シアトルのクラフト・ブルワリー集積地として知られるバラード。その一角にある、チェコのアートを思わせる壁画が目を引く『オベツ・ブリューイング』は、年間生産量は375バレルとまだ小規模ながら、他店では味わえないヨーロピアン・ビールを取り揃えたブルワリーです。
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ブリューマスターで共同経営者のウェインさんがビールを造り始めたのは、妻のステイシーさんが自家醸造ビールキットをプレゼントしたのがきっかけ。ウェブデザイナーとしての仕事を楽しみながら趣味でビールを造っていたのが、少しずつ規模が大きくなり、2016年にフルタイムでプロとしてブルワリーを開業することを決意。ビジネス・パートナーと会社を登記し、場所を確保して工事をし、2017年の夏に無事、開業にこぎつけました。
店名の「Obec」はチェコ語で「コミュニティ」という意味。「とにかく我が家はにぎやかに過ごすのが好きで、友達の集合場所になっています。そんなふうに、いろいろな人が集まる場所になればという思いをこめてつけました」と、ステイシーさん。現在はシアトル市の政府間関係課でディレクターとして働きながら、週末はブルワリーにほぼ常駐し、経営面を支えます。長年にわたり日英翻訳家として働いてきた経験から、「よく “オベック” と発音されますが、カタカナなら “オベツ” です」と教えてくれました。
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チェコ・ピルス、イングリッシュ・ポーター、イングリッシュ・ペールエール、オートミール・スタウト、チェコ・アンバーラガーなど、ヨーロピアンのビールをそろえているのは、ビジネス・パートナーとチェコの名誉領事でもあるウェインさんが以前から好きな味だから。どのビールを選んだらよいかわからない場合は、スタッフに聞いてみるのがおすすめ。または、いろいろな種類を少しずつ飲めるビアフライトを注文して、自分好みの味を見つけてみましょう。
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晴れた日には、外のパティオでまったりするのが良さそう。メニューにはワインもあるので、ビール好きとワイン好きが一緒に集えます。同店を含む11のブルワリーをまわると賞品がもらえるバラードの商工会が今年1月にリリースしたスタンプラリー『Ballard Brewery Passport』もぜひチェックしてみてください。