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キビナゴ (漢字名:吉備女子、分類:ニシン目ニシン科、英名: Silver Striped Round Herring)

キビナゴはニシン目の中でも特に細長い体形をした一群で、体側に銀白色の帯を持っています。沿岸の表層付近を大きな群れで回遊する体長10cmほどのプランクトン食性です。インド・西太平洋の温~熱帯地域に広く分布し、日本では中部以南の暖かい海で見られます。産卵は初夏で、卵は岸近くにある海藻などに産みつけられ、寿命は1~2年。走光性があるので、おもに夜間に火光を利用した巻き網でとられる他、定置網や地曳網などでも漁獲されます。漁獲量はイワシの仲間としてそれほど多くなく、地方的に干物や惣菜用として消費されています。

鹿児島県では帯のことを「キビ」と呼ぶので、体に帯模様のある小魚という意味で「キビナゴ」の名が付いたという説もあります。また、鹿児島県の郷土料理の材料として珍重されており、とくにキビナゴを手開きにして菊の花をかたどって並べた刺身(菊花つくり)が有名。鮮度は落ちやすいですが、新鮮な物を酢味噌やショウガ醤油で食べると美味です。また、てんぷらや塩焼き、丸干し、空揚げ、フライ、煮付けなどで賞味されるほか、みりん干しや佃煮などにも加工されます。食用以外では、カツオ釣りの生き餌や養殖ハマチの資料としても重要です。やはりニシン目ニシン科のイワシ類と同じく、キビナゴにはカルシウムや鉄分が多く含まれています。

何年か前に、東京足立区の実家の近くのスーパーマーケットで、トレイに入った銀ピカの真っ直ぐに硬直した鮮度良好でおいしそうなキビナゴが売られてましたが、帰米直前だったため、残念ながら食べる機会を逃してしまいました。このキビナゴを見た瞬間、宇和島屋で毎年7月から11月のシーズン中に販売しているフレッシュ・オーシャン・スメルトを連想し、処分方法や料理方法、そして味も同じだろうなと思いながら、店を後にしました。

掲載:2009年5月

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