みなさん、こんにちは、文です。
ここシアトルは秋にしては肌寒いくらいの日々が続いていたのが、例年より暖かく、晴れ続きとなっています。食欲の秋という言葉がありますが、私の食欲もとどまることを知らず、先日久しぶりに軽い気持ちで体重計に乗ったところ、見たことのない数字に思わずその場で立ち尽くしてしまいました。このままではいかん…!と思い、匡洋さんのご紹介にもありましたキックボクシングを始めた次第です。予想以上の爽快感にハマってしまい、すべての人におすすめしているものの誰も一緒にやってくれません。
そんな私が 『シアトル留学生カフェ探訪』 第36回にてご紹介するのは、ウエスト・シアトルにある大人な雰囲気たっぷりのカフェ 『SOUND & FOG』。
ビーチからそう遠くないこともあるせいか、周辺にはゆるやかとした雰囲気が漂い、ダウンタウンやモールなどの中にあるカフェとはまた違った空気を醸し出しています。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-1.jpg)
店内へ入ると、天井から釣り下がったカラフルなインテリアが目に入ります。清潔感のある白と黒を基調としたテーブル、カウンターによく映えています。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-2.jpg)
キャッシャーの前にはコーヒーのメニューだけでなく、ティーバッグやスパークリングサイダーが並べられており、壁に掛けられた紙に書いてあるメニューに目をやると、コーヒーだけでなくドラフトの文字。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-3.jpg)
大人な雰囲気と前置きしたことと看板にでかでかと書いてあることもあり、もう皆さんお分かりかと思いますが、実はこちらのカフェはバーでもあるんです。
シックで落ち着いた雰囲気に、コーヒーからお酒まで豊富な種類のドリンク。車で来ていたのでお酒は飲めませんでしたが、何にしようか迷っていたところ、抹茶ラテという文字を見つけました。これは試してみたい…!とニヤニヤしながらキャッシャーの前に立つと、オーナーのジャスティンさんが話しかけてくださいました。抹茶ラテの他に、可愛らしいマカロンを見つけたのでそちらについても聞いてみると、定番のエスプレッソ味のほかにジンジャースナップ味などという珍しい味があり、そちらも注文してみることに。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-4.jpg)
ここのところコーヒーばかり飲んでいたので、久しぶりの抹茶ラテにわくわくしながら一口飲んでみると、とても口当たりがよくまろやかな味わい。マカロンの甘さと抹茶のほろ苦さがよくマッチして、我ながらいいチョイスをしたなぁと思いました。ふとジャスティンさんに目をやると、ラテを淹れ、お会計をし、お客さんと会話することまですべて一人で行っています。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-5.jpg)
お話を伺ってみると、他に3人ほどバリスタの方がいらっしゃるそうですが、今日は一人で接客しているとのこと。さらにジャスティンさんは必ずお客さん全員と会話していることに気が付きました。子供の話や仕事の話をしている方も多く、その場限りの会話ではなく普段からこのカフェを訪れる方々の顔や話題を覚えたうえでコミュニケーションを取っていることがよく伝わってきました。
そんな中、私ももっといろいろと話を聞きたい!と思い、抹茶ラテを堪能した後ジャスティンさん待ちの列に並び直し(笑)、お話を伺うことに成功しました。
まずオーダーした抹茶ラテについては、カフェを開いた時からメニューに入れようと決めていたそう。ブログに掲載したいので、もう一度作り方を見せてほしいと伝えたところお茶を立てるところを間近で見せてくださいました。使用している抹茶はカナダのバンクーバーBC にある OFIVETEA という会社から仕入れた、日本のものだそう。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-6.jpg)
茶筅を使いお湯で抹茶を泡立てた後、ミルクを注ぎラテアートを作る様子は和と洋のフュージョンのような、なんだか見ていて不思議な気持ちになりました。「このコントラストすごく良いよね?今までで一番綺麗に出来たかもしれない」と言いながら、なんとこの一杯、無料でプレゼントしてくださいました。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-7.jpg)
思い返せば前回の記事、第31回 Herkimer Coffee でもブログに掲載したいと言ってラテアートを淹れてもらい、一杯無料にしていただきました。「この展開、前もあったぞ・・・いつもそういう手法なんだとこのブログを読んでいる方に思われたくないなぁ」と思いつつ、ありがたくいただきました。
「さっきのやつよりもちょっと苦いかもしれないから気を付けてね」と言われましたが、とても飲みやすく優しい口当たりで「これは三杯目もいこうと思えばいけるな」と思いました。春夏は期間限定メニューとして抹茶ソーダなるものも提供しているそうです。
また、お店を入って左手には、コーヒー豆やグッズが販売されています。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-8.jpg)
