天気も良くなり、アウトドア好きなワシントン州民にとっては待ちに待った季節がやって来ました。
日本語ではトウヒと呼ばれる spruce をご存知でしょうか。ここ北西部ではあちこちにある針葉樹ですが、ちょうど今頃の短い期間に出てくる鮮やかな黄緑色の新芽は食べられるそうです。
2019年までシアトル日本語補習学校で理科を教え、いつもさまざまな食材を通して四季を満喫している光岡いずみさんにお話を伺いました。
「私の中には、ここアメリカ北西部の歳時記があります」と、光岡さん。
「八重桜が七分咲きになったら摘んで塩漬けにし、その次は日本ではハリギリという Devil’s club の新芽を摘んで天ぷらにします。そしてほぼ同じ時期にこのトウヒ(spruce)やダグラスファー(Douglas fir)の新芽が出てきます」
調べてみると、トウヒ(spruce)やダグラスファー(Douglas fir)の新芽は栄養素が多く、foraging(山や森などで野生の食材を採集すること)が好きな人たちの間では昔から知られているとのこと。
レモンのような淡い酸味があるそうで、トマトの赤とあわせるととてもきれいですし、シロップにするのも一般的とのこと。
「新芽にはビタミン C が詰まっていますし、木が芽を出そうとしているエネルギーがたくさん入っています。なので、たくさん食べてはいけません。少しだけいただいて、季節を愛でるのです」
出かける時は、いつも草木やキノコについての小さなハンドブックと、知らない植物の写真を撮って名前や種類を知ることができる有料アプリ『Picture This』を愛用しているとのこと。
「誰にでも名前があるように、自然のものにすべて名前がつけられているということを知ると感動します。頭が整理されるだけでなく、これとこれはこうつながっているのかとわかると面白い。わかっていくというのは分けていくということなのですね。少しわかると、知らないことがたくさんあるとわかって、さらに調べていく。それがとても面白いです」
いかがでしたか?これからの季節、このような野草について学んで楽しみを増やすのも良さそうです。