皆さん、こんにちは!真美です。
約半年間担当してきた 『シアトル留学生カフェ探訪』も、私が担当する記事は今回で最後となりました。と同時に、シアトルでの約11ヶ月間の留学生活も残りわずかとなりました。
シアトルでやり残したことをなるべく無くすために、私的「バケット・リスト」の最優先項目だった「カナダのバンクーバーに行く!」を叶えてきました。友人からよく「行動力がすごいね」と言われるのですが、思いつきで即計画を練り始めるタイプなので、先週の月曜日に学校が終わった後、「よし、明日からバンクーバーに行こう」と思い立ってから、往復のバスとホステルをすぐに予約して、火曜日の朝5時には自宅を出発していました(笑)。
初めてバンクーバーに行ってみて、全体的にアジア人の比率が高く、日本人向けの観光パンフレットや、日本食レストランが豊富で、とても住みやすそうな街だなという印象を受けました。さすがは5年連続で「住みたい街ランキング」の第3位に選ばれただけあります。もちろん街全体も発展しているのですが、ダウンタウン周辺には公園やビーチ、港など、きれいな景色を眺めながらほっとくつろげるような場所も多く、喧騒な街の中心と、ゆったりとした海沿いの雰囲気のバランスがちょうど良かったです。特に、スタンレー・パークの周りをレンタル・サイクルで景色を眺めながら一周したのは最高でした。
日本に帰るウキウキ感とシアトルを去る寂しさでいっぱいですが、残り1週間、最後まで留学生活を満喫したいと思います。
それでは、『シアトル留学生カフェ探訪』 第74回のスタートです。
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今回ご紹介するのは、カークランドの北のトーテム・レイク地域にある『203°Fahrenheit Coffee』。
ショッピング・モールの中の店舗として、今年3月2日にオープンしたばかり。開店初日にはなんと600人以上のお客さんが押しかけたそうです。
ダウンタウンから少し離れていますが、ベルビュー・トランジット・センターからのアクセスは良く、235番のバス一本で行くことができます。
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早速、同店人気ナンバー1だという Rachel’s Lavender Latte をいただきました。
一口味わった瞬間、ラベンダーの豊かな香りが口いっぱいに広がりました。トッピングとして食用のラベンダーが振りかけられており、さらにラベンダーの風味を楽しみたい方は、ラテと一緒に噛んで飲むのが良いそうです。
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ラテと合わせて、多くのシアトルカフェと提携している 『Temple Pastries』 から仕入れているという、Raspberry Ginger Croissant を注文しました。
ビンク色の甘酸っぱいラズベリー風味の砂糖がまぶしてあって、外はパリッとしたクロワッサン生地、中にはラズベリージャムが入っています。温めてもらってからいただくのがオススメです。
今回インタビューに答えてくれたのは、バリスタのベンジャミンさん。
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お店の名前である「華氏203度(摂氏95度)」は、「スペシャルティ・コーヒー」業界ではよく知られた、エスプレッソ・マシンに水を入れてエスプレッソを抽出する際に最適な水温だそう。
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「スペシャルティ・コーヒー」とは、「From seed to cup」と定義されており、生産から収穫、品質管理、流通、焙煎、お客さんの手に渡るまでの全ての工程を、その道のプロフェッショナルが手がけ、厳正な選別が繰り返し行われることで、極上のコーヒーが出来上がるということ。
「スペシャルティ・コーヒー」と定義されるコーヒーは、コーヒー豆から一杯のコーヒーができ上がるまでのすべてのプロセスがこだわり抜かれているため、生産地によるコーヒーそのものの特性が最大限に引き出され、風味豊かで素晴らしい美味しさの一杯と評されます。
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そんな「スペシャルティ・コーヒー」を提供する同店では、もちろん全員が一流のバリスタ。
コーヒーの品質以外にも、他のカフェと差別化を図り、同店ならではの特別感を大切にするため、主に2つのポイントがあります。
ひとつは、ローカル・コミュニティと支え合う目的で、同店で使用するすべてのものを、出来るだけ同じ地域コミュニティから取り寄せているということ。こういったローカル・リソースへのこだわりは、同店を語る上で欠かせない要素の一つです。
