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シアトル留学、どうだった?『シアトル留学生カフェ探訪』座談会

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一人の社会人留学生からのメールで今年の2月に4人のメンバーで始まった 『シアトル留学生カフェ探訪』。シアトルに来てまだ1年未満の4人が新鮮な視点で紹介してくれたカフェは、半年間でちょうど30軒になりました。ということで今回は、その4人がそれぞれ新しい一歩を踏み出す前に、シアトルでの留学生活について、このブログでの体験について、そしてこれからやりたいことについてあれこれ聞いてみました!

沢田真洋 沢田真洋さん 社会人経験を経て留学。将来の夢はカフェ経営。興梠美羽 興梠美羽さん 大学を休学して留学。食とビジネスに興味あり。スリーブ集めがマイブーム。
石田麻実 石田麻実さん 社会人経験を経て留学。音楽鑑賞・楽器演奏が大好き。飯野瑠菜 飯野瑠菜さん 三度の飯よりスタバのフラペチーノが好き。大学を休学して留学。
もくじ

どうして留学生にシアトルを選んだの?

ジャングルシティ:ではまずこの『シアトル留学生カフェ探訪』を企画した沢田真洋さんがシアトルを選んだ理由は何ですか?

沢田真洋

真洋:シアトルを選んだ理由・・・ないですね(苦笑)。僕の英語力とベルビュー・カレッジがマッチしたというのが最大の理由です。でも、他の国ではなく、アメリカに行きたいという漠然とした想いはあって。その頃は、正直、スタバ発祥の地で、イチローが活躍していたぐらいのイメージで、特に他のイメージはなく、来た後に、「うわ、カフェがたくさんあるな」とか、「IT企業で発展してるんだな」とか、「アマゾンやマイクロソフトもあるんだな」って。特にカフェのことを学ぼうとも思ってなかったですね。

飯野瑠菜

瑠菜:私もここしか来れるところがなくて。アメリカは、全部こう、ニューヨークみたいと思ってたら、シアトルは穏やかなところで。

沢田真洋

真洋:緑もあって。

飯野瑠菜

瑠菜:そう、人が優しくて。

石田麻実

麻実:私の場合、留学プログラムを見つける前に、漠然と留学したいと思っていた時期があって、その時もいろいろ調べていましたが、特にシアトルは考えてなかったですね。アメリカ、カナダ、オーストラリアと国で考えていました。アメリカは物騒だと思ってましたし(苦笑)。そしていざ留学しようとなって、私の英語力にマッチしたのがここの学校でした。来てみると、とてもいいところで、のどか。でも都市部に行くと活気がありますよね。

興梠美羽

美羽:私がシアトルを選んだ理由は留学プログラムです。ワシントン大学に行きたかったというのもあって。シアトルのイメージは、スタバ、アマゾン、マイクロソフトの本社があって、ビジネス面でギラギラしているイメージがありました。なので、ビジネスを勉強しにシアトルに来たという感じです。

インターンシップをしてみて、どう?

ジャングルシティ:留学の最後はインターンシップで忙しい中もブログを続けてくれたわけですが、実際、学校と職場と両方を体験してみてどうでしたか?

飯野瑠菜

瑠菜:日本だと、「学生の間は自由に遊んで社会人になったら自由もなく終わり」という、下がるイメージがあるんですが、シアトルでは大学生はめちゃくちゃ勉強していて。で、社員5人ぐらいの郊外の化粧品会社でインターンシップを始めてみたら、社会人の方が時間もお金も自由もあって、とてもいいなと。ここでは、大人になる夢がある。日本では絶対、大人になりたくないと思う。みんなはそう思わない?

興梠美羽

美羽:ずっと学生でいたいと思う!(笑)

沢田真洋

真洋:うーん、思いたくはないですけど、学生の時に戻りたいなと思う時期もありますね(苦笑)。今が一番いい、今が一番輝いてると思いたいけど、正直、大学4年生のサッカーをしていた時の自分が一番かっこよかったなと思ってしまうことがあります。残念ですけど。インターンシップを始めて感じたことは、自分の英語力の低さです。僕が通ったベルビュー・カレッジは留学生も多くて、日本好きな学生も多いので、僕の下手な英語にも耳を傾けてくれるし、日本人の話す英語に慣れている人も多くて、だから話せているつもりだったんですよね。でも実際の社会ではそんなの関係ない。英語ネイティブ、または英語が上手なお客さんたちは、そんなこと関係なし。

