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塩辛 (しおから)

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塩辛とは、魚介類の肉・内臓・卵などを塩漬けし、これらに含まれているタンパク質分解酵素、または他から加えた酵素による消化作用によって熟成させた食品です。この熟成とは、タンパク質が遊離アミノ酸に変化し、濃厚なうまみを作り出す化学的な過程のことで、高濃度の塩分がその間の腐敗を防止します。熟成が進むと塩辛さが抑えられ、味にまろやかさが出てきます。また、動物性タンパク質がいくぶん消化されているため、食べても消化しやすく、栄養価が高くなっています。

主な原料は、カツオの内臓、イカ肉、ウニ卵巣、ナマコ腸(このわた)など。イカやカツオなどの塩辛に米麹を加えると旨味が増すのは、麹の出す酵素が塩辛の熟成を助けるとともに、アミラーゼ(酵素)が麹に含まれるデンプンに働きかけて甘みが増すからです。しかし、塩辛に加える食塩の量は完全に腐敗を抑えるほどではないため、日数の経過とともに細菌類が繁殖し、味を低下させるアンモニアなどが増え、ついには腐敗します。つまり、塩辛は完全な貯蔵食品とは言えませんので、食べどきを選ぶ必要があります。

当地の水産業界のある重鎮によると、韓国にはいろいろな魚介類を原料にした塩辛があり、『チョッカル』 と呼ばれているそうです。韓国の塩辛の特徴は、塩と唐辛子味噌で作られており、日本人の食感では、ただやたらにしょっぱく、辛いだけ。熟成して発酵した日本の塩辛とは、根本的に異なるものです。と言うのも、韓国の塩辛は調味料として使用され、どちらかと言えば、素材自体の旨み味だからです。これに対し日本の塩辛は、熟成・発酵させることにより、素材の隠れた旨みを引き出しているということでした。

塩辛はやはり日本人にはなくてはならい食品だと思われます。と申しますのは、宇和島屋各店で今まで各種の塩辛類を販売してきましたが、売れなくて処分に困まったことはありません。塩辛好きの日本人の一端がよく分かります。宇和島屋では鮮度抜群の日本海産スルメイカ(生きたスルメイカを一杯ずつ円筒に入れ、急速凍結した逸品)を冷凍で販売しています。ぜひご自分で塩辛を作ってみて下さい。

40年前頃の日本でのサラリーマン時代、帰宅前に有楽町駅のガード下で上司や同僚とよく飲みました。日本酒あるいはビールにイカの塩辛および煮込みを食べるのは、当時の呑み助の定番だったと記憶しています。

カツオの塩辛・酒盗の作り方:
カツオの胃・腸などを切り開いて内部をよく洗い、適当な大きさに切り、30%の塩を加えて熟成させる。樽や桶で毎日かきまぜると1週間ぐらいで食べることができる。これを冷所に保存する。

イカの塩辛:
スルメイカの細かく切った肉を1対と、イカの肝臓を15対20の割合で混ぜ、これに10~20%の食塩を加える。時々かき混ぜながら半月ほど経過すると、身が酵素で分解され、特有のうまみが生じ、食べごろとなる。

掲載:2007年7月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。

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