初めて訪れた場所の魚市場に行き、そこに暮らす人々の生活を知るのは、旅の楽しみの1つ。それには地元の市場を覗いてみるのが一番です。日本人の魚介類好きは、全国各地にある魚市場でも目の当たりにすることができます。北は北海道の稚内から、南は沖縄県の石垣市まで、80の大きな魚市場があり、訪れた場所が港町なら、必ずどこかに魚市場があります。
魚介類を扱う市場は、4つに大別できます。
- 産地市場/水揚げ市場:集荷された漁獲物の貯蔵や出荷を行う。
- 卸売市場:集荷された魚は漁業者(生産者)と産地仲買(卸売業者)が競売で取引をする。
- 消費地市場(築地の東京都中央卸売市場等):産地仲買の競売で得た産地からの品物を荷受(卸売業者)が委託で受け、さらに競売で仲買人(仲卸業者)に売り、仲買人は小売店へつなぐ。
- 小売市場:小売店と消費者との間で売買が行われる。
旅先でよく見かける朝市や観光魚市場は、さしずめ産地の小売市場です。通常は業者以外の入場が許されていない卸売市場や水揚げ市場の中にも、一般入場ができたり、周辺に小売店を設けていたりするところもあります。日本へのビジネスおよび観光旅行の際には、土産物探しもかねて、魚市場を訪れてはいかがでしょうか。
米国北西部では、活生鮮冷凍の魚介類を豊富に揃えている宇和島屋が、前述の4つの市場の機能を兼ね備えているように思います。漁業者(生産者)・産地仲買・仲買人(仲卸業者)から仕入れ、皆様にお買い上げいただいてます。今年も大いに魚介類を食べ、健康を維持してください。
なお、ご参考までに、アメリカで魚市場と言えるのは、ニューヨーク・マンハッタン南にあったフルトン・フィッシュ・マーケット(Fulton Fish Market)。昨年11月に老朽化にともない閉鎖・移転し、現在はブロンクスでニュー・フルトン・フィッシュ・マーケット・コーポレート・アット・ハンツポイント(New Fulton Fish Market Corporate at Hunts Point)として営業しています。新マーケットはドーム付きとのことですが、45社程の業者の内、移転したのは約30社だけだとか。しかし、ニューヨーク市民の台所ですから、一見の価値があると思われます。機会がありましたら、ぜひ見学してみてください。月曜の早朝1時から金曜日の朝9時頃まで、誰でも自由に入ることができます。
掲載:2006年2月
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