興梠美羽

美羽:私は有給で働けるOPTビザを持っているので、ITのスタートアップ企業でお金をいただいて働いています。働く前後の印象もあるのですが、正直、日本人の大学生が短期で有給で働ける場所って限られていて、職探しが大変でした。もちろん、無償でも良かったんですが、せっかくならお金がもらえる仕事に就いてみたいと思って。アメリカの職探しのイメージは、自分が何をやりたいかではなく、自分が何ができるのかというところまで見られているということ。エンジニアならスキルがあってエンジニアとして面接を受けられますが、私はビジネスをちょっと勉強しただけで、学部は法学部だし、どこでどう自分の力をいかすかとなると、やはり日本語を生かすしかなく・・・。それで、日本に進出しようとしていて日本人が必要なこの会社に雇っていただくことができました。日本人がアメリカで働きたい時、もちろんスキルがあればいいんですが、スキルがない場合、日本語能力というのが大事になってくるんだなと。仕事の内容は、『シアトル留学生カフェ探訪』で鍛えた日本語力で(笑)、翻訳作業をしています。

ジャングルシティ:インターンシップ先での働き方はどんな感じですか?

沢田真洋

真洋:僕が働いているベルデン・カフェは午後6時閉店なんですが、午後5時過ぎから片付けを始めるし、トースターも電源を切るし、テイクアウト用カップにしていきます。午後5時半になると、お客さんに「後30分で閉まる」と声をかけて、午後6時30分より前に片づけが終わるようにしています。

ジャングルシティ:働き方の違い、他のメンバーも体験してますか?

石田麻実

麻実:ワシントン州商務省でインターンシップをしたのですが、勤務時間は午前8時から午後5時までと決まっているので、午前7時50分ぐらいにビルに入ろうとしたらキーカードが反応しない。セキュリティの人に聞いてみたところ、午前8時以降に来ないとだめだと。無償インターンシップなのでゆるいですが、日本の仕事では始業の15分ぐらい前に来ているのは普通。定時より先に帰ることはありえません。

興梠美羽

美羽:就業時間は人それぞれで、自由に帰れるというのはありますね。あとは、いい意味でも悪い意味でも個人主義だなというイメージがあります。もちろん職場によると思うんですが、私のところは、プロジェクトが来たら、終わらせる、終わらせないとクビになるぐらい、個人個人の意識がとても高く、仕事をやっています。日本みたいに協力して高め合うという文化が必要ないのか存在してないのかわからないんですけど、各々がプロジェクトのタスクを全力でやってプロジェクトを終わらせる。何かプロジェクトが来た時に、チームで一丸となって励ましあいながらがんばろう!というのが日本のいいところなのかなもしれませんが、ここでは励まし合い、高め合いというのはないですね。テクノロジー系というのもあるかもしれません。それぞれコンピュータに向かってやっているので、終わった人は帰れますし、プロジェクトが終わってなくても自分が担当している分が終われば帰ります。

ジャングルシティ :責任範囲が明確なんですね。

興梠美羽

美羽:日本人は働き過ぎだって、めちゃくちゃ言われるんですよ(笑)。それも社員に言われるんです。たしかに私たちは「この時間からこの時間まで働いて」と言われたら働いてますし、タスクが来たら終わるまで全力で仕事をしています。でも、みんなは、「途中でコーヒー飲んでいいんだよ」「散歩してきていいんだよ」「なんでそんなずっとすわって一生懸命にやってるの」って。この間は無理やり外に出されて、「散歩してこい」。ストレスを抱え続けて仕事をするということをしてないですね。

沢田真洋

真洋:過去の自分を思い返しています(笑)。

興梠美羽

美羽:日本人の場合は、「一生懸命にやらなくちゃ!お金もらってるし!」と思ってしまうんです。でも、そんなふうにオフィスの外に出してくれてありがたかったです。金曜日には早く帰れと言われますしね。そういうのは社員の優しさですよね。アメリカ人同士だったらわかってるのかもしれませんが、私にはわかんないですもん。

石田麻実

麻実:私の場合も、インターンシップの初日までに平日の勤務時間を書いて持って来てと言われたので、いろいろ考えて持っていきました。日本だと1時間の休憩があって、それは勤務時間にカウントせずに、労働時間をカウントします。つまり何時から何時までというのを1日8時間労働として1日9時間になるように計算していたので、こちらもそうだと頭から信じて考えて提出したら、上司が「1時間ずれてるよ」と。まず昼の休憩時間の1時間は給料が発生しないという考え方ではなくて、好きな時間に食べに行っていいし、やることをやればいい。午前8時から午後5時からでもいいし、遠隔でもいいし、スタバでやってもいいと。インターンシップでは、それはありなんですね。