真ん中の段、右手の白い袋に入ったコーヒーは Heart Coffee Roasters というポートランドにあるロースターで焙煎されたもので、エスプレッソを作る際にメインで使用しているそうです。その左にある青地の袋に入ったコーヒーはプアオーバー用に、オーストラリア発の Campos Coffee から仕入れたものだそう。私が訪れた際にはこの2種類のコーヒーが置いてありましたが、シアトル市内のロースターはもちろん、イタリアやフランスなど、ヨーロッパなどから仕入れたものに変更することも多々あるそうです。
さらに、そのすぐ横には多くのワインやシャンパンも。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-9.jpg)
アルコール類はヨーロッパから仕入れたものが多く、こちらも季節によって品揃えを変えているそうです。基本的に飲み物にフォーカスされているので食事のメニューはありませんが、チーズやナッツ類のおつまみは用意されているので、ゆったりとお酒を楽しむこともできます。
また入口を入ってすぐ目に入った、あの吊り下がるカラフルなインテリアについて聞いてみたところ、なんとこちらも季節に応じて変えているそうです。「もうすぐハロウィンだから、その時にはパンプキンになっているかもね」と笑いながら教えてくれました。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-10.jpg)
それから私が気になっていたこと、それはお店の名前。シアトルにある多くのカフェが「○○ Coffee」「Café ○○」などという名前の中、SOUND & FOGという一見カフェらしくない、オシャレなアパレルブランドのような名前をつけた理由をジャスティンさんへ聞いてみました。
まず SOUND はシアトルの西側、ピュージェット・サウンドと呼ばれる湾からほど近い場所にお店を構えているという地理的な特徴を表すために、そして FOG はシアトルに立つ霧から取ったとのことです。
この町に住み、愛着を持つジャスティンさんはウエスト・シアトルでカフェを開きたいと思い2016年7月にこの 『SOUND & FOG』 をオープンしました。ウエスト・シアトルの地域に根付きながらも、シアトルだけでなくアメリカの他州やヨーロッパのドリンクも取り入れることで、お客さんに新しい空間を提供したいという思いがあるそうです。
ここまでお話を聞いて思ったことがあります。それはジャスティンさんがこの地域と季節感を非常に大切にしているということ。ここシアトルは雨が降る日が多いことで知られていますが、春にはたくさんの桜を見ることもできますし、夏は短いものの夜の9時頃まで明るく過ごしやすい爽やかな日が続きます。そしてまさに今、秋には朝晩と霧が立つほど冷え込み、さながら映画トワイライトのワンシーンのような雰囲気が立ち込めます。
余談ですが最近、外に駐車している私の車に毎朝この霧がかかっており、ハンディワイパーで窓を拭いてから運転しているためその時間分やや早起きしなければならず、1分1秒でも長く寝ていたい朝の弱い私からするとちょっとした不満でもありました。でも、ジャスティンさんのお話を聞いて、朝から霧が立ち込めているということはファンタジックな風景が見られて得したような気分にもなれるし、シアトルのこんな季節も悪くないな、と思いました。
最近は予定を詰め込みすぎて、やりたいこととやらなくてはいけないことの狭間で悶々とすることが多かったのですが、温かい抹茶ラテを飲んで久しぶりにほっと一息つくことができました。ジャスティンさんとお客さんの会話する様子、ゆるやかな時間の流れるウエスト・シアトルの街の雰囲気に溶け込みつつも常に新しいものを取り入れようというジャスティンさんの仕事に対する姿勢、地域愛と洗練された空間。すべてが合わさってとても豊かな時間を過ごすことができました。
閉店間際までラップトップで作業に集中していたため最後の一人になってしまったのですが、お店を出た後ふと振り返ると、ライトアップされた店内で一人黙々と閉店作業をするジャスティンさんの後ろ姿が見え、とても印象的でした。
![Sound & Fog](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/10/sound-and-fog-11.jpg)
雨と霧で外出が億劫になるこれからの季節こそ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
Thank you for a great time and matcha latte!
次は、東北地方の食品販売でボランティアをするため、はるばるロサンゼルスまで行ってきた伸介さんです。
Sound and Fog
4735 40th Avenue SW, Seattle(地図)
【席数】約25
【公式サイト】soundandfog.com
【Wi-Fi】 あり
【電源】 席によってはあり
![伊藤 文](https://www.junglecity.com/wp-content/uploads/2018/09/aya-ito.jpg)
伊藤 文(Aya Ito)
1989年、神奈川県横須賀市生まれ。大学を卒業し、一般企業に約6年勤めた後、自身のキャリアを再度見つめ直すためアメリカ留学・インターンシップへの挑戦を決意。2018年4月からシアトルにて IBP プログラムに参加中。幼い頃から食べることが大好きで、食へのこだわりは人一倍。インスタグラムの8割を食事の写真が占める。また個人ブログでは会社員を辞めて渡米するまでのいきさつ、その後の生活を描いた記事が一部のコアな読者に共感を呼んでいる。
掲載:2018年10月