2002年にキャピトル・ヒルに1号店をオープンして10年、いまやワシントン州内に8店舗を展開し、最も人気のあるドーナツ・ショップの一つへと成長した 『トップ・ポット・ドーナッツ』。『Food & Wine』 誌の “America’s Best Doughnuts” の一つに選ばれるなど、全国的にも知名度を上げているほか、サッカー・チーム 『シアトル・サウンダース FC』 やフットボール・チーム 『シアトル・シーホークス』 の本拠地であるクェスト・フィールドの公式ドーナツ & コーヒーにも指定されています。






オーナーのマーク & マイケル・クレベック兄弟は、パイオニア・スクエアにある 『ザイガイスト・コーヒー』 の元経営者。2号店をキャピトル・ヒルに出す話が持ち上がった際、他のコーヒー・ショップとの差別化を図る戦略として「コーヒーと一緒にドーナツを売る」ことを思いついたそう。
「シアトルには当時からマフィンやスコーンなどのペイストリーを販売するカフェはたくさんあったので、ドーナツとコーヒーの組み合わせに焦点を置けば面白いと思いました」とマークさん。ファスト・フード化が進む前の1920年代のドーナツを再現することにこだわり、ドーナツ・チェーン店とも差別化した独自のブランドを築いていきました。
「当時のドーナツは、お菓子というよりも朝食の代わりに食べられることが普通でした。そのため私たちの作るドーナツも、ふわふわと軽いドーナツではなく、ずっしりと重いケーキのような食感になっています」
カロリーが高そうですが全て手作りで、悪玉コレステロールなどのもとになるトランス脂肪酸は一切含まれていません。
最も人気があるのは、クラシック・オールド・ファッション。2010年にはオバマ大統領が訪れたことでも話題を呼びましたが、大統領の一番のお気に入りはパンプキン・オールド・ファッションだったそう。
「パンプキン・オールド・ファッションは秋の限定商品でしたが、今秋も店頭に並ぶ予定です」
焼き上がりのドーナツを味わいたい人は、オープン直後か昼下がりに行くのがおすすめ。人気のドーナツは販売してすぐ売り切れることもあるそうです。
カフェを始める前は建設業に携わっていたクレベック兄弟。キャピトル・ヒル店、ダウンタウン店、ウェッジウッド店の3店舗は2人がデザインと工事を手がけており、図書館を意識したというビンテージ感漂う内装は、一人でもグループでも居心地良く過ごせるようになっています。
今夏にはダウンタウン中心部、バラード、サウス・レイク・ユニオンに出店するべく準備を進めており、ますます勢いづくトップ・ポット・ドーナッツ。昨秋にはノースウェスト地域の QFC 68店舗でも販売を開始し、同店のドーナツが再現できるレシピ本 『Top Pot Hand-Forged Doughnuts: Secrets and Recipes for the Home Baker』 を出版しました。今後はニューヨークやシカゴなどの他都市や国際展開も視野に入っているとマークさんは意欲的。シアトル発のドーナツ・ブランドが全米に定着する日もそう遠くないかもしれません。