沢田真洋

真洋:僕の前職では定時より10秒早くてもだめでしたね。翌日には上から呼び出されて、「なんで10秒早く出てるんだ」と注意されました。

(一同、驚愕)

興梠美羽

美羽:そんなことで怒ったり怒られたりしている時間が無駄。

(一同、うなずいている)

沢田真洋

真洋:非効率なことはたくさんありますね。こうしていろんな人の話を聞いていると思い出すこともあって。日本はチーム、アメリカは個人的でタスクベースというのを聞いていて、僕の場合はカフェは特殊だと思うんですが、僕の場合は日米での違いをあまり感じないですね。カフェでは「チーム・ベルデン」と言ってるし、パスワードもそうした意味のフレーズを使っています。一体感があるチームがあるので、お互いを補い合ってますし、僕が英語力の問題でお客さんとのコミュニケーションで困っていたら助けてくれたり、とてもあたたかい感じがすると思っています。あと、シアトルはさすがコーヒーの街だけあって、お客さんのコーヒーの注文が細かい。例えばミルクでもいろんな種類がありますし、あとはエキストラホットとか、追加ショットとか、こだわりが強いですね。食に対してもそうだと思うんですが、飲んだ感想もダイレクトです。

興梠美羽

美羽:チームという概念でいえば、チームの垣根がすごく低いです。いろんな人がポンポン入って来て、抜けることもあると思うんですが、チームに招き入れる敷居は低いです。私の名前を知らない人がたくさんいるのに、挨拶して、仕事をやってます。会社的にどんどん拡大しているので、いろんな人が入って来ていて、チームという意識はあってその一員として紹介されている。自己紹介される前でも笑顔で対応してくれるし。ウェルカムパーティーを開かずともウエルカム感がある。箱を定めなくても、ビジョンや目的を共有しているからなのでしょうね。

シアトルで一番好きな場所は?

ジャングルシティ :1年未満住んだシアトルで一番好きな場所は?またシアトルに来たときにここにまた来たいと思う場所や、誰かがきた時に連れていきたい場所はどんなところですか?

沢田真洋

真洋:ホストファミリーの家ですね。ホストファミリーのことがめちゃくちゃ好きなんですよ。ホストはお父さんお母さんの二人で、お子さん達が独り立ちしているので、僕が一人息子のようで。あたたかくて、いいですね。親戚の会とかにも呼んでくれますし。あとはインターンシップをしているベルデン・カフェですね。実はシアトル市内も行ったことがないところばかりです。

興梠美羽

美羽:コロンビア・センターの40階にあるスターバックス(笑)。めちゃくちゃ景色がいいわけではないですけど、40階の窓際に座ってコーヒーを飲むのが私は好きで。一人の時間を持ちたい時にそこまで行って、静かに過ごせる場所です。シアトルに来たらまた行くと思います。

石田麻実

麻実:友達が来たら連れていきたいのは、定番ですが、スタバ1号店だったり、パイク・プレース・マーケットだったり。ガムウォールとか。私はガムウォールの存在を知らなくて、初めて聞いた時はクレイジーだと思いましたし、それが観光名所になるなんてユニークだし、日本でそういう発想はなかったなと。私が知らないだけかもしれないけど。シアトルに戻ってきたら、ホストファミリーの家、イサクアのヒストリック・ダウンタウンに行きます。イサクアのヒストリック・ダウンタウンではボランティアをしたりすることもあるんですが、しばらくたってまた来て、あの風景を見たら、落ち着くと思います。歩いてるだけでも楽しくて。ハロウィンでゾンビの格好をして歩いたりするんです。日本だったら恥ずかしくてできないけど、アメリカだからできました。