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もうひとつは、「スペシャリティ・コーヒー」のカフェとして、もっと拡大していく取り組みをしているということ。
コーヒーの品質に一切妥協しない「スペシャルティ・コーヒー」のカフェとして展開していくのはとても難しいそう。でも、オーナーのアレンさんは、カフェの将来性に期待し、4年以内に新しい店舗を14〜15店オープンする計画に取り掛かっています。早くも来年には新しい店舗が完成するそう。勢いよく成長していくのが楽しみですね。ローカルにこだわりつつも、より広い地域を視野に入れ、カフェの将来的な発展もしっかりと考慮されているのがわかります。
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このカフェで好きなところは、「素晴らしい雰囲気」と言うベンジャミンさん。一般的なレストランのようなサーバーとお客さんという関係性ではなく、お客さんに対してもっと友達のような親しさを感じています。さらに、快適で居心地の良い空間を実現するため、WiFiや電源、駐車場を完備したり、毎日朝の6時から夜の7時までお店を開けたりと、お客さんのニーズをできる限り満たす努力をしています。
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ところで、オーナーのアレンさんは、面白い経歴の持ち主なのです。ボスニア・ヘルツェゴビナの農園で生まれ育ち、兵役を終えた後、8年間にわたりドイツでプロのサッカー選手として活躍し、アメリカへ。当初は会員制卸売り販売業者 『Sam’s Club』 で働いていたそうですが、1998年に 『La Marzocco Coffee』の生産マネージャーとしてエスプレッソマシンを組み立てる仕事をし、その後、『Caffe Vita』のディレクターに就任しました。現在、この『203°Fahrenheit Coffee』の CEO として奮闘する傍ら、『Zoka Coffee Co.』 の代表も務めています。
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『Zoka Coffee』 からヒントを得て、家具や壁のイラスト、店内設計やお店に流れる音楽の全てをデザイン・計画したというアレンさん。あえて小さめのテーブルを採用したのは、お客さんが一体感を感じられたり、コミュニケーションを楽しんだりできるからだそうです。
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そんなアレンさんに対して、ベンジャミンさんを含め、従業員全員が大きな尊敬と感謝を感じています。全員で一つになって支え合いながらカフェを運営しているという認識を大切にし、常にお互いへの感謝を忘れない、という従業員同士の関係性が、温かさのあるカフェの印象につながっていると感じました。
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とても快く質問に応じて下さったベンジャミンさん。最後には目の前で無料で普通のラテを作って下さいました。もちろん、とても美味しかったです!
学生なら学生証の提示で10%のディスカウント、10歳以下の子どもなら無料でホットチョコレートをもらえたり、ミルクの変更や追加のシロップのオーダーを無料でできたりと、サービスも素晴らしいです。
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ダウンタウンから少し足を伸ばして、ぜひ 『203°Fahrenheit Coffee』 に遊びに行ってみて下さい。
第3期メンバーの最後を締めくくるのは、夏学期を受けていたら夏のほぼ半分が終わってしまっていたという小百合さんです。
203°Fahrenheit Coffee
11901 NE Village Plaza, Kirkland(地図)
【席数】店内約35席
【公式サイト】203degreesfahrenheit.coffee
【Wi-Fi】あり
【電源】席によってはあり
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北村真美(Mami Kitamura)
滋賀県出身。大学進学後、京都で2年半の一人暮らしを経験。現在大学3年生を休学し、2018年9月からシアトルのベルビュー・カレッジにて1年間のビジネス留学プログラムに参加中。ビジネスと主にデジタル・マーケティングを勉強中。趣味はカフェ巡り、ジム、インスタグラム。
掲載:2019年8月
このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。