千島列島以南の各地から南シナ海の沿岸の水深10~200メートルの砂底に生息しているヒラメは、水産上重要な魚種で、成長が速く、種苗放流や養殖も各地で盛んに行われています。
1980年代前半から養殖も行われるようになり、2019 年の養殖の漁獲量(陸上養殖 40%、海面養殖 60%)は2006トンとなっています。ちなみに、養殖の漁獲量の上位3位は大分県 32%、鹿児島県 22.2%、愛媛県15.2%、その他 30.6%。天然物の水揚げ量6920トンは、北海道 14.6%、宮城県 12.9%、青森県 11.5%、その他61.0%となっています。
天然のヒラメは刺し網・底引き網・定置網釣りなどで漁獲され、遊漁の対象としても人気があります。生鮮向けに氷冷出荷され、活魚で流通するものも多いです。
ヒラメの体は左右に平たく、海底の泥や砂に体の側面をつけ、体の上側は褐色をし、そこに乳白色や褐色の斑点が散らばっています。この斑点は底の砂や泥の色によって変わり、下側は白色で、腹を下にし、体の上側を見ると眼は左側にあり、口は大きく、体長は80センチ程度。カレイの眼は右側にあり、俗に「右眼カレイに左眼ヒラメ」と言われています。
余談となりますが、ヒラメとカレイは眼の位置によって区別したり、単に大きいものがヒラメ、小さいものをカレイと呼んだりするなど、各地で異なり、一致していません。
ちなみに、ヒラメは北海道ではテックイ、東北ではオオグチカレイ、関西ではオオグチガレイ、中国地方ではオオクチ、山口ではオオガレイ、徳島ではホンカレイなどと呼ばれているようです。
『寒ビラメ』 という言葉があるように、ヒラメは9月から翌年2月頃まではおいしく、特に 寒中が旬。刺し身・鮨・吸い物・切り身の煮付け・ムニエル・フライなどに向いています。卵・肝臓・胃・鰓、あるいは背びれ、および尻びれのところについている 『えんがわ』 と呼ばれる肉は、煮付けや刺し身として賞味されます。
米国では、ヒラメ(fluke、業者間ではフルークの名で取り引きされています)は東海岸のメイン州からサウスカロライナ州にかけて漁獲されます。特にノースカロライナ州産のものは良質で、刺し身や鮨に貴重な白身商材です。
近年は資源・漁獲制限・漁船の数量枠・米国東海岸、および中西部での需要増や価格高騰などの理由により、宇和島屋では仕入れが非常に困難になってきています。
天然ヒラメを刺身用にスライス後、プロトン冷凍し、空輸で直輸入し、ベルビュー店で販売中です。ぜひ、お試しください。なお、プロトン凍結とは、食品の鮮度と味を保つために、生の素材を新鮮な状態で凍結させる方法です。解凍しても細胞はそのままなので、風味が損なわれず、ドリップも発生しません。