飯野瑠菜

瑠菜:私も行きました!結構いろんなところに行ってる。

石田麻実

麻実:ボランティアでゾンビのメイクしてくれたりする人もいるんですよ。一人5ドルとかでやってくれるところもあるし。

飯野瑠菜

瑠菜:そうそう!日本だとなんか本格的にゾンビのメイクするけど、こっちだと気軽でチープなゾンビのメイク(笑)。とっても楽しい。

石田麻実

麻実:それがいいっていうか(笑)。

飯野瑠菜

瑠菜:友達が遊びにきてくれることが多いんですが、みんなやっぱりパイク・プレース・マーケットがいいっていいます。あれほど大きな市場が他の都市にはないらしく。私もあそこは一番外国な感じを受けます。日本でもどこでも、おしゃれな街並みになってくると、どこも似てくるのかなって。でも、パイク・プレース・マーケットは、シアトルに来たなあっていう感じがするんだと思います。

沢田真洋

真洋:あと、最後のブログで書いた 『The Good Coffee Company』 というシアトルで一番古いコーヒー豆のロースタリーも、シアトルに来たらまた行きたいところです。

石田麻実

麻実:具体的にどこと言うわけではないんですが、海を見るのが好きなので、ウォーターフロントのあたり、レイク・ユニオンに面しているガスワークスパークも好きです。日本海、太平洋、日本はそうですが、シアトルは湖も海もあって、水辺の景色があるんですよね。

興梠美羽

美羽:めちゃコアなんですが、シアトルのダウンタウンからI-90を東へ走る時に南側を見ると、マウント・レーニアが見えますよね。その眺めが好きです。水面がきらきらしてて、すっごくきれい。

石田麻実

麻実:共感します。シアトルは私でも知ってるくらい、「アメリカの一大都市」というイメージがあったんですが、「山が綺麗だよ」「海が見えるよ」っていうのは聞いたことがなかったので、来てみてビックリしました。私の出身の富山だと、晴れていると、富山駅からでもパーッと山がパノラマに見えるので、それを知っている地元の人は「今日は山が見えるよ」と言うんです。住んでいるからこその感動。シアトルの人と感覚が近いですね。

沢田真洋

真洋:シアトルは雨が多いと言われていますが、思った以上に雨が少なく、でも思った以上に曇りの日が多くて。日焼けが好きな僕としては、太陽のありがたみを感じるようになりました。おすすめの日焼けスポットは、ベルビュー・カレッジの図書館の前の石段、そしてベルビューのダウンタウン・パークの芝生ですね。晴れるとあそこで寝て日焼けしています。気持ちいいですね。外で勉強したりもしていました。

飯野瑠菜

瑠菜:年をとったらシミが出てくるよ。だから日焼けするなら、日焼けしてもUVをブロックするのを塗って。

沢田真洋

真洋:これまでの人生で日焼け止めを塗ったことないんですが・・・勉強になります(笑)。

興梠美羽

美羽:こちらの人は芝生にじかに寝転んで勉強していますよね。ちょっとぐらい汚れようが、気にしてないですよね。それもいいなあ。

沢田真洋

真洋:気軽だよね。ちょっと濡れたってかまわないし。

シアトルでの忘れられない体験ってどんなこと?

ジャングルシティ:いろいろあったと思うのですが、忘れられない体験ってどんなことがありますか?

興梠美羽

美羽:ざっくり言うと、目的を持って留学して来たのに、新しい世界に触れて、いろんな人に出会って、いろんな体験をして、自分の中の価値観が変わってしまったんですね。そして変わってしまったことに、とても焦りを感じた時期がありました。夢がなくなってはいないんですが、変わってしまったということで焦りを感じた時期があり、そんな時に夢を語るスピーチコンテストに出ることになってしまったんですね。いったんは断ったんですが、まわりに押されて出てしまい、話し始めた瞬間、号泣してしまって。まとまらずに終わってしまって、失敗といえば失敗なんですが、大泣きしてスッキリした面もあって、そういう「変わってしまった自分」を受け入れられたんです。そういう自分でもいいんだ、今を楽しもうって考えられるようになる、いいきっかけとなりました。今思っても恥ずかしくて、よくあそこに立ったなと思い出しますが。

沢田真洋

真洋:そのスピーチコンテストは今年から男性も参加できるようになったので、僕もすぐ参加申し込みをしたんですよ。夢を語りたくて仕方なくて。そしてコーヒーとか自分の将来やりたいカフェのことを考えてたので、それを言葉にしようと原稿も書いて練習していたんです。でも、かつてサッカー選手になりたいと思っていた時のように、言葉に想いを乗せられていないと思ったんですね。なんて言うんだろう。考えすぎは良くないと思ったんですが、結局、自分の夢を熱く語れない自分がいたので、人前で話せるような夢じゃなかった、と。それで出場を取りやめました。でもそれがきっかけで、自分の考えを整理できたので、2、3年後にはちゃんとした想いを乗せて自分のカフェという夢を語れる日が来るかもしれません。すごくいい機会だったなと思います。

