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シアトル在住時に立ち上げたイラストと文章でコーヒーの知識やトリビアを解説する英語ブログ 『I LOVE COFFEE』 が大ヒットし、2017年から日本を拠点とするライターとして活躍している岩田リョウコさん。今回は、その岩田さんに、東京の中目黒に先月オープンしたばかりのスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京を取材していただきました!
シアトルのキャピトル・ヒルに巨大なスターバックスのロースタリーができたのは2014年のこと。扉を開けると広がった世界は、わたしにとってまるで「コーヒー版ディズニーランド」。あの時の興奮をまだ最近のことのように感じていましたが、上海、ミラノ、ニューヨークにもロースタリー店舗ができ、そして2019年2月、東京にもやってきました。
ロースタリー 東京は中目黒駅から歩いて10分ほどの桜並木で有名な目黒川沿いにあります。大きな建物ではあるものの、街に馴染んでいて、歩いていると突然現れる感じはシアトルのロースタリーと雰囲気が似ているように思いました。新しさの中にクラッシックな和を感じさせる木材を基調とした外観デザインは、建築家の隈研吾さんによるもの。隈さんは木組みを用いた伝統と現代の融合というコンセプトを見事に表現した太宰府のスターバックスのデザインでも有名です。
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扉を開けると、シアトルのロースタリーと同じ世界が広がります。日本の、しかも中目黒でこの規模のロースタリーを作れてしまったことにまず感心しました。1階はシアトルのみなさんにはおなじみの STARBUCKS RESERVE® 。正面にメインバー、右手前にリテール、右奥にメインロースターの配置はシアトルと同じです。
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リテール商品は東京仕様で、お土産でも喜ばれそうなものがいっぱい。特に『とらや』とのコラボは素敵。
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そして奥に見えるのが日本初進出のイタリアの人気ベーカリー『Princi®』(プリンチ®)。プリンチ® のパンのファンであるわたしは、ここが中目黒であることを忘れるような異国感のある眺めを前に、心のふるさとシアトルのコーヒーと、大好きなプリンチ® のイタリアの朝ごはんを食べながら、まるで海外旅行中のような感覚(でも一体世界のどこ?)に陥りました。
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生豆で運ばれてくるコーヒー豆が目の前の大きなロースターで香ばしい匂いで焙煎され、それが目の前のカップに運ばれてくる。そして奥ではパン職人が大きなオーブンでパンを焼く。こうして口に入れるものが目の前で出来上がっていくのを見られるこのロースタリーは、大人にとっても子供にとっても、体験を通じた学びの場だと思います。
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さて、中央にそびえる銅板のキャスクですが、これよく見るとキャスク周りに桜が舞っているんですよね。春の目黒川をイメージしているそうです。1階から見上げると桜が舞い落ちてくるように、そして最上階の4階から見下ろすと桜吹雪の中にいるような景色に。圧巻の美しさでした。
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さて次は2階へ。実はこの中目黒店は4階建てで、2階から上はシアトルのロースタリーにはない未知の世界です。
2階は TEAVANA™(ティバーナ)のフロア。階段を登って振り返ると桜の木がよく見えます。ちなみにこの壁に埋め込まれているカップの数は2,300個。すべて手作業でおこなわれたそうです。
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桜の季節はきれいだろうなと思いつつ、フロアを見渡すと1階の研究所感とはガラリと変わり、とてもスッキリしていて全体的に柔らかい雰囲気。同じ建物内にありながらコーヒーとお茶の個性が上手に表現されたデザインです。
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ご覧の通り落ち着いた雰囲気。家で TEAVANA™のお茶を淹れるためのグッズも豊富に揃っています。
さて、さらに未知の世界、3階へ上がっていきます。3階は ARRIVIAMO BAR(アリビアーモバー)というお酒が飲めるバーとコールドブリューバー、マイクロロースターがあるフロアです。
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わたしが訪れたのは朝の9時すぎだったのですが、バーカウンターにしっかりお客さんが座っていました。でもお酒を飲んでいる人もいれば、コーヒーとケーキを楽しんでいる人などさまざま。
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こちらに並ぶのはコールドブリュー サイロ。水出しコーヒーのコールドブリューを作る器具です。まるで実験室のようですが、水出しコーヒーは他の抽出方法よりもずっとまろやかな味わい。ぜひお試しいただきたい一杯です。
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そして3階にはオープンテラスがあります。この日は小雨が降っていたので誰も外に出ていませんでしたが、桜が満開の季節になると席争奪戦になることは想像に難くないですね。
最上階の4階は焙煎されたコーヒー豆を袋詰めする様子が見られるコーヒーパックラインと、「AMU INSPIRATION LOUNGE」があります。こちらはコーヒーを楽しみながらセミナーやイベントを通じて見識を高め、人とアイデアや意見を「編む」ための場所なんだそうです。30~40人のイベントなどが今後開催される予定とのこと。
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名残惜しいですが、ここで最後です。4階は最上階なのでキャスクの一番上の部分をチラリと覗くことができます。ガラス張りの天井から光が差し込んでキャスクの銅板をキラキラ照らしていたのが印象的でした。
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いかがでしたでしょうか。シアトルにはない日本独自のテイストがたくさん盛り込まれ、同時に日本ではないような異国感も醸し出しているスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京。日本在住のみなさんも、外国からの観光客も、そしてシアトルでロースタリーに馴染みがある方も、みなさんそれぞれ心が踊る体験ができる場所だと思います。
スターバックスが単なるコーヒーチェーン店ではなく、コーヒーを通じて食文化、コーヒー豆の生産国、そしてコーヒーのことを伝えようとしている姿勢が感じられて、スターバックスが生まれた街・シアトルに長く住んでいたことをとても誇らしく思いました。みなさんもぜひ一度足を運んでみてください。いい体験になるはずです。
取材・文・写真:岩田リョウコ/スターバックス コーヒー ジャパン