ベイビー・タラバガニ漁は、アラスカのノーム市付近の先住民の漁師だけに許可されています。
解禁資源の問題と氷の張り具合によると思われますが、解禁される年と解禁されない年があります。また、シーズンも特に決まっておらず、解禁される場合は、4月から10月にかけて解禁されます。
漁場はノーム沖のノートン・サウンド。漁法はノーム沖で氷結した氷を割り、ニシンなどの魚を入れたカゴ(trap または pot)を海底まで下ろし、カニが餌を食べにカゴの中に入ると出られないようにするというものです。なお、資源保護の観点から、小さいものは外に出られるように工夫されています。
その後、アンカレッジまで空輸し、業者の水槽に入れて元気にさせ、シアトル行きの夜行便に合わせて箱詰めします。シアトルの空港に到着すると、宇和島屋はトラックで早朝に空港まで出向いて受け取り、午前9時頃には各店舗に配達、直ちに活水槽に入れ、販売します。
ベイビー・タラバガニのサイズは平均約3ポンド(1.4キロ)と、アラスカ湾やブリストル湾で漁獲されるタラバガニの平均サイズ7ポンド(3.2キロ)の半分以下の小ぶりですが、甘みがあり、非常に美味しいものです。沸騰させた3~3.5%の塩水の中に生きたまま入れ、20分ほど煮沸後、直ちに冷水で冷まし、殻を取り除いてお召し上がりください。用途は刺身、すし、カニ酢、バター焼きなどです。
余談となりますが、水産業の玄関口であるアンカレッジはアラスカ州で一番大きい都市で、人口約25万以上の都会です。旧ソ連時代にシベリア上空が解放される約30年前まで、北極点を通過する欧州往復航空航路の重要な拠点となっていました。各大手航空会社はアンカレッジに機内食専用のケータリング施設を持ち、日本から欧州往復便の旅客用機内食をサービスしていたものです。当時、そのアンカレッジ空港の国際線乗り継ぎターミナルでうどんを食べたことがあるなあと思い出される方もおられるでしょう。日本への帰路にアンカレッジでの休憩中、外国での食事にも飽きた乗客にこのうどんが飛ぶように売れた時代がありました。その発案者はアンカレッジ市内にある日本食レストランの経営者でした。当時、宇和島屋の卸売部 Seasia にいた筆者も、この経営者にうどんなどを販売させていただいたことが思い出されます。