思い出と言えば!僕にとっては、拓未さんとの出会いですね。あれは昨年の年末でしたよね。バタバタされてるような時にメールを送らせていただいて。めちゃくちゃ長文で、タイトルも「コーヒー情報の提供について」なんて。返事が来るなんて期待してなかったらすぐに返事が来て。それも、ジャングルシティを始めた人から。え!みたいな。すぐミーティングしましょうと言ってくださって、サクサク進みました。それはとても大きかったです。

ジャングルシティ・拓未:こちらこそ、世代の違う人たち、シアトルに来て間もない人たちと出会うことの大切さを改めて実感する機会になりました。忙しい中、続けて下さってとてもありがたいです!

沢田真洋

真洋:点と点が繋がっていくという話。シアトル・バリスタ・アカデミーに参加して修了書をもらったり、シアトルで開催されたコーヒーのイベントでボランティアしたり、ベルデンカフェでインターンシップをしたり。シアトルに来る前はカフェでバイトをしたこともなければ、カフェを開く夢はあっても酒の肴に話す夢だけで、一歩を踏み出したこともなかった。日本でもカフェにほとんど行ったことがなかったのに、こちらに来てカフェのことを勉強し始めて。今思うのは、その気になれば、一年に満たない期間でなんでもできちゃうんだな、異国の地でバリスタができるようになれちゃうんだなと。ゼロからのことでも・・・というのはよく思います。それはチャレンジを受け入れてくれるアメリカだからできたのかもしれない。もしかしたら日本ではここまで行けなかったかもしれない。でも、なににせよ、本気になればゼロからでもできるんだなと感じてます。

飯野瑠菜

瑠菜:みんな壮大な話をしてるんですが、普通の話でいいですか?(笑)私はもともと閉鎖的な人間で、みんなが新しい人と交流しに行って、新しい経験をして、というのに違和感を覚えるタイプなんです。言葉もあまりちゃんと通じないのに、週に一回おんなじところで会って・・・って、みんななんでそれを「友達」って呼ぶんだろうって。だから、外国人の人と友達になるというのが自分の中になくて、どうせ合わないしと思ってたんです。でも、3学期になって、年は離れているんですが、仲良くなって、いろいろ誘ってくれるようになった人がいます。でも、お互い ESL だし、話してても意味が通じにくかったり、悩みとか相談するけどいまいち環境も違うし、国も違うし、「それって違うよ」となることが多くて。一緒にいるけど、「友達って何なんだろう」って悩むことが多かったんです。そしたら、最後の授業で、このクラスで得たことについてそれぞれスピーチをした時、私は普通に先生に気に入られそうなスピーチをしたんですが、その子は悩みを分かち合える仲間ができたと話して私のことを紹介してくれたんです。それで「私ってなんて凝り固まった人間だったんだろう」って思ったし、そんなこと言ってくれて嬉しかったし、その子だけが私がこっちに来て唯一、「友達になれた」と思えた子なんです。そんな出会いがあったことがいい思い出になって、出会いもいいことだなと思いました。

石田麻実

麻実:私は留学すること自体が夢だったので、みんなは就活や転職、学生団体の立ち上げとか、いろいろ目的があるのに、私は留学する夢が叶ってしまったので、何をしたらいいんだろうって。でも、今回こういうご縁があって、コーヒーのブログに参加させてもらえて、充実した経験ができました。行動力があるかないかで自分の未来が変わるんだなと。日本ではずっと人の目を気にしていましたし、仕事を辞めて来た私は、これからどうしようかと思ってたんです。でもこちらにはいろんな経歴の人がいて、働きながら学び直している人もいるし、仕事を辞めて来た人もいるし、いろんな生き方があるんだなと。「Seattle Nice」という言葉がありますよね。とりあえずいいねと言ってくれるという意味だそうですが、日本だと「ほんとにそんなことできるの?」とか、「そんな大きい夢を語ってるけどできんの?」みたいになってしまう。必ずしもそれは悪いことだとは思わないけど、シアトルはとりあえず「いいね!」と(笑)。それっていいですよね。

