ギンダラ(漢字名: 銀鱈、米名:sable fish、black cod)は、タラと名がついていることから、タラ(Pacific cod)の仲間と思われがちですが、タラとはまったく別の魚です。分類的にはカサゴ目に含まれ、背びれが2基しかないことから、背びれが3基あるタラと容易に区別することができるでしょう。
カリフォルニア州からアラスカ州にかけての北太平洋に広く生息しているギンダラは、水深300~600mの泥沼に生息する底生性の魚類で、大きな群れを形成し、底曵き網(trawl net)、底延縄(longline)および籠(pot)により、一度に多数漁獲されます(アメリカではどの魚も資源管理がなされ、その年の解禁前に毎年漁獲枠が決められます)。
脂肪分が多く、大変美味しい魚ですので、宇和島屋鮮魚部では、脂の乗った鮮度の良いアラスカ州とカナダのブリティッシュ・コロンビア州産のギンダラを中心に、定番商品として欠かさず販売しておりますが、人種を問わず大変人気があります。日本人が開発・輸出している海産物は多々ありますが、ギンダラもその一つ。今ではアラスカ州やとカナダのブリティッシュ・コロンビア州、ワシントン州、オレゴン州の水産業者にとって重要な魚種の一つとなり、日本・中国・台湾・香港・ヨーロッパ等に輸出されています。
この10年はギンダラの資源及び漁獲量の問題も指摘され、代替品として南米チリ産のメロ(米国では “Sea Bass”、シーバスと呼ばれる)が日米とも市場に出回り、それなりの評価を得ています。これも日本の水産会社が最初に開発・輸入し始めたもの。中国人も好きな魚の一つで、中国系レストランではギンダラは鱈魚、筆者の好物である発酵黒豆味ギンダラ(black cod with black bean sauce)は、発酵黒豆鱈魚と書きます。
掲載:2005年9月
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