「日本のミルガイに似た貝が、オレゴン州の太平洋岸にある」と、北海道のお客様に照会したところ、「鮭の商談を兼ねぜひ検品・試食したい」との回答があり、その手配をしたのが約15年前でした。その貝の名前は、ゲイパー(Gaper)。
そのお客様2人(水産業者の役員及び量販店の専務)と共に、漁師兼水産会社の経営者と落ち合うべくオレゴン州の水産基地の1つであるニューポート近くの小さな漁港兼観光地へ行き、小型船に乗船。湾内を30分余り航行して漁場に到着し、漁師から「この漁場は潮境で貝の生育に良い」「泥地ではなく砂地のため、汚れた貝はない」などの説明を受けた覚えがあります。
その後、漁獲されたゲイパーの検品・試食のため漁師宅へ。お客様の1人は水産会社の役員でしたが、魚さばきはプロとも言える腕前で、このゲイパーを見るなり、「これは日本のミルガイと同じ」と非常に驚かれ、一刻も早く試食したかったのか、いきなり何個かを手際よく刺し身にした次第です。
そのお客様は、「日本のミルガイ(ミルクイと思われる)より小ぶり(殻の平均の長さ約12cm)だがそっくりで、水管の刺し身の味も良い。活で輸入して結果を見たい」と言われ、4~5回輸出しました。残念ながら、結局は歩留まりが悪く、商売にはなりませんでした。
宇和島屋では、刺し身用としては、ゲイパーはピュージェット湾内のシアトル周辺で獲れるグイダック(ミルガイ)よりも歩留まりが悪いため、販売しておりません。
掲載:2007年6月
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