沢田真洋

真洋:やってみなはれ、ですね。

石田麻実

麻実:そう!やってみなきゃわかんないし。最初の3ヶ月間、何したらいいんだろう?って思ってたので、沢田さんがこういうブログの立ち上げを考えて参加者を募集してくれた時、「これだ」って思ったんです。コーヒーに詳しいわけでもないし、ラテとオーレの違いもわからないぐらいでしたが、日本でもカフェに行くのが好きだったと思い出して。おかげですごく楽しくなりました。嘘でもなんでも「いいね!」ってまず言ってもらえたら、周りの目を気にせず思ったことをとりあえずやってみることができて、結果が全然違うんだなと。チャンスは広がるし、やってみて失敗しても、やったことで経験になりますし、やらないことがもったいない。これからも、やろうと思ったことはやろうって思いました。

ジャングルシティ :模擬国連にも行ったしね!

石田麻実

麻実:模擬国連の授業についていけてなかったので、無理かなと思ったんです。でも本当にやってよかったです。もちろん、模擬国連に取り組むレベルはそれぞれ異なるんですけど、その人次第でいい経験になります。ちょっとでも身になる経験をしようと思ってやったので、やっぱりやればやるだけ返ってくる、成果が出る。賞がもらえるだけでなく、自分の糧になります。勇気を出してやってみてよかったです。

興梠美羽

美羽:やってみないと、わからないもんね。

石田麻実

麻実:そう!やってみないと、わからない。ついていけなくても、挑戦してみると学びがありますね。

シアトルで一番好きなカフェは?

『シアトル留学生カフェ探訪』では、30軒ものカフェを紹介しました。それぞれ一番好きなカフェってどこですか?

興梠美羽

美羽:やはり一番先に取り上げた 『Anchorhead Coffee』 ですね。好きだし、思い入れもあります。まずカフェ自体の雰囲気も好きで。コミュニティとしてのカフェも多いですが、あそこはお客さんがそれぞれ好きなことをしてますし、ワッフルが本当に美味しくて毎回食べてるんです。店員さんも優しかったし。友達とかが、私が書いたブログを読んで「行ってみたよ」「すっごくおいしかった」とか言ってくれるのが本当に嬉しかった。自分でこういうことを発信するって本当に大事なんだなって思うんですけど、その楽しさを覚えました。自分がいいと思うものをシェアして、それをみんなが「いい」と言ってくれる、その喜びってものを感じるきっかけとなったのがこのカフェです。みんな行って欲しい!って思うんです。

Anchorhead Coffee
飯野瑠菜

瑠菜:やっぱり・・・わたし、ずっとスターバックスで働いてて、ここに来たら一番に行きたいと思ってたし、店を代表してロースタリーを見学に来たいというぐらいの気持ちで来たので。そして、キャピトル・ヒルのロースタリーに行って家に帰っただけの1日でしたが、一番感動したから忘れられない。大きくて混んでて、ゆっくりできないんですけど、コーヒーを頼んで、コーヒーを飲む場所だから、コーヒーに触れる機会を作ってくれるお店だなって。わたしは新しいものを開拓しようとしないので、ブログに参加してなかったら、ずっと通ってただろうなと。シアトルには本当にたくさんカフェがあるから、同じところに行くのはもったいないかもしれないけど。

Starbucks
石田麻実

麻実:私の場合は、『Issaquah Coffee Company』 ですね。赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで店の中にいて、誰でもウェルカムという感じがするんです。他には、自分がいろいろ調べて見つけた中で、シアトルではすごくたくさんカフェがありますが、『Moore Coffee』 はやっぱりラテアートがかわいくて、何度行ってもワクワクします。居心地とかも考えるので、かわいいふんいきとか含めてお気に入りです。どのカフェに行っても地元のアーティストの作品が飾られていて、地域との繋がりが感じられます。

