ツイッターと Facebook にも投稿した、ゲイツ財団からの資金援助で開発中の「新型コロナウイルス検査キット」完成間近の件。
新型コロナウイルスの問題の一つに、検査キットが不足しており、簡単に検査が受けられないということがあります。新型コロナウイルス対策班の責任者であるペンス副大統領が検査キットの不備と不足を認めており、トランプ政権に対する批判が続いています。
最初に連邦政府が提供した検査キットに不備があり、検査キットが州保健局に送られ始めたのは2月末。その間にも感染が確認されないままに広がったと、ワシントン州保健局の博士がシアトル・タイムズとの取材で指摘していました。
でも、アメリカでも、政府が検査キットを用意するのを待つだけでなく、Quest Diagnostics や LabCorp などの企業、そして大学病院などが検査体制の整備や検査キットの開発に日夜取り組んでいます。LabCorp は3月5日から検査を開始。医師やその他の医療機関が検査を要請できると発表しています。また、Quest Diagnostics は3月9日から病院や医院から検体を受け取って検査ができると発表。どちらも検査には3~4日かかり、結果は地域の保健局と CDC(疾病予防管理センター)に共有されます。
シアトルでは、ワシントン大学医学部が検査体制を整え、今月4日にFDA(食品医薬局)に許可を受けました。これは、世界医療機関(WHO)が開発した検査をベースとしたワシントン大学医学部のウイルス学研究室の検査方法で、現時点では医師や医療機関から提供された検体を1日あたり最大1,000件、今後は1日あたり最大4,000-5,000件も検査できるようにしていくと報じられています。健康な人は検査を受ける必要はなく、乾いた咳と華氏101度(38.3℃)以上の熱がある患者の検体を検査に送ることができるそうです。
当初、ワシントン州ではスノホミッシュ郡にある公衆衛生局の研究所でしか検査ができず、1日にわずか200件のみの検査が可能でした。でも、ワシントン大学でも検査ができるようになったことで、ワシントン州保健局が検体をアトランタの CDC に送って結果が出るまで5日間もかかるという時間を8時間に短縮することが目標だそう。ワシントン大学で陽性の結果が出た場合は、保健局の研究所と CDC に送られ、さらに検査が行われるシステムになっているとのこと。検査費用は、その他の呼吸器系疾患と同様、約200ドルと発表されています。
これに加えて、世界各地で病気や感染症の大流行と闘ってきた実績のあるビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金を提供して進められている新型コロナウイルス感染の検査キットの開発も、とても希望が感じられる展開です。このプロジェクトは、インフルエンザのような感染症の広がり方を追跡することを目的に2年間にわたりワシントン大学を拠点に実施されてきた 『Seattle Flu Project』 から発展したもの。
陽性の結果が出た人は、行動歴や接触歴についての質問にオンラインで回答し、医療機関はそれに従って検査をしたほうがいい人・隔離したほうがいい人を特定するほか、ウイルスの広がりを追跡し、ホットスポットの可能性がある場所を特定することがより簡単になるわけですね。
シアトル・タイムズによると、ワシントン州で初めて新型コロナウイルスの新たな症例の遺伝子解析を行ったのは、この 『Seattle Flu Project』 の科学者たちだったとのこと。フレッド・ハッチンソンがん研究所の計算生物学専門のトレヴァー・ベッドフォード博士はその最初の全遺伝情報を使ってウイルスの経時的な変化を分析し、おそらく誰もが思っていたよりも早く、同州でウイルスが広がり始めたと結論付けています。ベッドフォード博士は発見した内容のまとめをツイッターで随時投稿しているので、ぜひフォローしてみてください。