キャピトル・ヒルはパイクストリート沿いにあるカフェ・ヴィータ。2階建てのカフェは、地元の人に加え、シアトル・ユニバーシティやシアトル・セントラル・コミュニティ・カレッジの学生達などでいつもにぎわっている。
その特徴は何といっても豆の販売だろう。店内1階奥の焙煎工場では、ロースター達が豆を毎日ローストし、シアトル市内・近郊のさまざまなレストランやバー、カフェに豆を卸している他、グルメ志向の食料品店でも小売り販売している。シアトルのインデペンデント系カフェの豆の卸し売り部門では、業界のトップを走るカフェなのだ。今回の取材では、消費者向け営業部門のディレクターを務めるベテラン・バリスタ、ニコルさんにバリスタの仕事やカフェ・ヴィタの魅力などについて聞いてみた。
バリスタになるにはどんなトレーニングを受けるのですか?
私自身はバリスタという経験を持って当店に来たため改めてトレーニングを受けていませんが、ここで初めてバリスタという職に就くバリスタ候補生たちはまず約2週間の実務トレーニングを、そしてエスプレッソ・バー(エスプレッソ・ドリンクを作る場所)に入り、指導担当者が候補生の様子を見ながら教える “shadowing” というトレーニングを受けます。当店では豆もローストしているので、コーヒー豆の学習もあります。
どんなドリンクを作るのが好きですか?
カプチーノとラテですね。カプチーノとラテは温かいミルクを注ぎ、最後にきれいな花の模様を描くようにします。当店ではこういったエスプレッソ・アートのトレーニングもします。でも、良いエスプレッソのショットが打てて、良いスチーム・ミルクを作ることができて、当店のクォリティを満たすドリンクが作れるようになるのが先ですね。それができれば、自然とエスプレッソ・アートが身についてきます。
なぜバリスタの仕事を始めたはじめたのですか?
人とふれあう仕事が好きで始めました。この仕事はいろいろな人との出会いがあるのが魅力です。ドリンクを作るのも楽しいです。
ニコルさんにとって、バリスタに必要な要素とは何でしょう?
People Skills (人とのコミュニケーション能力)が必要です。当店ではバリスタを採用する際、熟練したバリスタであるかどうかといった経験はあまり問いません。なぜなら熟練したバリスタはそれなりの癖があり、それが当店のスタイルと合わない場合もあるからです。それよりもカスタマー・サービスが大事です。最近採用した人達は、コーヒーに関する経験はまったくないものの、カスタマー・サービスの経験があり、それが採用の決め手となりました。
カスタマー・サービスの質を保ちながら、効率良くドリンクを仕上げることに配慮しますか?
私たちはすべてに配慮しています。お客さんが来店された時点からサービスは始まります。ドリンクに関しては、量より質。そのため、ドリンクごとに豆をひき、ミルクをスチームします。たくさんのドリンクを一度に作るのではなく、個人に個人においしいドリンクを作ることに気を配ります。それが他の店との違いでもあるでしょう。スチーム・ミルクをいっぺんにたくさん作って、たくさんのドリンクを作るところもありますが、それではドリンクの質が下がります。