Issaquah Coffee Company
沢田真洋

真洋:すごく悩むんですが・・・めちゃくちゃ行ったんですけどね。すでに130軒以上行ってます。個人的な主観が入ってしまいますが、インターンシップ先のベルデン・カフェが好きですね。スターバックス本社訪問の記事でも書きましたし、いつも言ってることなんですが、コーヒーやペイストリーがおいしいだけじゃなくて、やっぱり店員の接客だったりコミュニケーションに重きをおくべきだと思っていて。コーヒーの味を求めるだけだったら、究極な話、ロボットでもできると思うんです。人がいなくてもいいわけで。なんで人がいるのかというと、コミュニケーションだったり、つながりだったり、温かい雰囲気だったり、なんですよね。少なくとも僕はそう思っていて、僕も将来そういう、コミュニケーションの質を求めるカフェを作りたいと思っています。カフェでインターンシップをしたいと決めた時、4-5軒にメールを送ったんです。でも返事が返って来たのが唯一、ベルデン・カフェだけでした。オーナーに「電話で話そう」と言われて、僕の英語力では電話は無理と思ったんですが、とにかくオーナーと電話で話をして、次は直接会って。当時のマネジャーもオーナーと同席してくれたのですが、めちゃくちゃいい人で、店の内部も見せてくれて、「働いていいよ、英語も教えてあげるし、何でもしてあげるから」と。そこでコミュニケーションの質というものを考えました。彼らはすごく自分のありのままを受け入れてくれている気がするんです。

『シアトル留学生カフェ探訪』 をやってよかった!と思った時は?

ジャングルシティ:では最後に、この『シアトル留学生カフェ探訪』 をやってよかったなと思った時は?

沢田真洋

真洋:ブログをやったおかげで、お店の人と話す機会を作ることができました。そういうことでもなければ、自分の時間を楽しもうという気持ちになっていたと思います。カフェの温かみだったり、そういう部分を感じられて。バラードとかフリーモントの北側とか、いろいろなところにカフェ巡りで行って、すごくよかったと思います。人との繋がりで、ライトハウス・ロースターのオーナーとご両親にも会って、イベントもさせていただいたし、それがブログをやっていたからこその結果だと思っています。

飯野瑠菜

瑠菜:やらなかったら行かなかったところ、見なかったところ、これをやって一番よかったのはそこです。いろんなところに行って、たくさんシアトルを見られたこと。

石田麻実

麻実:沢田さんから話を聞いてライトハウス・ロースターのアニバーサリー・イベントに行ったのが、初めてフリーモントに行った日でした。アメリカは怖いとやっぱり思ってましたが、こんなにおいしいカフェがあるのに、出かけないのはすごくもったいないと思って、外に出かける気になったと思います。有名な観光地だけじゃなく、そこから離れて見るシアトルが好きです。学校で英語を話す機会を増やそうと思っていろんなところに顔を出してたんですが、『シアトル留学生カフェ探訪』のおかげでそれ以外の機会で英語を使うチャンスを作ることができました。今思えば、学生同士とか、会話を練習するという設定だけでなく、留学生相手に話しているという感覚で話しているわけではない、普通の英語を話してくれる機会になって、すごくよかったと思っています。

興梠美羽

美羽:『シアトル留学生カフェ探訪』 をやって良かったことは二つあります。ブログを書くことが楽しかった。どうしたら人に伝わるか、どうしたら最後まで人に読んでもらえるか、そういうことを考えるのが大変な時もあったけど、やってよかった。将来こういうこともしたいと思ったし、学生が書いて、たくさんの人に見てもらえることが本当に良かった。もう一つは、使命感がありました。こちらに来て最初の3~4ヶ月は、カフェやスーパーマーケットの人と話すのが怖かったんですね。自分の英語力に自信がなかったというのもありますが、仏頂面の店員さんがいたら、「自分の英語が下手だから?」「日本人だから?」と考えてしまってました。今思うと被害妄想だと思うんですが、当時は緊張してて、何食わぬ顔してレジに向かうんだけど、実はドキドキしていたんです。でも、ブログのために必死で話しかけてみたら、みんな意外と(?)ちゃんと返事をしてくれて、笑顔で対応してくれて。それで、「英語が下手だからとか、日本人だからとかじゃなくて、私が緊張してて仏頂面だったから、あっちもそうだったんじゃないか」と思い当たりました。「私が笑顔で来たら、店員さんも笑顔で来てくれるんじゃないかな?」と。そして実際にそれを実行してみると、本当にそうだったんです。そこを超えられるきっかけが、このブログでした。

沢田真洋

真洋:この『シアトル留学生カフェ探訪』 も、このメンバーがいてこそやり遂げることができました。僕がもし一人で書いてたら、いろんなカフェを知ることもなかった。みんなでやってよかった。一人じゃないのがよかった。そして、それぞれにも学びやメリットがあって、本当に素敵だなと思いました。

ジャングルシティ:このブログの企画を受けたことで、とてもたくさん学びがありましたし、毎週あがってくるブログが楽しみでした。半年間、おつかれさまでした!そして、どうもありがとうございました!

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