最近では養殖ハマチが有名ですが、ハマチという名前は本来、発育途中のブリに与えられた名前。実際は、年齢・成長段階、そして土地によって呼び名が異なります。
関東:
ワカシ(15cm 前後) → イナダ(少年期:30~40cm) → ワラサ(青年期:50~60cm) → メジロ → ブリ(成魚:80cm 以上)
関西:
ツバス → ハマチ(関東のイナダとワラサにあたる)→ メジロ → ブリ
ブリの幼魚は「モジャコ」と呼ばれ、ホンダワラなどの海面の流れ藻に付きます。このモジャコを採捕して行う養殖ハマチは、1930年代から試みられ、現在では最も高い生産量を誇っています。ここ数年における養殖ハマチ(養殖ブリ)の生産量は年間14~15万トンと、天然物のブリの年間漁獲量4~5万トンを大きく上回るようになりました。短期に肥育したこの養殖ハマチが年間通じて出荷されるため、ハマチが通用語になってしまい、天然ブリは高級魚となっています。
天然ブリは釣りのほか、巻き網や定置網、曵き網、刺し網などで漁獲されます。サケがのぼらない西日本、特に関西や北陸地方では、ブリはマダイと並ぶ祝い事の魚で、正月や婚礼などには欠かせません。冷凍技術の進歩によってハマチの冷凍品質保持も可能になり、脂のあるハマチは全米各地の鮨屋に急速な勢いで広まって、米国では人気 No.1のスシネタと言われるようになりました。宇和島屋でも売れ筋の1つであり、刺し身用の商材として決して欠品のできない商品です。
実際、筆者も年末の弊店のかきいれどきには鮮魚売り場に立ち、品物出しに汗を流しますが、米国人から「ハマチはどこか」とよく尋ねられます。その度に「この米国人も、ハマチを刺身で食べるのか、ありがたいことだ」と思いながらご案内し、確かに売れていることを肌で実感した次第です。
掲載:2006年1月
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