、証明、許可等の取得が必要で、安全保護のために職場に危険物・事項を表示する必要もあります。その他、安全のための設備等が必要ですが、一般的に、設備を整えるには費用がかかり、企業経営に大きく影響してくることもあるため、雇用者が従業員の安全保護のための設備管理を怠ることがあります。

しかし、雇用者の怠惰によって安全や衛生に支障をきたした場合は、法的に問題になります。例えば、建築現場等で安全のための適切な設備が整えられなかったために従業員がけがをし、その事実について雇用者が対応を怠った場合や、ベリリウム等の化学薬品を使用する環境で就業中に薬品を吸い込んで病気になり、それを雇用者が阻止する対応をしなかった場合です。このような違反に対して、政府は雇用者に法律順守の通達と罰則を課します。さらに深刻な違反であれば一時的営業停止を命じることもあります。

したがって、従業員としてそのような危険性や雇用者の過失と未順守を発見したら、雇用者に伝え、適切な改善を要請する義務と権利があります。もし雇用者がその従業員を解雇、減給、異動、または暴言で威嚇する等のような報復をした場合は、従業員は州や連邦機関に通知し、対応を委ねることができます。その結果、雇用者はその従業員に対し、相応の償いを命じられることもあります。

罰金額の範囲は、連邦法の労働安全衛生法(OSHA)では1回につき500~7000ドルの範囲で、主に下記の要素によって決定されます:

  1. 雇用者の過去の違反行為の記録によって、罰金額を10%減額または増額する
  2. 違反行為の重大さによって、罰金の数と額を判断する
  3. 企業内の雇用者・従業員の人数によって、罰金額の調整をはかる
  4. 違反行為が故意でない場合は、罰金額の減額を図る

ちなみに、ワシントン州では労働産業省(Department of Labor & Industries) で、このような違反行為の確認とその対応を行っています。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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