南日本に多く、北は東京湾付近まで、また韓国、黄海~南シナ海北部の中国沿岸に分布しているコノシロは、銀白色の地色に背の部分が青黒く、鱗にそって黒点があり、体長は20センチぐらいまでで、海底の泥や藻などを餌としています。産卵期は4~5月、寿命は6~7年であると考えられています。
市場ではコハダと区別しませんが、大きいのをコノシロ、15センチ前後をコハダ、10センチ以下をシンコと呼びます。地方では方言で呼ばれることが多く、関西や九州では大型は東京と同様コノシロと呼び、中型・小型はツナシと言います。
一年中味が変わらないとされているコノシロですが、大型の方がおいしく、塩焼きや煮付けなどに向いています。鱗がはげ易いですが、コハダは三枚におろして酢の物にできますし、酢じめにした物はすし種の光りものになり、コハダの粟漬け、卯の花漬けは正月用品としても利用されています。粟漬けはコハダの頭や内臓などを除いたものを軽く塩蔵後酢に漬け、アワとトウガラシをまぶしたもの。
また、この塩蔵後のコハダを酢とミリン(または砂糖)、食塩を合わせた調味液で締め、同じ調味液で味付けしたおからに漬けたものが卯の花漬けです。この卯の花漬けのコハダは微妙な甘酸っぱさがあり非常に美味しいものですが、あまり長い間保存できないため、主として秋から春にかけて製造されているようです。
50年以上の前ごろの正月、貧乏な筆者の家族でも近所の魚屋さんで買ってきたのか、その美味しさは今でも思い出されます。おそらく母は正月だからと奮発して買ったのでしょう。宇和島屋でも日本産の真空パック入りコハダ(小肌)の酢漬けを販売しておりますが、評判の良い商品となっています。
掲載:2009年4月 更新:2019年5月
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