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ハゼ (漢字名:沙魚、分類:スズキ目、ハゼ科、英名: goby)

ハゼは日本全国の河川・湖沼・深海から沿岸域、または海水と河川が混ざりあう汽水域など、いたる場所に棲息しています。ただし、高緯度地方などの極端な寒冷地域や、完全な外洋域には見られません。ハゼ科の種類は多いですが、通常、ハゼと言えばマハゼのことを指しています。マハゼは北海道南部から九州にかけての沿岸または河口付近などに棲息し、国外ではロシア極東のアムール川河口から朝鮮半島、及び中国の黄河、東シナ海沿岸にまで広く分布しています。

昭和30年(1955年)頃の話になりますが、筆者の育った東京・足立区の神明町という町は綾瀬川・運河・溜めの川・葛西用水と東西南北が水に囲まれていました。イタリアのベニスではありませんが、まさに水の都、ゼロメートル地帯で水という敵に四方を囲まれ、神明町はまさに四面楚歌の状況でした。この綾瀬川と中川 を結ぶ約1.5km の運河で、夏休み中は泳いだり、魚釣りをしたり、砂の上でバタバタしているハゼを素手で獲ったりする子供達で大変にぎわい、引き潮の時は砂浜(泥浜の方が正確)が広くなり、まるで海水浴場のような景観となりました。私も確かにハゼを獲りましたが、これを持って帰って母に渡した記憶はありませんので、家族で食べるほどの数は獲れなかったのでしょう。ハゼは海辺の岸壁で釣る魚のようですが、この神明町辺りの川でハゼを釣った覚えはありません。

ハゼ類はシアトル近辺には棲息していないのか、水産業者からの照会もなく、宇和島屋では生鮮また冷凍とも、残念ですが取り扱ったことがありません。筆者の記憶では日本からのハゼの甘露煮の引き合いもありませんでした。

余談ですが、東京・御徒町駅付近の父が勤めていた会社の同業者組合のと思われる夏の東京湾ハゼ釣り屋形船に乗る機会があり、父に連れて行かれました。家内の父も偶然にも御徒町駅付近の同じ業界の会社に勤めていました。家内も同じ頃に屋形船に乗り、ハゼのテンプラを食べた覚えがあるとのことで、時期的にも話す内容も大変類似性があり、もしかしたら同じ屋形船にいた可能性があるという、東京は広いようで狭い話です。残念ですが、同慰安会の写真はなく、確認のしようはありません。

掲載:2010年3月

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