クリスマスの翌朝に起きると、一面の銀世界!
「シアトルは北海道より緯度が高いし、雪もすごいんでしょう?」
と、聞かれることがありますが、シアトライトでも特に雪に悩まされる状況にない人のはしゃぎぶりを見たら、雪が珍しいことがわかります!
シアトル大都市圏の雪対策 過去には市長が雪が原因で落選!?
でも、準備して決断を下す立場の人にとっては、雪は非常に神経を使いますよね。シアトルに長い人なら、2008年12月のクリスマス直前の大雪を覚えているはず。あの時は対策が後手にまわり、約2週間にわたり都市機能が麻痺し、当時のシアトル市長グレッグ・ニッケルズ氏は激しい批判を浴びました。オフィスに出勤して仕事をするのが当たり前の世の中だったので、交通機関の麻痺の影響は大きかったのです。翌年の選挙でニッケルズ氏が落選したのも雪が災いしたと、今でも冗談半分に(本気かも?)言うことがあります。
その後の市長は、同じ轍を踏んではいけないと、雪の予報が出た時点で先手を打っているように見えます。
シアトルのジェニー・ダーカン市長は、雪が降る前の12月24日に民事非常事態宣言を出し、シェルターの開設や除雪車の配備などを進めて雪に備えました。他の市や郡が避難所をオープンし、不要な外出をしないように呼びかけたのも同じ頃です。
でも、クリスマス明けの12月26日の朝に起きた時は、雪、雪、雪。子どもたちはさっそく坂を探してソリ滑りを始めて、元気なことこの上なし。
主要道路や高速道路の除雪作業はワシントン州運輸局や市の交通局などが行います。シアトル大都市圏はもちろん、州北部のスカジット郡やワトコム郡で除雪作業を続けている様子を、それぞれがソーシャルメディアで知らせていました。
こういう時、「シアトルは雪に弱いんだね」「こんな雪ぐらいで」という意見を必ず一度は耳にしますが、そもそも雪が珍しい地域なので、積雪地帯とは違うでしょう。
車社会でも雪道の運転に慣れている人たちばかりではないことが、12月27日にピアス郡やサーストン郡で70件以上の衝突事故が発生したという、ワシントン州警備隊のツイートからもわかります。中心地は坂も多いですしね。
こんな時、”out of the abundance of caution” という言葉が使われます。意味は、念には念を入れて。無理しないで良いのであれば、それが一番かと。
クリスマスイブから始まったフライトの遅延・欠航で大混乱
空の便も大きな影響を受けています。クリスマス前から新型コロナウイルスのオミクロン変異株による従業員の病欠で人手不足が続き、フライトの欠航や遅延が発生していましたが、ワシントン州西部からカリフォルニア州にかけての広範囲が大雪に見舞われたため、事態がさらに深刻化しています。
ワシントン・ポストは、クリスマスイブとクリスマス当日に世界中で3000便以上が欠航し、さらに23日に2000便が欠航したとのFlightAware.com によるデータを報じました。24日に欠航となった便の20%以上は、米国の国内便、米国発着の国際便。Flightaware.com によると、シアトル・タコマ国際空港で確認された24日の午後4時までの遅延便は109便、欠航便は27便でした。
中心部ではシアトル・シーホークスが本拠地ルーメン・フィールドで予定どおり26日午後1時過ぎから試合を開催するなど(1点差で負け、プレーオフ進出の望みが完全に消滅)、平常通りのところも見られる一方、動物園や水族館、小売店や飲食店などは休業や営業時間短縮とするところも多いです。
新型コロナウイルス検査やゴミの収集サービスなどにも影響が出ますね。
記録破りの熱波の半年後に、記録的な寒波に見舞われた2021年
さて、今日27日はきれいに晴れたものの、気温が低いまま。
「シアトルって、こんなに寒かったっけ?」
と思わせられる寒さです。
そうなると、観測記録上ではどうなの?と思いますが、NWS(アメリカ国立気象局)のシアトルオフィスの発表によると・・・やはり、12月26日の観測史上最低気温を更新していました!※アメリカの温度の単位は華氏でややこしい。
12月26日(日):
シアトル・タコマ国際空港
新記録 20℉(-6.7℃)
1948年の記録 22℉(-5.6℃)
NWS シアトルオフィス
新記録 22℉(-5.6℃)
1924年の記録 24℉(-4.4℃)
さらに、
日中の最高気温の記録:
25℉(-3.9℃)以下は、2010年11月23日以来初
24℉(-4.4℃)以下は、1998年12月20日以来初
そして、今朝27日の17℉(-8.3℃)は、2010年11月24日の14℉(-10℃)以来最低の気温でした。
でも、これがシアトルの観測史上最低気温ではないというのでびっくり。なんと、1950年1月31日に、0℉(-17.8℃)を記録していました!
これから来週までこの寒さが続くとのことですが、最低気温の記録が更新されませんように・・・。
ちなみに、シアトルは今年6月28日に日中の最高気温が108℉(42℃)に達して、観測史上最高気温を更新しているんです。
108℉(42℃)の時にスクショを撮り逃したのですが、画面に表示されているのでわかるかと思います。あの日は高温警報が出されて、ポータブルの AC でさえも売り切れ続出となりましたね・・・。
観測史上最高気温を更新するわ、その半年後には記録的な寒さに見舞われるわ・・・まるで違う場所の話のようです。
地球温暖化による気候変動で、前例のない、極端な天候が起きやすくなるといわれています。シアトルだけその影響をまぬがれるわけはないことを強烈に実感させられる年となったという意味でも、2021年は忘れられない年の一つになりそうです。