前回お話ししました通り、コノワタは中華料理の材料のイリコ(ナマコの肉を煮て乾したもの)を作る際の副産物を利用した、ナマコの内臓の塩辛です。脱腸器、または箸などを使って抜き取ったナマコの腸を集め、砂や汚物を海水中で丁寧に取り除き、さらによく洗ってから水切りし、20-30%の食塩をかきまぜながら加えてから数時間おいたのち、樽や桶などに詰めて熟成させます。食べごろは、1週間後。腸の長いものほど良品とされ、また、寒中に作られたものが最上とされています。酒の肴として好まれる他、熱い燗酒をそそいだ 『このわた酒』 も香味のすぐれたものとして好まれます。
主な産地は北海道、青森、三重、愛知、京都、岩手など。徳川時代、三河のコノワタは、長崎のカラスミ、越前のウニとともに “天下の三珍” と呼ばれ賞味されましたが、今でも愛知県ではナマコをコノワタ製造を主目的として獲っています。腸の取り出し方は他の地方とは違い、ナマコの腹を縦または横に少し裂き、そこから腸を丁寧に引き出すため、値段は高くなりますが、食通には特に好まれているようです。なお、コノワタは日本特有の製品で、文献では既に905年に記載があるとのことです。
宇和島屋でもナマコは活で不定期に入荷しますが、入荷の都度、シーフード・ニュースレターでお知らせしています。ぜひご家庭でもコノワタをつくってみてはいかがでしょうか。
掲載:2006年10月
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