イイダコは軟体動物のマダコ科で、脚は胴頭部の2倍の長さにもなりますが、体長は腕まで加えて25センチに満たない程の小さなタコです。一般に灰紫ですが、体の色は変化します。秋冬に体の中に直径6~7ミリ、短径2.6~2.9ミリの大粒の卵をもった時の煮付けが米飯を詰めた感じに見えることから、または卵が飯粒のような形をしていることから、この名があるとも言われてます。
日本でのイイダコの生産地は瀬戸内海ですが、北海道南部以南、本州・四国・九州から、朝鮮半島・中国大陸沿岸まで分布し、浅い海や内湾の砂泥地に生息しています。中国名でもフォンシャオ(飯蛸)と呼ばれています。イイダコは白い物を見ると抱きつく習性があるようで、ラッキョウで釣りあげる漁法が一般的です。また、海底に小型の蛸ツボを仕掛け、蛸ツボごと引き揚げる漁法もあります。
なお、宇和島屋シアトル店鮮魚部マネージャー、Ken Hewitt によると、このイイダコはワシントン州やオレゴン州沿岸には生息しておらず、たまに網にかかる大型のミズダコを生で販売しているとのことです。ちなみに、一説によると、シアトルからカナダとの国境にかけてのピュージェット・サウンドで獲れるミズダコは22から44ポンド(10kgから20kg)にもなり、世界最大のタコの1つとも言われてます。
宇和島屋鮮魚部では日本の海産物加工品のトップメーカーで業界の大手が醤油・砂糖・塩などで煮付けた日本産の味付けイイダコを販売しておりますが、非常に美味で日本人を含む東洋系のお客様には大変好評です。欧米系のお客様には丸ごとの小さなイイダコは奇妙に見えるため、これを丸ごと頭から食べるには相当な勇気が必要とされるようです。
掲載:2007年10月
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