日本でよく使われる言い回しを別の言語に直訳して、「文法的には間違ってないんだけど、そうは言わないんだよね・・・」という経験をしたことはありませんか。言葉は文化や習慣、価値観や考え方などいろいろなことを背負っているものなので、直訳するだけでは意味が通らないことがあるのです。
カナダでレストランに行った時のこと。日本人のスタッフがとても丁寧に応対してくださったのですが、お水をもらおうとしたアメリカ人の同伴者が "Excuse me" と呼びかけたところ、ちょっと振り向いて、
"Can you give me some time?"
とだけ言って、去っていきました。
えっ?!それは・・・
でも、次の瞬間、その場にいた日本人も、日本が好きなアメリカ人も、「日本語の "少々お時間いただけますか?" の直訳だ!」と納得。
「ああ~、日本が懐かしいなあ!」「このフレーズを英語ネイティブがこの状況でお客に言うことはないけど、彼、がんばって英語をやってんだね」と、オフェンドされず、応援モードに。忙しい時間帯だったので、説明する時間はありませんでしたが・・・
このことを日本語学習のオンラインプログラム 『Human Japanese』 創業者のブライアン・ラックさんに話したところ、こんな答えが返ってきました。
「面白い経験でしたね。たしかに、"Can you give me some time?" と言われたら、すごく怒られている感じがしますよね。まるで、"何で素直に待ってくれないの?" と言われている感じです。具体的にどの部分がそういう雰囲気を醸し出すのかは、よくわからないですが。くれぐれも、直訳に気を付けないといけいないものですね!」
ちなみに、こういう場合、英語では "I will be right with you!" とか、"I will be right there!" と、ニコッとしながら言うのが一般的。日本で言う「すぐにお伺いしますので少々お待ちください」に近いと思います。
言語って、難しい!